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 世間を賑わせ続けるセクハラ問題。財務次官によるセクハラ報道やMeToo運動など、日本だけでなく世界中で大きな動きを見せているが、決して他人事ではなく私たちの身近に潜む社会問題だ。

 そもそも日本で「セクハラ」という言葉が一般的に知られるようになったのは30年前のこと。元号が変わった1989年、福岡の出版社に勤務していた女性がセクハラを理由とした日本初の民事訴訟を提起。メディアにも盛んに報じられたことから、「セクシャル・ハラスメント」という言葉が新語・流行語大賞新語部門で金賞を受賞するに至った。

 それから30年。ハラスメント対策の専門家である株式会社プラネットの根岸勢津子代表取締役は「ハラスメントが原因で企業価値を落としてしまうところも少なくないので、企業は非常に模索している」と話す。中には「休日や夜遅くの連絡を避ける」「顧客に対する絵文字の使用禁止」といった具体策を講じている企業もあるというが、社会からセクハラ問題が無くなる気配は一向にない。

 街で女性たちに聞いてみると、

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 「飲み会でタッチとかはある。太ももにタッチとか肩にタッチとか。あんまりいい感じはしなかった」(20代IT関係)

 「私も居酒屋で働いていたので、抱きつかれるとかも全然あった。『お姉ちゃんかわいいね』みたいな。その発言だけでどういう目で見てるのと」(20代金融業)

 「ポンポンとやってくる上司とか、肩を揉んでくる人とか。若い人だったから許容範囲だったけど、おじさんとかにされたら気持ち悪いなと」(20代事務職)

 「言った方がいいと思う。悪いことは悪いし、今は女性が社会進出しているのにそんなことがあったら女性は働きにくい」(30代ホテル勤務)

 「お客様が結構プライベートまで踏み込んで『今日はデートなの?』とか聞かれたりすると、それ答えなきゃいけないのかなみたいな。受け手の問題だと思う。投げかけられた言葉に対して受け手がどう感じるかがすべて。それでハラスメントだと決まる」(30代百貨店勤務)

 と、セクハラ行為は日常に溢れているようだ。その一方、高齢者たちからは、

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 「それは時代が違う。私たちが若かったころは、例えば職場で男の人がお尻を通りすがりに触ったりしても『やーね』というくらいで済んだ話。今はそれでもセクハラで大騒ぎになる。時代が違うなと思う」(70代女性)

 「あんまりカッカカッカしないで、上手にうまくおだてると言ったら変だけど、(相手を)立てておいて逃げるとかね。(女性が)はっきり過ぎるほど言う。それはどうかと思うことがある。可愛らしさがなくなっちゃう。あんまりきついことばかり言っていると」(80代女性)

 と、世代によって認識にズレあるようだ。

 お笑いタレント・パンサーの向井慧も「男性からの女性へのセクハラはもちろん、女性から男性、同性同士のセクハラもある。ロケをしている時、おばちゃんに股間を触られることがある。それで嫌な思いもしてないし、訴えるつもりもないが、そういうことも無くしていけないといけないと思っている。時代の変化を読み切れていない年輩の方々と認識を擦り合わせることも必要だろう」とコメント。

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 また、AV女優の紗倉まなは「私は性を生業にしているので、日常会話でそういう単語が飛び交うことには慣れている。ただ、業界外の方で"そういう仕事をしている子だから、何を言っても許されるだろう"という認識の人がいて、しつこいくらい色々なことを言われたことがある。嫌がると、"それくらいの耐性もないんですか?"と。家に帰って、"あれはセクハラだよな"って自問自答した。セクハラを受けたという自覚が芽生えるまで、人によって時間差があると思うし、周りに言われて初めて気づいて、声を上げようと決断できる場合もあるはず」と指摘した。

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 弁護士の太田啓子氏は「セクハラされて大丈夫な人なんていない。我慢して平気な振りをしていなければならない状況に置かれているだけ。でも言わないと、周りも含めてセクハラしてOKだと勝手に解釈されてしまう。この"セクハラ容認カルチャー"を無くすために声を上げ、制度を作り、意識を変えていくことが必要だ。やはり価値観を形成する前の若いうちに、性的に相手の尊厳を傷つけることがどれだけ酷いことで、深い心の傷を与えるのかということを教えていくことが大事だ」と話す。

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 元TBSアナウンサーの小島慶子氏は「"受け流すのが女の知恵だ"と言うしかなかった時代もあったと思うが、今は我慢しなくてもいい時代になったことを分かってほしい。男性同士でも、性体験を聞き出してからかうとか、無理に風俗に連れて行くことがあるが、それらもセクハラだ。もちろん同じ文脈でパワハラも起きる。そして被害に遭った人が声を上げると、"感情的だ"とか、間違った意味で"ヒステリーだ"とか言われる。特に女の人の場合は、"みっともない"、"生意気だ"と見られてしまう風潮もある。それが怖くて声を上げられない人も多い。でも、そういう時に論理的に声を上げられる人なんてめったにいない。だから"何があったの?""こんな方法があるよ?"と言ってあげてほしい」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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