5月14日、明治大学 駿河台キャンパスにて文学部文学科文芸メディア専攻・伊藤氏貴准教授の特別授業が行われ、映画『友罪』より俳優の生田斗真、瑛太、瀬々敬久監督がサプライズゲストとして登壇した。
『友罪』の原作は薬丸岳氏のベストセラー小説。元ジャーナリストの益田(生田斗真)と、他人との交流を避ける無口な男・鈴木(瑛太)は町工場で出会い、同じ寮で暮らし始める。仲を深めていく2人だが、ある事件をきっかけに益田は鈴木が連続児童殺害事件の犯人“少年A”ではないかと疑い始め……といったストーリーだ。
実際の事件を基にした同作。生田は「僕自身も映画化される前から原作の小説を読ませていただいていて、そのときからどういった形であれ映像作品として残すべき作品だなと感じていました。なので映画化するというお話をいただいたときには、ついにやるのかという気持ちと、この映画を立ち上げ世に送り出そうという覚悟を持ったスタッフの方々の熱意や覚悟を感じました」と今回の映画化に使命感を感じたことを告白。
難しい役柄を演じた瑛太は「当時、神戸の事件が起きたときはすごくショックを受けましたし、少年Aを扱った作品を作る上で、映画を通して何を伝えたいのかっていうのは疑問がありました。そこでプロデューサーと話しまして『手記を読んだら感じることがあるよ』というので、少年Aの手記を読んでみたときに、彼が中学生のときに抱えていた家庭環境だったり衝動みたいなものを、どこか全否定できないところが僕の中で生まれて。どんな人間にでも、そういった自分の想像を超える衝動みたいなものが生まれてしまう可能性があるのではないかと思いました。自分が演じる上では役を愛して演じていきたいので、台本の中の“鈴木”というキャラクターに自分の思いを乗せていきました」と役作りを振り返った。
授業では学生からゲストへの質問コーナーも。「もし友達が鈴木ほどではないにしろ重大な犯罪を犯していたら、友達をやめるか?」との質問には、生田は「すっごい難しいですよね……」と頭を抱え「一度友達だと、一度2人の中で友情が芽生えたのなら、続けていきたいのが本音ですけど……それって綺麗事だと思うし。すごく難しいですね。でも少しでも、自分の力で彼の将来が変わってくれるんじゃないかという期待を持ち続けるんだと思います」と悩みながらも友人関係を続けていくと語った。
一方、瑛太は「距離をとるかもしれないですね」ときっぱり。「向き合うことはするかもしれないですけど、それまでの仲よりは警戒心が生まれる。自分の家には子供がいて、その家の中に少年Aのような友人を入れることはできなくなるかもしれないですし、僕はもしかしたら少しずつ距離を置いて友達をやめるかもしれない」と正直な思いを語った。
写真:野原誠治
テキスト:堤茜子