
沢尻エリカの主演『猫は抱くもの』が、6月23日に新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町他にて全国公開となる。この度、同映画が第21回上海国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが決まった。
本作は、思った通りの自分になれず、投げやりな毎日に慣れてしまった“元アイドル”の沙織(沢尻エリカ)と“自分を沙織の恋人だと思い込んでいる猫”が、自分らしい生き方を見つけていく物語。猫の良男の擬人化した姿を演じるのは、若手演技派俳優の吉沢亮。さらに、「水曜日のカンパネラ」のボーカル・コムアイが猫のキイロを擬人化した姿を演じ、銀幕デビューを果たしている。また、ロックバンド「銀杏BOYZ」でボーカル&ギターを務める峯田和伸も、物語のキーマンとなる画家・ゴッホとして登場する。
主人公と猫の「内面」と「現実」が入り混じる演出が見どころで、映画好きやクリエイターの感性を刺激する、斬新な演出が随所に盛り込まれている。主人公の「内面」や「猫の視点」を観客に楽しんでもらうために、リアルな景色での撮影に加え、舞台装置を活用した「CGの対局」とも言える演出やアニメーションなど、いわば「映画の遊び」がコラージュのように盛り込まれている。そういった視覚的な斬新さはありつつも、誰しも抱えたことのある「人生のくすぶっている時間とどう向き合うべきか」という普遍的なメッセージが込められており、観る側に温かな余韻を残してくれる。映画の固定概念から解き放たれた本作は、受け手の柔軟性が試される内容にもなっている。
その取り組みが評価されてこの度、映画『猫は抱くもの』が第21回上海国際映画祭(長編劇映画部門)のコンペティション部門に正式出品されることが決定した。
16日から25日まで開催される上海国際映画祭は、世界15大映画祭のひとつで、FIAPF(国際映画製作者連盟)が認定する国際映画祭である。21回目を迎える今年は、世界108カ国から、3400本以上のエントリー(内日本映画約200本)があり、アジア最大級の映画祭として注目を集めている。また本作が出品されるコンペティション部門は、第10回(2007年)に山田洋次監督『武士の一分』が最優秀音楽賞(冨田勲)を受賞、第19回(2016年)に阪本順治監督『団地』が最優秀女優賞(藤山直美)を受賞するなどしている。『猫は抱くもの』の上海映画祭での上映日は21日。それにあわせて急きょ、犬童監督ほか渡航し舞台挨拶を行う予定だ。
今回の出品決定に関して犬童監督からは「沢尻エリカの野蛮なパワーと吉沢亮のア然とするエレガントが中国の皆さんにどう刺さるか?楽しみです」とのコメントが届いており、賞の獲得にも期待が膨らむ。主演の沢尻は「『猫は抱くもの』が、コンぺティション部門に選ばれ光栄に思います。海外でどのように評価して頂けるか、楽しみにしています」とコメントした。
日本映画として最優秀作品賞受賞作品(金爵奨)を受賞すれば2005年『村の写真集』(監督:三原光尋)以来の快挙となる。注目の授賞式は25日に現地にて行われる。
ストーリー
こじらせた1人と1匹の妄想が、自分らしい幸せに気付かせてくれる―
思った通りの自分になれなくて、いつしか投げやりな生き方に慣れてしまった沙織(沢尻エリカ)。元アイドルのアラサーで、今はスーパーで働く彼女が心を開くのは、こっそり飼っている、ロシアンブルーの猫・良男(吉沢亮)だけ。今日いちにちの出来事を、妄想を交えつつ良男に話して聞かせる沙織。沙織の心に寄り添ううち、良男は自分が沙織の人間の恋人で、彼女を守れるのは自分だけだと思い込んでしまう。そんなある日、沙織の前に“ゴッホ”と呼ばれる売れない画家・後藤保(峯田和伸)が現れ、良男は沙織の変化を目の当たりにする。ある晩、良男は月に誘われるように外の世界に飛び出し、迷子になってしまい…。ゴッホや、ゴッホを慕う猫・キイロ(コムアイ)、個性豊かな猫たちとの出逢いを通じて、1人と1匹は、自分らしく生きるすべを見つけていく。
うまくいかないことの輝き。置いてけぼりをくらっている時間の豊かさ……。灰色の日常がカラフルに輝きはじめる、心温まる物語。
(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会

