俳優の井浦新が、是枝裕和監督の映画『万引き家族』が第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で、最高賞のパルムドールを受賞したことについて、AbemaTIMESの取材に応じ、祝福のコメントを寄せてくれた。
1999年に公開された是枝監督の映画『ワンダフルライフ』のオーディションを受け、みごと主演・望月隆役を射止めたことから、井浦(※当時はARATA名義)の映画俳優としての歩みは始まった。その後、是枝監督とは『DISTANCE/ディスタンス』(2001年)、『空気人形』(2009年)、『そして父になる』(2013年)と4度にわたるタッグを組んでおり、井浦に寄せる信頼が厚いことも見て取れる。
日本映画では21年ぶりとなったパルムドールの受賞。井浦は、「僕も速報から聞いていたので、“おお!やったー!”と思いました!素晴らしい賞を獲ったこと、本当に、本当におめでとうございます」と心を込める。「“きっと、是枝さん、喜んでいる顔だろうな~、喜ぶ顔が目に浮かぶな~”と思って(記事の)写真を見たら、やっぱりすごくうれしそうでした。そりゃあうれしいだろうなあ、と思います!」、と語る井浦自身も、ニコニコと目じりを下げて何ともうれしそうに微笑む。
カンヌ国際映画祭には、これまで『DISTANCE/ディスタンス』、『誰も知らない』、『そして父になる』(審査員賞受賞)、『海街diary』と4作品がパルムドールにノミネートされており、本年度出品された5作目の『万引き家族』にて、堂々の受賞となった。その過程について、井浦は「是枝さんが初めてカンヌに挑戦された『DISTANCE/ディスタンス』から、監督のカンヌへの道を見させていただいていたので、それからおよそ17年、ずっと挑戦し続けて、ようやくつかんだ賞ですよね」と目をキラキラさせる。
「でも、きっと是枝さんの中では、パルムドール受賞が最終ではなくて、通過点としか思っていないだろうな、とも同時に思っています。是枝監督の実験は、まだまだこれからもどんどん続いていくんでしょう。けど、とにかくまずはおめでとうございます!」と、コメントを締めくくった。
『万引き家族』は東京の下町を舞台に、万引きなどの犯罪で生計を立てながら、平屋で身を寄せ合って暮らす家族を描いた物語。カンヌ国際映画祭審査委員長の女優ケイト・ブランシェットは「この作品は演技、監督、撮影、など総合的に素晴らしかった」とし、審査員のドゥニ・ヴィルヌーブ監督も「とにかく恋に落ちてしまった。上品で素晴らしくとても深い。魂をわし掴みにされた」と、絶賛の審査評を発表したことでも話題を集めた。
井浦新の映画出演待機作:『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』(6月30日公開)、『止められるか、俺たちを』(秋頃公開)、『こはく』(2019年公開)など。
取材・文:赤山恭子
写真:You Ishii