山田孝之と菅田将暉がW主演を務める連続ドラマ『dele』(テレビ朝日系)が7月よりスタートする。デジタル化した現代社会、パソコンやスマホに残されたデジタル遺品をテーマとした初めての試みとなる本作品。山田は死者が残したデジタル記録をすべて抹消する仕事を請け負う坂上圭司を、菅田は坂上の仕事を手伝うなんでも屋の真柴祐太郎役を演じる。原案と脚本を担当したのは『真夜中の五分前』『ストレイヤーズ・クロニクル』『at Home』など、立て続けに著書が映画化され、注目を集めている本多孝好氏。そのほか、金城一紀氏、瀧本智行氏、青島武氏、渡辺雄介氏、徳永富彦氏など、名だたる作家陣が1話ごとに脚本を務めることでも反響を呼んでいる。今、最もタイムリーなテーマを担う主人公2人に作品についての話を聞いた。
「菅田将暉は夜になると顔が変わる」山田孝之が証言
――すでに撮影は中盤戦に突入しているそうですが、実際に演じてみていかがですか?
山田:1話ごとに違う脚本家の方が担当していて、それぞれの表現方法があります。まずは、坂上圭司という人物像があって、各々の脚本の中に「だからこそこういう一面を見せたい」という狙いがあります。でもその一面を出すのが難しい。圭司という人物がしっかり出来上がってないと、ちょっとはみ出たときに、別の人になってしまう恐れがあります。なので、一個のセリフを言うだけでも、ちょっと動くだけでも、果たして圭司として正しいのか、常に悩んでいます。ただ、なかなか経験できないことなので、挑戦するやりがいや楽しさは感じています。
菅田:僕も正しいかどうかはわからないですけど、自分なりの答えをもって現場に入っています。あとは、脚本、監督が違うというところで、ゆだねていかないといけない部分も多くあると思います。僕の演じる祐太郎は、圭司と比べるとわかりやすいキャラクターではあると思うんです。コミュニケーション能力が高くて、誰とでもうまく接することができる。だからこそ、圭司というキャラとどうコミュニケーションをとるかというのは、ある意味悩みどころでもあります。
――山田さんは菅田さんとガッツリ共演してみたかったそうですね! その理由と、今回実際にタッグを組んだ感想を教えてください。
山田:過去に共演した作品を含め、自分が出ていなくても彼が出演しているドラマ、映画などで見てすごく力のある人だと思っていました。でも仕上がったものを見るのと、現場で未完成を完成にしていく作業を見るのではぜんぜん違います。彼がどういう風に芝居を作っているんだろう、どういうモチベーションでいるのだろう。その過程を見たいと思っていました。
――実際に共演されていかがでしたか?
山田:自分の体力の衰えを感じました(笑)。ちょうど10歳違うんですけど、やっぱりパワーがあるなと思いました。ただその一方で、僕は10年経験がある分、力を抜くことを知っているんですよね。菅田君は抜かないので、撮影が長く続くと(疲れて)顔が変わっていくんですよ。「おい、お前、顔やばいけど」っていう(笑)。オンエアで見たら5分くらいの時間の流れなんですけど、顔が変わりすぎて「これ、オンエアで見てつながる?」っていうことがありました。
菅田:ありましたね(笑)。
山田:夜になるにつれて、眉毛が上がって、どんどん目が小さくなっていきました(笑)。
――オンエアでチェックしたいです。菅田さんは、山田さんに対してどんな印象を持っていましたか?
菅田:「何者かわからない」という印象を持っていました。黒い塊というか、GANTZみたいな、ちょっと怖さもありました(笑)。威圧的な怖さというより、なにかわからない怖さ。たぶん、みんなが思っている「次はいったい何してくれるんだろう」という期待感から来るものだと思います。
――同じ時間を共有してみていかがですか?
菅田:現場だと、たくらみごとを教えてくれるんですよ。「ブラのサイズを測る仕事はなんですか?」とかにも答えてくれる(笑)。先輩が企んでいる姿っていうのは一番刺激になるし、嬉しいです。あとは、ちゃんとこの人も悩むんだとか、台詞を噛んだりもするんだとか。朝の寝起きの辛そうな表情とかを見て、ちゃんと人間らしいと思ってちょっと安心したりしています(笑)。
山田孝之、自身のデジタル遺品については「見られてもどうでもいい」
――今回、デジタル遺品にスポットを当てています。ドラマとして初の試みとなるこの設定についてどのような感想をお持ちでしょうか?
菅田:もし今、何かを残すとなると携帯かパソコンですよね。おそらく紙で残っているものって減っていると思うんですよ。実際に作品で起こっているようなことが現実でも起こりえるなと感じています。デジタル遺品に対する法律もこれから必要になるかもしれないとか、考えたりしています。
山田:自分のことでいうと、すべての自分の情報を見られてもどうでもいいと思っています。そもそもこういう仕事をしていて表に立っていて、多くの人からそれぞれのイメージで見られているので。残っている情報は僕といろんな人との思い出とか、やりとりなわけじゃないですか。それをどう思われようが構わないです。ただ、それをみんなが気にするという気持ちもわかるので、今のタイミングでドラマ化して、皆さんに提示するのは意味があるし面白いことだと思っています。
――ありがとうございました! オンエアを楽しみにしています!
【放送情報】
テレビ朝日 金曜ナイトドラマ「dele(ディーリー)」
2018年7月スタート 毎週金曜よる11:15~0:15放送
(※一部地域を除く)
テキスト:氏家裕子