EXILE HIROとSSFF&ASIAの代表を務める別所哲也、作詞家の小竹正人によるコラボレーション企画『CINEMA FIGHTERS project』第2弾『ウタモノガタリ CINEMA FIGHTERS project』が、まもなく封切られる。本企画は、LDH JAPANがおくる楽曲の世界観を、国内外で活躍する映像作家たちがショートフィルムとして具現化する、音楽と映像の新たなエンターテインメントとなっており、映画界に新風を吹かしている。
そこで、6編から成る本作より、『アエイオウ』に主演する白濱亜嵐、『Our Birthday』に主演する青柳翔に顔を合わせてもらい、インタビューを敢行した。『アエイオウ』は次なる世界大戦の予兆が影を落とす中で生きる、ある自衛隊員ひかるの物語。一方、『Our Birthday』は仕事で成功を収めた若き社長・戸倉が別れた恋人との過去を引きずり、不思議な体験をするという1編だ。先輩、後輩同士のふたりは、互いの作品をどう観たのだろう?そして、どんな世界観で演じてみたいのだろう?
青柳翔、英語シーンの撮影にプレッシャー「毎日オエッと吐きそうになるくらい」
――おふたりの作品は全然違うタイプですよね。
白濱:だと思います!
青柳:普段、亜嵐はすごく明るいので、孤独な青年を演じている目の演技がすごく素敵だなと思いました。
――確かに、普段の白濱さんからは想像もつかないような役どころです。安藤監督とはどのような話し合いをされたんですか?
白濱:安藤監督からは、クランクインする前に「話したい」と言われて、ざっくばらんに映画のこと、作品のことなど、いろいろ話しました。台本を読んでわかりづらかった部分や、「これ…どういう意味なんだろう?」といった純粋な疑問もあったので、安藤監督にぶつけたりして。あとは、現場、現場で作っていきましたね。
――表現する上で大変だった点は、特にどのあたりでしたか?
白濱:ひかるの彼女・知和(木下あかり)とのシーンでは、僕は戦争を経験したことがないですし、危機に瀕した状況で恋愛するのはどういう感じなんだろう…、とすごく考えました。
――青柳さんはどのように役作りをしていかれましたか?
青柳:過去と現在が交錯するシーンがたくさんあるので、「2役やるつもりで演じられたらいいね」とSaito監督とお話をしていました。順撮りではなくバラバラに撮ったりしている中でも、工夫しながら撮影に臨めたのはすごくよかったかなと思っています。今回、英語の芝居があったので、毎日オエッと吐きそうになるくらいで……。
白濱:(笑)。そうなんですね!?
青柳:はい。もう…吐きそうだったよ。英語の芝居が終わった後、スタッフさんが気を遣ってくれて「青柳さん、英語クランクアップです(拍手)!」って(笑)。毎日、嘔吐みたいな感じですよ。
――その青柳さんを見たかったですが(笑)。
青柳:(笑)。スタッフさん、キャストさん、本当に温かい方々に見守られながら、Saito監督や共演のランディ(・ジャクソン)さんから英語もご指導していただきつつ、作品に取り組めたのは、すごくよかったかなと思います。
楽曲にインスパイアされた作品 白濱亜嵐「安藤監督のセンスに驚きました」
――企画自体、楽曲からインスパイアされています。ご自身の作品とテーマの楽曲から受けた刺激もありますか?
白濱:自分たち(GENERATIONS from EXILE TRIBE)の曲『何もかもがせつない』が『アエイオウ』のテーマ曲なんですが、撮影中にもこの曲を何度も聴き直して臨んでいました。安藤監督が、この歌を聴いて、この作品の世界観を想像したことについては…、何より安藤監督のセンスに驚きました。だから、僕もまず歌を聴き込もうと思い、何度も何度も聴いて、最後のほうには、この曲からこの作品が生まれた気持ちが「ちょっとわかる気がするな」という感情にまでなったんです。
――例えば、どのあたりから感じたんでしょうか?
白濱:歌詞はとにかく切なくたまらないといった内容ですが、曲調がそこまでバラードでもなければミドルテンポでもなく、ちょっと勢いもあるトラックに歌詞が乗っているんです。そのあたり、重たいだけではなく、メリハリもすごくついている作品だと思ったので、作品にも表れている感じがします。
――映画に出ることによって、曲の持つイメージは変わりましたか?
白濱:楽曲のデモがきた時点で「ショートフィルムの曲だよ」と言われていたので、いまだにこの曲を聴けば、撮影していた日々を思い出すくらい。自分の中でもすごくリンクしています。
――青柳さんは曲から生まれた物語について、どう受け止めていますか?
青柳:よくこの曲(『How about your love?』JAY'ED&鷲尾伶菜)から、『Our Birthday』の物語をSaito監督が生み出したなあ、と……。
白濱:青柳さんも、そう思われるんですね!僕も一緒です(笑)。
青柳:「曲とあまり関係ないな……」って一瞬思ったんですけど(笑)、人を生かす監督の手腕がすごいと思いました。映像を作るにあたって、どんな物語ができて、その中でどう人が生きるのかと考えてくれた上で、きっと完成していると思うので。
――楽曲そのものへの印象はありましたか?
青柳:曲はすごく素敵なんですけど、内容自体はあまりハッピーではないんですよね。物語の最後にこの音楽が流れると、どこか虚無感に包まれるというか……。曲の効果で、心の中にぽっかり穴が空くような作品に仕上がっていると思うんです。すごくよかったと思っています。
――ショートフィルムならではの楽しさや難しさは、ありましたか?
白濱:僕の作品で言うと、抽象的で、2時間の映画を15分にしたような感覚だったんです。その分、話もわかりづらくなることもあれば、伝わりづらいこともあると思いますが、安藤監督は、わかりづらさを逆手にとってうまく作り上げてくださいました。観る方にとってみたら、「これ、どういう結末なんだろう?」「ああなったのかな?」と人によってとらえ方が変わると思うんです。
青柳:亜嵐のとは反対に、僕の作品は割とわかりやすいシナリオだと思っています。現在と過去が交錯する設定や、観終わった後に「あの俯瞰の画は何だったんだろう?」と思えるような作品に仕上がっていると思いました。
(C)2018 CINEMA FIGHTERS
――『ウタモノガタリ CINEMA FIGHTERS project』は6編ありますが、ご自身の出演作以外で気になった作品はありましたか?
青柳:『カナリア』ですかね。単純に面白かったです。ノイズする映像がテーマに沿っていて、音とTAKAHIROさんのお芝居もつながっていて、すごく心に響いたんですよね。
白濱:僕は青柳さんのが一番です!
青柳:……嘘つけ(笑)。
白濱:本当です!
青柳:もう、亜嵐は上手なんだから(笑)!
――(笑)。音楽がテーマになっている本プロジェクトですが、おふたりは普段音楽活動に携わっています。そのあたりで感じられる部分はありますか?
青柳:どう?
白濱:いえいえ、(青柳は)どちらかと言うと、歌っていらっしゃるじゃないですか!
青柳:いや~、うん。音楽ってやっぱりすごいなって思いますよね。映画や番組を観終った後音楽がかかると、物語そのものがよみがえってきますし。音楽って、聴いている人たちのそのときの思い出になるじゃないですか。そこが音楽のすばらしさなのかなと思ったりもします。
そういえば、昨日、たまたま広島の犬猫みなしごの番組を見ていたんです。やっぱり最後、音楽がかかると、自分も感情的になっちゃうんですよね。
白濱:そうなんですね!僕は歌に力をもらえることもあれば、歌によって癒されるときもあったりするから、自分とすごく密接なものだと改めて思います。自分は踊り手なので、言葉では伝えられない分、歌詞や曲の世界観をダンスできちんと表現できるように心がけています。
白濱亜嵐、演じてみたい世界観は『Choo Choo TRAIN』
――「この曲の世界観を映像で演じてみたい」という希望はありますか?
白濱:面白い質問ですね!『Choo Choo TRAIN』!
青柳:どんな物語だよ(笑)?
白濱:ちょっとわからないです(笑)。でもパッと思いついたのが『Choo Choo TRAIN』だったらいいなあって。観たいですし、気になる。それだけでお客さんが来てくれる気がします。
青柳:どんな映像になるんだろうね?
白濱:HIROさん初監督、とかでどうでしょう!
青柳:そっか。僕は………GENERATIONSの曲がいいな……。
白濱:やめてくださいよ(笑)。しかも、これという曲名、出てないじゃないですか(笑)!!
青柳:(笑)。
白濱:めっちゃ抽象的じゃないですか(笑)!
――最後に、SSFF&ASIAが今年で20周年を迎えましたので、一言いただければと思います。
青柳:20周年という歴史の中で、1万作品が出品されていると聞いています。これは別所哲也さん、LiLiCoさんを始めとする、スタッフさんのお力だと思っています。今回から出品作品がアカデミー賞にノミネートされる作品になるんですよね?日本の若い監督たちが、どんどん世界の方に観てもらえるチャンスだと思うし、そうした映画祭になっていることが本当にすごいと思っています。そんな素敵な映画祭に僕たちLDHが曲を通じて参加できることは、すごく光栄なことです。
白濱:僕自身もショートフィルムへの参加が初めてでした。その中で、音楽から作品を作ることは、すごくLDHっぽいと感じています。ショートフィルムや、ショートフィルムフェスティバルをLDHとして盛り上げるにはどうするか、HIROさんを始め、いろいろな方が考えた結果、今のスタイルになり、たくさんの方に広まっているんだと思います。もっともっと広がればと、今、感じています。
映画『ウタモノガタリ-CINEMA FIGHTERS project-』は6月22日(金)より全国ロードショー
インタビュー・テキスト:赤山恭子
写真:野原誠治