『ヘルタースケルター』(2012)以来、6年ぶりとなる沢尻エリカの主演、若手演技派俳優の吉沢亮出演、犬童一心監督がメガホンをとる『猫は抱くもの』が、6月23日(土)に新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町他にて全国公開となる。
本作は、思った通りの自分になれず、投げやりな毎日に慣れてしまった“元アイドル”の沙織(沢尻エリカ)と、“自分を沙織の恋人だと思い込んでいる猫”が、自分らしい生き方を見つけていく物語。猫の良男の擬人化した姿を演じるのは、若手演技派俳優の吉沢亮。
さらに、「水曜日のカンパネラ」のボーカル・コムアイが猫のキイロを擬人化した姿を演じ、銀幕デビューを果たしている。また、ロックバンド「銀杏BOYZ」でボーカル&ギターを務める峯田和伸も、物語のキーマンとなる画家・ゴッホとして登場する。
この度、映画『猫は抱くもの』が、FIAPF(国際映画製作者連盟)が認定するアジア最大級の映画祭である第21回上海国際映画祭のコンペティション部門に選出された。
これは、長編劇映画のコンペティション部門で邦画として唯一の作品となる。(※上海国際映画祭には、長編劇映画、ドキュメンタリー、アニメーションの3つのコンペ部門がある)
長編劇映画のコンペティション部門には、本作以外に12本入選しており、合計13本で、同映画祭の最高賞にあたる「金爵賞」を競うことになる。
本作の上映日である6月21日、主演の沢尻エリカと、犬童監督が、急遽上海に飛び、満席の観客(1200人)の前での舞台挨拶と、メディアの数が50を越える報道陣が詰めかけた記者会見に臨んだ。
舞台挨拶を前に、レッドカーペットを歩いた沢尻エリカと犬童一心監督。登場するやファンクラブのメンバーや現地のファンも大勢詰めかけ200名を越す人だかりができ熱烈な歓声の中、沢尻と監督が登場した。中には5時間かけてきたファンも。
『猫は抱くもの』が上映される「Shanghai Film Art Center HALL 1」の中に敷かれたレッドカーペットの先にある上海国際映画祭のパネルの前に立ち、二人はサイン。そのあと花束をもらう。沢尻は終始笑顔で「シェイシェイ、ありがとう」とコメント。
1200人もの観客でソールドアウトとなった本編上映後に、上海国際映画祭にふさわしい、華やかなGUCCIのドレスをまとった沢尻が登場すると、会場からは、割れんばかりの拍手と歓声が鳴り響いた。というのも、中国国内でもテレビドラマ『1リットルの涙』がテレビ放映されており、それを機に沢尻は、高い知名度と人気を得ている。
会場にも沢尻の中国でのファンクラブ“沢尻会”(現在約9000名ほど。2008年発足)の多くのファンたちが詰めかけていた。沢尻と犬童監督が登場すると大歓迎を受けた!
犬童一心監督
素晴らしい大きな劇場で自分の作品が上映されることがすごく嬉しいです。一緒に見たかったです。こんな大きなスクリーンで見ることはもうないと思うので。
ーー監督は以前猫の映画を撮られていますが、監督自身猫がお好きなのですか?
犬童:そうです。僕は家に2匹猫を飼っていて、この映画で吉沢亮さんが演じているロシアンブルーの良男の演技に対して、家で飼っている猫の動きや性格を伝えました。
ーーロシアンブルーの猫を主役にしたのは何故ですか?
犬童:原作の小説でもロシアンブルーが主役で、それでロシアンブルーで演技のできる猫を探しました。
沢尻エリカ
6年ぶりの主演映画で、すごく自分の気に入った作品になりました。その映画が海外で上映されることになって嬉しいです。
ーー猫に対する自分の想いや感想をお聞かせ下さい。
沢尻:この映画がきっかけでこの良男を家で引き取って、家では「グリグリ」と呼んでいるんですけど、凄く素敵な子で、家族の一員になって、もともと家は犬を二匹飼っていてこれで猫が一匹来て、本当に賑やかな家になっておかげで楽しく過ごしてます。
ーー作品の中ではすごい吉沢さんと触れ合うシーンが多いんですけど、そのときは恥ずかしいとか思いました?
沢尻:ちょっと恥ずかしかったです(笑)あまりにも近いので、最初はすごい照れ臭かったんですけど(吉沢さんが)人間だってことを忘れて、吉沢さんが本当に猫っぽく演じてくれたので、猫だと思って可愛がりました。「1リットルの涙」のときからのファンです。シェイシェイ。嬉しい、ありがとう。
ーー中国の観客の情熱をさっき感じられたと思いますが、これから中国進出とか、そういう考えはありますか?
沢尻:正直(進出)したいです!中国映画はスケールも大きいし、見ていて本当に凄いなあと思うことがたくさんありますので。そういう作品に関わることができたら、私も嬉しいなあと思いますし、(出るときは)中国語を勉強したいと思います。
実は、沢尻は新作の撮影の真っ只中でスケジュールはビッシリ。当初は映画祭の参加は全く予定されていなかった。しかし、沢尻の強い希望もあり、至難のスケジュール調整を経ての渡航となったため、今回は日帰り、わずか9時間の中国滞在!帰国の便の時刻が迫り、記者会見も泣く泣くの中座となった。
沢尻は、「ファンの皆様との距離がすごく近くて、とてもうれしい気持ちになりました。また上海に来られるように頑張りたいと思います」という言葉を残して再び機上の人に。日帰りという弾丸トラベルとなった今回の映画祭参加だったが、沢尻も犬童監督も大満足の時間となった。
そして、日本映画として最高賞の「金爵賞」を受賞すれば、2005年『村の写真集』(監督:三原光尋)以来の快挙となる。注目の金爵賞は6月24日(日)の夜に開催される閉幕式で発表される。
2018年の上海国際映画祭とは
6月16日~25日まで開催される上海国際映画祭は、世界15大映画祭のひとつで、FIAPF(国際映画製作者連盟)が認定する国際映画祭である。21回目を迎える今年は、世界108カ国から、3400本以上のエントリー(うち日本映画約200本)があり、アジア最大級の映画祭として注目を集めている。また本作が出品されるコンペティション部門は、第10回(2007年)に山田洋次監督『武士の一分』が最優秀音楽賞(冨田勲)を受賞、第19回(2016年)に阪本順治監督『団地』が最優秀女優賞(藤山直美)を受賞するなどしている。
STORY
思った通りの自分になれなくて、いつしか投げやりな生き方に慣れてしまった沙織(沢尻エリカ)。元アイドルのアラサーで、今はスーパーで働く彼女が心を開くのは、こっそり飼っている、ロシアンブルーの猫・良男(吉沢亮)だけ。今日いちにちの出来事を、妄想を交えつつ良男に話して聞かせる沙織。沙織の心に寄り添ううち、良男は自分が沙織の人間の恋人で、彼女を守れるのは自分だけだと思い込んでしまう。
そんなある日、沙織の前に“ゴッホ”と呼ばれる売れない画家・後藤保(峯田和伸)が現れ、良男は沙織の変化を目の当たりにする。ある晩、良男は月に誘われるように外の世界に飛び出し、迷子になってしまい…。ゴッホや、ゴッホを慕う猫・キイロ(コムアイ)、個性豊かな猫たちとの出逢いを通じて、1人と1匹は、自分らしく生きるすべを見つけていく。
うまくいかないことの輝き。置いてけぼりをくらっている時間の豊かさ…。灰色の日常がカラフルに輝きはじめる、心温まる物語。
(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会