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 韓国人であれば誰でも知っていると言ってよいほど有名な古典文学『春香伝』。妓生(キーセン/日本の芸者のような職業)である母を持つ美しい女性・春香(チュニャン)と、良家の息子として生まれた李夢龍(イ・モンニョン)という、身分違いの若者たちの恋物語は、これまでに何度も映画化されてきた。また、背景を現代に移して青春コメディとして描いた『怪傑春香』(05)といったテレビドラマも作られている。『春香秘伝 The Servant』は、この物語にさらにひねりを加え、「春香が愛した人は夢龍ではなく、彼の召使いである房子(バンジャ)だった」という設定で、エロティックな欲望と切ない愛が交錯する愛憎劇の“真実”が語られていく。

 遊び人たちが集う清風閣で主人の娘・春香を見初めた夢龍。早速、召使の房子を使いに出し、ふたりは逢い引きをするようになるが、実は房子も密かに春香に思いを寄せていた。身分の低い自分のことを“競争相手”などとはまったく考えていない夢龍の態度に傷ついた房子は、“恋の達人”として名高いマ老人から授けられた「女性をとりこにする秘術」を武器に、春香の寝所に忍び込む。

 金持ちであることを鼻にかけ、高慢な態度で駆け引きを楽しむ夢龍。野生的な肉体と率直な口調で思いをとげようとする房子。身分も個性も違うふたりの男性を前にした春香の選択を決定づけたのは、房子によって目覚めさせられた彼女の“欲望”だ。ある夜、いきなり目の前に現れた房子に戸惑いつつも、次第に自ら彼の体を求めだす春香。互いへの思いをぶつけ合うような、力強く官能的なラブシーンに目が釘付けになる。また、同じ身分の房子が、自分ではなく主人へと惹かれたことに嫉妬した春香の召使い・香丹(ヒャンダン)と夢龍との、“ただ体だけを重ねるだけ”のような情事のシーンからは空虚な切なさが伝わってくる。

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 伝統衣装(白い布によって締め付けられた胸元がなんとも艶めかしい)を身にまとい、登場から男性たちを惹きつける春香を演じているのは、本作に出演するまではどちらかというとおっとりとした印象が強かったチョ・ヨジョン。薄い布の衣服を1枚ずつ脱がされながら、徐々にあらわになっていく体の美しさには、房子ならずとも魅了されてしまう。この作品で見せた、ベビーフェイスとグラマラスボディのギャップの衝撃と、心情を強く伝える演技力で改めて注目されるようになった彼女は、12年の『後宮の秘密』でも、官能的な時代劇の主人公を見事に演じている。そんな彼女を「自分のものにしたい」と切望する房子役は、昨年、突然の交通事後で惜しくも亡くなってしまったキム・ジュヒョク。奔放な妻に翻弄される『妻が結婚した』(08)など、彼もそれまでは「上品で人のよいキャラクター」というイメージの俳優だったが、『春香秘伝 The Servant』でワイルドかつセクシーな一面を見せて以降、バラエティに富んだ役柄を演じるようになっていった。

 さらにこの映画で注目なのは『国際市場で逢いましょう』(14)のオ・ダルス扮するマ老人によって房子に伝授される「恋の秘術」。「思いを寄せる相手を振り向かせたい」「目の前にいる相手と関係を結ぶびたい」時に使えるユニークな技は、もしかしたら実生活でも役に立つかもしれない。

 『春香秘伝 The Servant』は、7月7日(土) よる11時より、人気企画の【コリアンエロス映画】枠で放送される。

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テキスト:佐藤結

【コリアンエロス映画】春香秘伝 The Servant【R18+】 | 無料のインターネットテレビはAbemaTV(アベマTV)
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