愛し合うふたりが、人生を共に歩んでいくと誓うことから始まる結婚。事前に「離婚することになった場合はどうするか」について文書を交わし合うカップルがいたりもするので、そもそもが、ある種の“契約”に基づく関係ともいえるかもしれない。韓国で高視聴率を記録した『結婚契約』は、そうした“当たり前の”結婚ではなく、愛などひとかけらも感じていなかったふたりが“打算で”始める結婚生活の行方を見つめていくドラマだ。
(C) 2016 MBC
ハンナム食品会長の愛人の子として生まれ、現在は父のもとで本部長として働くジフン(イ・ソジン)。酒浸りの生活を送ってきた実母ミランの肝硬変が悪化し、移植手術が必要だということを知った彼は母を救うため、移植が可能な相手との偽装結婚を目論む。一方、夫の死後、娘ウンソンを抱えながら借金の返済に追われていたヘス(ユイ)は、勤め先のレストランの責任者であるジフンの計画を知る。その後、自分が脳腫瘍で余命が短いと知ったヘスは、金銭面での補償を条件に、“結婚”したいとジフンに申し出る。
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“愛人の子”というコンプレックスから人生に価値を見出せなかった御曹司が、子どもを抱えて必死に生きる年下のシングルマザーと出会って人を愛することの意味を知る。“契約”という不自然な形で関係をはじめたふたりの心情の変化が、このドラマの一番の見どころだ。主人公ジフンに扮しているのは、時代劇『イ・サン』でもおなじみのイ・ソジン。
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『チェオクの剣』(03)や『火の鳥』(04)といったドラマで、一見、冷たそうに見えながらもロマンティックな魅力を発揮していた彼が久しぶりに出演した本格的なラブストーリーとして話題を集めた。彼が演じるジフンは、ドラマの前半、“かなり嫌な奴”として登場するが、実はこれにはイ・ソジン自身の意見が反映されているとのこと。元々、“かなり善良な男”として描かれていた脚本を読んだイ・ソジンが「そうでない男が愛のために変化していく姿を見せたい」という思いを製作陣に伝えると、3日後には書き換えられた新しい脚本が届いたという。そうして作り上げられたキャラクターに見事になりきったイ・ソジンは、ドラマが進むに従って湧き上がっていくヘスへの切ない思いをストレートに表現している。また、彼女の幼い娘ウンソンに翻弄され戸惑う姿や、友人ホジュンとの軽妙なやりとりの中には、『三食ごはん』などのバラエティ番組で見せている気さくな素顔も垣間見える。
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そんなジフンに最初は反発しながらも、徐々に心を開いていくヘスを演じているのはガールズグループAFTERSCHOOL出身のユイ。『烏鵲橋の兄弟たち』(11)などではハツラツとした魅力を発揮していた彼女だが、『結婚契約』では病の進行と闘う母親という難役に挑戦し、「俳優として一段成長した」と評された。そのほか、ジフンが愛憎半ばする思いを抱いている実母役のイ・フィフャン、父親役のキム・ヨンゴンといったベテラン陣の好演もドラマをしっかりと支えている。『結婚契約』はAbemaTV【韓流・華流チャンネル】にて、7月18日(水) 22:20より放送。
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テキスト:佐藤結
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