【インタビュー】

『ラストアイドル in AbemaTV』 「LaLuce」プロデューサー・後藤次利

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 秋元康、つんく♂指原莉乃、近田春夫、後藤次利の5名の有名プロデューサーたちがアイドルユニットとタッグを組み、シングルの表題曲をかけて対決する唯一無二のアイドル番組『ラストアイドル in AbemaTV』(毎週日曜・よる7時)。

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(▲ラストアイドルから誕生「LaLuce」)

 ユニットの代表メンバーらが引いた抽選の結果、アイドルユニット「LaLuce」を手がけることになったのは、音楽プロデューサー・後藤次利だ。

 中島みゆき、沢田研二、八神純子らレジェンドから、おニャン子クラブ、工藤静香など伝説のアイドルまで、数々のアーティストに楽曲を提供してきた後藤。LaLuceが歌う『Everything will be all right』は、後藤が作詞・作曲・編曲を担当し(名義:GOTO)、世界的ギターリストでもあるマーティ・フリードマンが演奏で参加するなど(6月17日放送『ラストアイドル in AbemaTV #3』より)アイドルファンだけでなく、ロックファンも熱視線を送っている。

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 取材中「彼女たちとの出会いは一期一会。音楽で表現できることの楽しさを世代を超えて伝えたい」と語った後藤。「LaLuce」への想い、オーディション番組『ラストアイドル』について思っていることを聞いてみた。

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「僕だと地味じゃない?」 不安のあまり総合企画・秋元康氏に確認

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――後藤さんはおニャン子クラブや野猿などの楽曲をはじめ、『ラストアイドル』総合企画を担当する秋元康さんとのつながりも深いかと思いますが、今回のオファーのきっかけはどういうものだったのでしょうか?

後藤:僕は自分の公式サイトにも連絡先を載せていないし、SNSもやっていないんですよ。だから連絡が来る人って限られているのだけど、ある日、知り合いから「後藤さんを探している人がいる」って言われて。それがこの『ラストアイドル』のオファーだったんです。番組のことは知っていたのですが、僕は小室哲哉さんや織田哲郎さんのように、アーティスト活動するというよりは、完全な裏方の人間なので「地味じゃないか?」と思ったんですよ。そこで秋元さんに「僕で大丈夫?」と聞いたら「大丈夫」って。ならば、トライしてみようとお受けすることになりました。

――プロデューサーの中では、指原莉乃さんが一人だけ女性として参加していますね。


後藤:指原さんの持っている「現場力」ってすごく強いですよね。指原さんが2012年にHKT48に移籍したころ、秋元さんから連絡をいただき、劇場公演に誘ってもらったことがあります。そのとき、楽屋で指原さんとお会いしたことを覚えています。きっと指原さんは覚えていないだろうけれど(笑)。それぞれのプロデューサーによるラストアイドルの楽曲はどれもパワーがあって、全部良いなと思います。

おいしいご飯を食べたときの“ごちそうさま!”を「歌に活かして」

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――実際に『ラストアイドル』にプロデューサーとして参加することになって、LaLuceの第一印象はいかがでしたか?


後藤:参加が決まったところ、これまで『ラストアイドル』で放送された分の大量のDVDが送られてきて。そのときは、まだどのグループを担当するか決まっていなかったので、全てのユニットのDVDを拝見したのですが、僕にとっては孫みたいな存在ですよね(笑)。

担当ユニットがLaLuceに決定してからは、メンバーとどんなコミュニケーションしたらいいのか、会話の糸口を探しました。いろいろ会話をして。LaLuceのメンバーは、みんなすごく品がありますね。話していても上品。野球でいうならば、阿部さんは内角胸元えぐるシュート。安田さんは外角コーナーぎりぎりのスライダー。でも時として、曲がりすぎてキャッチャーが後逸してしまうときもあります(笑)。長月さんはど真ん中ストレート。大石さんと鈴木さんはチェンジアップ!この球種を使って組み立てました。

センターが誰という価値観ではなく、サイドライン強化から作ろうと思いました。それには、阿部さんと安田さんが適任と判断しました。歌の出だしが、両脇の立ち位置から出だすことで、グループの枠がきっちり見せられると思ったんです。

――まずはサイドを決めて、センターが活きるようバランスを調整。メンバーの歌唱力はどう感じましたか?

後藤:メンバーで年少組の鈴木さんと大石さんは、いざ歌うときに緊張しすぎて単調な歌い方になってしまっていたのですが、「おいしいご飯を食べたときの“ごちそうさま”ってどんな感じで言う?」って聞いてみたら、すごくいい「ごちそうさまー!」が聴けたんです。二人は普段はすごく表情豊かなのに、歌うとなると構えすぎてしまうんだなと感じました。ですので、会話の延長にメロディがあるんだという感覚になれるよう、歌入れの指導をしました。2人はどんどん成長しています。

――放送では、メンバーがそれぞれ一人になって歌う後藤さん流の“練習風景”も映っていましたね。

後藤:男性でも女性でも同じことが言えるのですが、「せーの!」で一緒に覚えた曲を歌おうとすると、どうしても“合唱”、つまり没個性な仕上がりになってしまう。僕は彼女たちなりに崩して歌ってほしいので、まずは一人ずつ歌ってもらいました。覚える時間は1時間でしたが、それで歌えなかったら、「自分が作った曲がいけなかったのかなぁ」って思うんです。フルに1曲を歌うのではなく、テレビサイズのバトルですし、覚えやすい曲が良いなと思って。結果『Everything will be all right』という曲が生まれました。

「歌で表現できる喜びを感じて。それは最高に幸せなこと」

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――後藤さんの“褒めて伸ばす”アドバイスは、ファンの間でも話題になりました。こだわりやご自身の中で原点と考えているものはあるのでしょうか?

後藤:それは、僕自身が褒められて木に登るタイプの人間だからです(笑)。

僕はメンバーたちに「歌をうまくなりなさい」って言いたいんじゃなくて、歌で表現できる喜びを感じてほしいんです。自分の気持ちや考えを大勢の人の前で表現できるって最高に幸せなことだから。

先日、スケジュールの都合で長月さんと阿部さんは来られなかったのですが、安田さん、鈴木さん、大石さんの3人を『八神純子 with 後藤次利 “The Night Flight 5”』のライブに招待しました。世代は違いますが『みずいろの雨』は聴いたことがある曲のようでした。歌や音楽の力強さを感じてほしかったんです。

――楽曲『Everything will be all right』で全員が異なる衣裳を着ているのも個性的で面白いです。


後藤:これは賛否両論あると思ったのですが、スタイリストさんに『YMCA』を歌っていたヴィレッジ・ピープルや、極端に言うとTHE ALFEEくらい「それぞれの個性が出たバラバラのテイストにしたい」と話して(笑)。あとはメンバーそれぞれにリクエストを聞きました。「自分の脚に合う丈はこれくらい」や「チャームポイントをこうやって活かしたい!」と色々アイデアが出てました。衣裳の話は、音楽の話をしているときより数十倍元気でした。ファッションの話は僕が口出しをするより、女の子たちに任せた方が間違いないので(笑)。

野猿『Fish Fight!』以来の作詞に挑戦 「演奏以外のテレビ出演も不思議な感覚です」

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――『Everything will be all right』の歌詞にはどのような気持ちがこめられていますか?


後藤:作詞はもともとやる予定ではなかったんですが、“仮詞”があったほうがメロディが作りやすいんです。その流れで本番の詞に繋がりました。昔、秋元康さんと曲を作っているときに、“仮詞”をつけると「邪魔です!」と冗談で言われることがあったなぁと思い出しました(笑)。例えば、8分音符4個に言葉をのせる時「新宿」と「品川」って聞いた感じが全然違うじゃないですか。音節としてハマっていても、ノリが違うんです。なので、作曲と同時に仮詞を考えています。

今回の『Everything will be all right』の作曲は、その都度浮かんだパートを鼻歌でボイスメモに入れて、形になるようつなぎ合わせていきました。作詞は朝、空を見て浮かんだ言葉から紡いだものです。考えてみると、2001年に出した野猿(フジテレビ系『とんねるずのみなさんのおかげでした』から生まれた音楽ユニット)の楽曲『Fish Fight!』以来の作詞になりますね。演奏以外でテレビに出演していることがとても不思議な感覚です(笑)。

――後藤さんが過去にプロデュースした工藤静香さんはおニャン子クラブというアイドルグループを卒業後、ソロアーティストとして大成功されていますね。


後藤:工藤静香さんがおニャン子クラブに加入したばかりのころ、レコーディングで「一人雰囲気が違う子がいるな」と思ったのを覚えています。やる気があるのかないのか不思議な雰囲気で、スタッフの方に「あの子誰ですか」って聞いたんです。その後、シングル20曲ご一緒させていただきましたが、中でも『抱いてくれたらいいのに』という曲では「女性アイドルがロッカバラードをやる!」という挑戦がすごかったと思います。故渡辺有三さん(音楽プロデューサー・ポニーキャニオン元常務)の力量も素晴らしく、楽しいお仕事でした。

――『Everything will be all right』にもロック要素がふんだんに盛り込まれていますね。後藤さんは、本当にたくさんのアーティストさんに楽曲を提供されていますが「この子は伸びる!」と感じる瞬間というのはあるのでしょうか?

後藤:そういうのは、やっぱり言葉に換算できないものがあります。音楽活動は、現実的に自信と不安の繰り返しなので。それを自分がどう乗り越えるか、乗り越えられるかどうかが一番大切だと思います。

――AbemaTV版『ラストアイドル』もいよいよ佳境ですね。「LaLuce」について思うことはありますか?

後藤:LaLuceのみんなとの出会いは一期一会。僕のミッションはLaLuceを勝たせてあげることで、ファンの人も「とにかくLaLuceを勝たせてくれ!」と思っているかもしれないけど、僕は音楽で表現できる喜びを彼女たちにまず伝えたい。『Everything will be all right』の歌詞も「自分ののびしろ こんなもんじゃないよ」とか、無意識にメンバーに対する僕の想いが出ているのかも。僕が若い子の恋愛の歌詞は書けないっていうのもありますね(笑)。

――後藤さんと「LaLuce」の今後の活躍に期待しています。今日はありがとうございました。


(テキスト:中村梢)

(写真:野原誠治)


次回は8月12日よる7時放送! ▶︎ 『ラストアイドル in AbemaTV #11』

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