7月31日、京都最古の禅寺である建仁寺にて史上初の“お茶”の映画である『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)の完成披露イベントが行われ、出演者の黒木華(典子役)、樹木希林(武田先生役)、そして大森立嗣監督、原作者の森下典子が登壇した。

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 建仁寺を開山した栄西禅師は、日本に禅を伝え、中国から茶種を持ち帰って、日本で栽培することを奨励し、喫茶の法を普及した“茶祖”としても知られている。イベントではまず、史上初の茶道のお稽古を描く同作の完成を記念し、建仁寺内「方丈」にて献茶式を執り行った。建仁寺の和尚から、最初に森下が、お茶が入った茶碗を受け取り、栄西禅師を描いた掛け軸のもとにある焼香台の前で茶碗を回す。和尚に茶碗を戻し一礼。茶碗は4月20日の栄西禅師の誕生日に使用する天目茶碗を今回使用している。続いて黒木、樹木、大森監督の順で同様に献茶、最後の大森監督の合掌と一緒に、映画関係者も合掌。その後、和尚がお経を唱え、厳かな雰囲気の中、終了した。

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 続いて「大書院」での記者会見。映画が完成してここ京都で完成披露イベントをすることについて、大森監督は「着物を着てお経をきいて心が洗われた。映画の公開に身が引き締まる気がした」、黒木は「建仁寺で会見をさせていただき嬉しいです。背筋が伸びます」、そして樹木が「私以外の3人は独身です。また新たね出会いがあればいいなと並ばせていただきました。」と、早速笑いをとる。京都で大学時代を過ごした黒木は、「京都で舞台挨拶をする機会があまりないので嬉しいですし、なつかしい気持ちになりました」と喜びのコメントを重ねた。原作者の森下は、映画化されることを聞いたときの気持ちを、「60歳になったばかりで、盆と正月が一緒に来たというのはこういうことなんだと。神様から還暦祝いをいただいたのだと思いました」と振り返った。

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 本作で欠かせぬお茶の稽古については、黒木が「順番を覚えるのが大変でした」、先生役の樹木は「先生の役だから、やらなくちゃやらなくちゃと、ずっと負担でした。一夜漬け、先延ばしでいたら、プロデューサーが一緒にやりましょうと。えらい出来の悪い先生になりました」と冗談交じりでコメント、「千利休は辛抱強い人だったんだ」と実感したそうだ。それでも森下からは、お点前が実際の武田先生に似ていることがあったと言われ、「ただ年を取っているだけ……」と笑って返した。

 この日の4人は着物で身をつつんでおり、中でも黒木の、大正時代の旧宮家から拝領された絽綴れに手刺繍の金魚の帯、それに合わせた大正時代の絽の振袖は、ひときわ目をひく格式高い豪華な装いだ。黒木が「鷺が飛んでいてそれがポイントです。刺繍もすごくきれいです。お見合い写真でも撮っておこうかな」とつぶやくと、樹木が「この色合いは古くからのものならでは。素敵。」と称賛しながらも、「お見合い写真を撮らなくては着ないようでは」とツッコミ。

 お茶を通して幸せだなと感じたことについては、大森監督が「お茶室を出たときの爽快感。ビールがおいしい!」、黒木が「おいしいご飯をたべて、最後に飲むお茶が幸せ」、樹木が「縁があってまた地球上に生まれてくることがあれば今度は、小さな茶室を建てて夫と静かに向き合う人生を送りたい、と思いました」、森下は「五感が研ぎ澄まされます。季節を感じられることが幸せです」。

 黒木演じる典子は20歳でお茶をはじめ、就職に失敗したり、周りと自分を比べて悩みながら青春を送るが、いつもお茶が寄り添い、乗りこえてきた。20代女性へのメッセージとして、「典子にとってのお茶がみなさんにあると思います」と熱く思いを語る。

 最後に、樹木の健康について質問が及ぶと「やっと(質問が)来たわね。(昨年末の撮影時から)10キロ痩せて、7センチ縮んで、人間てこんなに縮むんだと面白くみております。みなさん、お気をつけて。」とユーモアを交えて回答。樹木のヒネリのきいた答えは、会場を沸かせた。

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ストーリー

 とにかく私はお茶を習うことになった。二十歳の春だった。

 たちまち過ぎていく大学生活、二十歳の典子(黒木華)は自分が「本当にやりたいこと」を見つけられずにいた。ある日、タダモノではないと噂の“武田のおばさん”(樹木希林)の正体が「お茶」の先生だったと聞かされる。そこで「お茶」を習ってはどうかと勧める母に気のない返事をしていた典子だが、その話を聞いてすっかり乗り気になったいとこの美智子(多部未華子)に誘われるまま、なんとなく茶道教室へ通い始めることに。そこで二人を待ち受けていたのは、今まで見たことも聞いたこともない、おかしな「決まりごと」だらけの世界だった――。

 それから二十四年。就職の挫折、失恋、大切な人との別れ。いつも側にはお茶があった。五感を使って、全身で、その瞬間を味わった。やがて「日日是好日」という言葉をかみしめていく美しき時の流れ。この映画は、内なる自由と生きる喜び、そして、かけがえのない“今”を描く物語である。

(c)2018「日日是好日」製作

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