8月6日にAbemaTVで放送された「スピードワゴンの月曜The NIGHT#119」(毎週月曜25時00分~)に、「怪談グランプリ2013」の優勝者で、オカルトコレクターの田中俊行が出演。海釣りに出かけたカップルの恐怖体験を披露した。「The NIGHT」は平日深夜、日替わりのパーソナリティが司会進行を務める深夜ラジオ風の生放送番組。スピードワゴンは月曜日を担当している。この日の番組テーマは「怪談」。田中ら「怪談四天王」が、それぞれ持ちネタを語った。
田中が披露したのは、彼の友人Kの体験談。釣り好きのKは、その日彼女を誘って深夜の海釣りに出かけた。知り合いから聞いた釣りスポットは、周辺に民家もほとんどないような海岸だった。彼女とふたりで釣り糸を垂らしたものの、一向にアタリが来ない。Kは気分転換を兼ねて、ひとりで近くにあった自販機に向かった。
コーヒーをふたつ手にして戻ると、彼女の周辺に何人かの人がいて談笑していた。両親と小学生らしき子ども二人の四人家族だった。近所に住んでいるという。深夜に子連れで外出するだろうかという疑問はあったものの、Kさんも談笑に加わった。しばらくすると、父親がもっと釣れる場所に案内すると言い出した。彼女が行くと言うので同行したものの、ますます暗く危険な場所に向かっているように思えた。Kさんは危険を感じ、足を止めると彼らを凝視した。先導する父親の着用するジャケットが裏返しになっていることに気づいた。ほかの人たちも同じだ。足元に目をやれば、靴も左右逆に履いているではないか。日本には「逆さ事」という風習がある。死者を弔うときに装束の襟元を生前と逆にすることに代表される。
Kさんはやばいと直感した。彼女の手を握ると、振り返ることなく車まで走り続けた。「いきなりどうしたのよ」助手席から彼女が聞いてきた。彼女は逃げ出したことに明らかに不満そうだった。事情を説明すると、彼女の様子が一変した。いきなり形相が変わり、手の甲で激しく拍手し始めたのだ。
早くこの場所から離れなければ。Kさんはアクセルを踏んだものの、タイヤは砂の上で空回りを続けるだけだった。彼女は隣で失神していた。バックミラーに目をやると、あの家族がいた。車はずるずると後退していた。このままでは海に引きずり込まれる。Kさんは全力でアクセルを踏み続け、かろうじて窮地を脱した。後日、Kさんは過去にその場で一家心中があったことを知った――。
幽霊など信じない。番組でコックリさんをやったときには、「いま何問目?」と質問して混乱させてやったとうそぶくスピードワゴン小沢も、田中の話には身をこわばらせて聞き入っていた。
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