開催まであと２年に迫った東京オリンピック・パラリンピック。訪日する障害を抱えた外国人は約7万5000人以上に上るとも予想されており、空港だけでなく色々な場所でバリアフリー化が進んでいる。
ロンドンパラリンピックを取材した乙武氏は「実は世界で最もパラリンピックを成功させたと言われているのがロンドン大会。ロンドンの街はヴィクトリア朝時代の建物も残っているので、バリアフリーは東京よりもひどい状況だった。しかし、パラリンピックの招致が決まってから本格的に改革を行った。印象的だったのは、国会議員方が日本にすごく期待をしていたこと。つまり、これからのバリアフリーはテクノロジーによって多くの問題を解決していける可能性があり、テクノロジーと言えば日本だからだと。ところが、現状を見れば、タクシーもバスもアナログ。ロンドンなどヨーロッパの街でバスに乗ると、運転席のボタン操作一つで電動スロープが出てきて乗降できる。しかし都営バスでは、運転手が降りてきて箱を開けて…という工程を経て、３～５分かかる。車いすユーザー側も"お待たせしてすみません"とペコペコしなきゃいけない」と指摘した。
ロンドン五輪が成功したと言われるのは、史上初めてパラリンピックのチケットを完売させたことだ。乙武氏は「イギリスでも招致が決まるまではパラリンピック=感動物語という文脈で語られてきた。そかし、それでは広がりに限界があるということで、純粋なスポーツだとしてPRしていった。また、開催前年にパラリンピックのプレ大会を開き、ルールや選手たちのことを知ってもらい、機運を高めた」と話した。
乙武氏が指摘するように、交通の要となるタクシー業界では、車いす使用者・足腰の弱い高齢者・ベビーカー利用の親子連れ・妊娠中の人など誰もが利用しやすい環境作りが整えられている。全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長が「まず主要都市で３割以上、３台に１台はこの車両にして形式を変えていきたい」と話し導入を進めるのが、トヨタの「ジャパンタクシー」だ。これまでのセダンタイプと違い、車いすでの乗車も可能となった車両で、昨年10月に販売開始された。
番組では、バリアフリー研究所の木島英登氏に同行、ジャパンタクシーに乗降する場面を取材させてもらった。まず、助手席のシートを倒して後部座席を畳み、その下に収納されているスロープを取り出す。さらにトランクに入っている部品とあわせ、作業開始から５分半後に、ようやく乗車にこぎつけた。
しかし、タクシー会社が指導時に使用したものと、木島氏の車いすの種類が異なっていたため、今度は固定に時間を取られ、移動できる準備が整うまでには約15分もかかってしまった。
運転手は「１回の講習だとなかなか覚えきれないので、YouTubeの講習動画で何度も見ている」と明かす。木島氏は「決して運転手さんの不手際ではなくて、構造上、車いすに乗る準備みたいなのに時間がかかってしまう。福祉タクシーは空港などでは電話予約制なので、流しでも拾えたり、大きな駅や空港からもそのまま乗れたりするようになれば便利だと思う」と話した。
また、車いすの訪日外国人対策について木島氏は「僕の仕事の半分くらいは訪日外国人に対するバリアフリー旅行情報の提供。急にバスの車両を変えたり、ホテルをバリアフリーにしたりするのにはお金もかかるし、すぐには難しい。とりあえずできることとしては、どこにエレベーターがある・ないといった事実を公表して欲しい。その"情報のバリアフリー"を進めれば、現実もわかる」と指摘した。（AbemaTV／『AbemaProme』より）
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