演劇界の巨匠ピーター・ブルックの第3作にあたる長編映画作品『テル・ミー・ライズ(原題:Tell Me Lies)』が、8月25日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開されることが決定。同作の冒頭映像と著名人より寄せられたコメントが到着した。

1968年に激化したベトナム戦争を痛烈に批判した同作は、その年のカンヌ映画祭に選出されるも、その後突然の取り下げにより上映中止に。しかし同年のヴェネツィア映画祭に選出され、審査員特別賞次点とルイス・ブニュエル審査員賞の2部門受賞。が、アメリカやイギリスの一部の劇場でしか公開されず、様々な妨害を受け、短期間しか上映されることはなかった。その後、本編も紛失し長年幻の作品とされてきたが、2011年に本編が発見。50年の時を超えて、ついに日本でも劇場公開決定となった。
今回解禁となった冒頭映像は、包帯で全身を覆われたベトナム戦争で被害にあった赤ん坊の写真から始まり、軽快なリズムでありながら“ベトナム戦争についての嘘を聞かせるがいい”という痛烈な歌詞が印象的な歌を聴く事が出来る。そして映像の最後には、戦争被害者の写真を見た男性が“これを見ても同じことを続けるってどういう神経だ?”というピーター・ブルックのベトナム戦争への想いを代弁しているかの様なセリフも収めれている。
予告編のナレーションも担当したピーター・バラカン氏は“50年前に起きていたことはまさに今再び起きていて、それにどう向き合うべきかというヒントが特に最後の辺りに濃厚に出ています。”というコメント。国際政治学研究者の三浦瑠麗氏も“この映画は過ぎ去ったあの時代を蘇らせる。”と語っている。巨匠ピーター・ブルックが手掛けた究極の反戦映画『テル・ミー・ライズ』は、8月25日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて順次公開。
著名人コメント
ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
最初は驚く低予算感とビミョーなミュージカル部分にもかかわらず、歴史的価値満載の映画です。また詳細は違っても50年前に起きていたことはまさに今再び起きていて、それにどう向き合うべきかというヒントが特に最後の辺りに濃厚に出ています。
鳥越 俊太郎
ベトナム戦争中の1967年に作られ,一旦消滅したと思われた 映像の復刻版。
英国人のベトナム戦争に対する複雑で屈折した思いが ミュージカル風に綴られる。
衝撃の焼身自殺や銃殺処刑シーンは実写だろう。 今でもショッキングだ。
作家・ジャーナリスト 佐々木俊尚
行動、暴力、国際政治、抗議の焼身自殺、徴兵拒否…あらゆる面からベトナム戦争とどう向き合うのかを問い詰め、「目的は手段を浄化するのか」「私たちの当事者性とは」という21世紀に通じる主題へとつながっていく。
この重いテーマをミュージカルと合体させ、エンタメとしても成立させているピーター・ブルックの手腕に戦慄。
この傑作が甦ったことに心底感動した。
国際政治学研究者 三浦瑠麗
西洋社会の戦争としてのベトナム戦争。知識人の煩悶と混乱。この映画は過ぎ去ったあの時代を蘇らせる。
70年代とは、西洋の時代の終わりの始まりであったのかもしれない、とそんなことを、トランプ時代に生きる私はふと思わされた。
バレエダンサー 首藤康之
この映画はピータ・ブルック哲学の原点を垣間見る思いがする貴重なメッセージフィルムだ。
そして、なにより真実と向き合う勇気をもたせてくれる。
写真家 操上和美
夢のように戦争は炸裂する。
そして、自分の中に眠る残虐性をゆり起す。
ストーリー

ギンズバーグのビート・ジェネレーションとブラックパンサー、カウンター・カルチャー・ポップが交差する1968年のスウィンギング・ロンドンを舞台に、傷ついたベトナム人の子供の写真に慄いた3人のイギリス人の若者が、ベトナム戦争における暴力のスパイラルを理解し、自分たちの無力感を乗り越えようとする……。歌、証言、大衆デモを通して、ピーター・ブルックは彼の作品の中でも最も重要な作品の一本を監督した。戦争の不条理に対する破壊的なアイロニーを含んだ風刺映画である。






(c)Brook Productions 2012
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