女優の広瀬すずが、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(8月31日公開)で90年代の女子高生役を熱演。同作は『モテキ』『バクマン。』を手掛けた大根仁監督の最新作で、90年代に流行した音楽やファッションが散りばめられた、最強の“笑って泣ける青春音楽映画”だ。広瀬はコギャル役にどのように挑んだのか。女子高生時代や、友達についても聞いてきた。
自覚なし、監督が思わず「ヤバイ」ともらした迫力のシーン
――韓国で大ヒットした映画『サニー 永遠の仲間たち』が原作で、今作で広瀬さんが演じた“奈美”は90年代の女子高生でした。まずは作品の率直な感想をお聞かせください。
広瀬すず(以下、広瀬):もともと大好きな映画で、リメイクをやるかもと噂で聞いた時、誰が演じるのって騒いでいたぐらい(笑)。ずっと気になっていました。まさか出演できるとは思っていなかったので、すごくうれしかったです。 台本を読ませていただいたら、日本の仲良し女子高生グループ“サニー”というメンバーの中だからこそ生まれたシーンがたくさんあって、リメイクする意味を感じ、いろんな人に楽しんでもらえる映画になるなと実感しました。だからこそ、この役の振り切るところは振り切らなきゃ!頑張ろう!って責任を感じました。
――広瀬さん演じる“奈美”がブチ切れるシーン、ものすごく迫力があり、そして笑えて、新しい広瀬さんの一面を見せてもらったなと思いました。
広瀬:監督から、「ここでプチーン!となって、とりあえず自転車蹴って前に出てきて」と言われたんです。原作ではジリジリふつふつと怒りが燃えてくるシーンだったのですが、関西人(淡路島)という設定があったので、勢いよくガーッと演じました。 モニターチェックをした監督が、「ほんと、これヤバイよね~、オッケー!」って言っていました(笑)。白目をむいていたみたいで、自覚がないんですけど…。
――白目は監督の演出かと思っていました。
広瀬:基本は、アドリブじゃないですけど、勢いと、現場でできたものでした。(共演の)リリー・フランキーさんがそのシーンを見て、「お前の本当の素はこれなんだな」って(笑)。あー、そう思われるんだ、たしかに(笑)って思いました。
“コギャル講座”で勉強 「私の高校時代とは違う」
ーー本作では“コギャル”ブームが、90年代の音楽とともに映像で再現されていました。広瀬さんは淡路島から転校してきて、コギャルたちと仲良くなる“奈美”を演じられましたが、コギャルの役作りはどのようにしましたか?
広瀬:まだ生まれていない時代だったので、みんなでコギャル講座みたいなものを、コギャル監修の方から受けました。制服の着方やポーズの角度とか、細かく指導をしてもらって、マスターしてからクランクインしたんです。
――コギャルを演じるにあたって苦労した点、また、演じていて感じたことを教えてください。
広瀬:“奈美”は、コギャルに染まりきっていない、ちょっと芋っぽさも残っている役なので眉毛も自然な太さで、肌も焼いていないです。他のみんなはテンションとか、お芝居とか、すごく大変そうでした。コギャルを演じるのはエネルギッシュすぎて大変でしたけど、こんなに毎日楽しくゲラゲラ笑っていられる高校生活が羨ましいなと思いました。今の高校生も楽しいと思うんですけど、楽しいのレベルが違い、毎日、頂点が更新されていくというか。
――ルーズソックスも履かれていましたね。
広瀬:ルーズソックスを生み出すコギャルすごい!って思いました。私は、紺の靴下をすねぐらいまで上げるのが憧れだったので、高校の3年間はそうしていたんです。友達はみんな、くるぶしまでの靴下で、ほぼ素足みたいな感じでした。でも、たぶんルーズソックスのほうが脚が細くみえるし、おしゃれだと思うんです。好みかもしれないですけど、もう一度流行ればいいのにって思いました。
カーディガンをだぼっと着て、短いスカート丈のかわいいバランスとかも、コギャルは女子高生の基準を作りあげたと思います。
――でもやはり、広瀬さんも紺の靴下と、こだわりがあったのですね。
広瀬:中学生のときは、長い靴下を三つ折りにして履くのがイケてる的な感じだったので、めっちゃきれいに毎日毎日折って、ちょっとでも余るともう一回やり直し!とかしていました。ドーナツみたいにしちゃったりすることもあって(笑)。いろいろみんなで研究していました。でも、今思うとめちゃダサい!全然ルーズソックスのほうがかわいいです。
――広瀬さんの実際の高校生活はどうでしたか?
広瀬:私は、仕事をしていたのであまり行けなくて、仕事のほうが制服を着ている回数が圧倒的に多くて、「明日やっと学校に行ける!」というような思いで通っていました。満員電車で学校に向かっている自分を客観的に見て、「高校生やっちゃっているな~」という気持ちになるぐらい(笑)。
高校生活を謳歌したかったなと正直思うんですけど、でも、“サニー”のような、大人になっても大切にしたいと思える友達にも出会えました。
――今も連絡を取り合っているのですか?
広瀬:明後日も会う約束をしています。「1時間あったら会おうよ」とか。当時も、普通に一人の高校生として接してくれていたので気が楽で、救われたなと思っています。仲良し4人のうちの一人は、高校1年のときから出席番号も隣。だから、何をしても二人組はその子で。何でも話せて、今も、ファッション業界と芸能界と、近いようで全然違う世界にいるので、私がした話にも「あ、そうなんだ」って、ひとつの悩みとして聞いてくれたりします。お芝居中、私も“サニー”のような友達ができたのかな、と思いました。大切にしようと思います。
――劇中のように、行方不明じゃないですが、会いたいのに連絡先もわからない、疎遠になってしまった友達はいるのでしょうか?
広瀬:中学校の時の後輩なんですが、会えないなと思っている仲良しの子たちがいます。小学校ではすごく仲良かったし、中学校でもすごく仲良くて一緒にバスケを頑張っていて楽しかったのに、仕事を始めてから、何があったわけじゃないのに距離感が生まれちゃって。今では挨拶もしなくなっちゃったし、ずっと仲が悪いような関係性になってしまったんです。
私が年上として、ちゃんと話しかけるべきだったな、謝りたいなと思うんですけど、当時は思春期だったのもあって照れくさいし、どう返されるのかコワイなと思ったりもしていたので。私、チキンだから(笑)。
――環境が変わると起きる関係の変化、とてもわかります。
広瀬:連絡先も、一人もわからなくなっていて。「ハ~、申し訳ないことしちゃったな」とずっと思っているんです。顧問の先生もそうなっちゃったので。今は、本当に親友と言える友達しか残っていないというか…。
――作品のように、大人になった20年後に再会することも、あるかもしれないですね。
広瀬:そうですね。今会ったら感情が残りすぎちゃって、上手く話せないと思うし。大人のサニーぐらいの年齢になったときに、素直に、客観的に話せるから、そんな機会がきたらいいなと思います。けれどやっぱり地元の後輩となると、本当に接点もなくなってきちゃうので、この機会に、電波を通して、伝わればいいなと思います。