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 13日、 X JAPANのリーダー・YOSHIKIが日本外国特派員協会で会見を開き、10年越しのアルバムが完成したこと、そして11月に東京で開かれる「YOSHIKI CLASSICAL 2018 ~紫に染まった夜~YOSHIKI with Philharmonic Orchestra」について報告。記者たちからの質問にも快く応じた。

 クラシックの素養もあり、作曲時には楽器は使わず、「ペンと紙さえあればできる」と話すYOSHIKI。「飛行機の中でもできる。日記を書くように1日1曲くらいのペースで書いているものが溜まっていき、そこからどの曲をレコーディングするかを決めている。モーツァルトやベートーヴェンの曲でも、全ての曲がみんなに知られているわけではないが、たとえばベートーヴェンの交響曲第5番や9番のような、何百年経っても聞いてもらえる、人の心に残るようなものを作りたいと思っている。メロディについては、何か書かないと…という義務感で書く場合と、それこそ空から降ってくるように自然に浮かんでくる場合がある。ただ、やはり"なぜここにいるのか"ということを常に考えてしまう。繰り返しになるが、父にああいうことがあったので、僕は音楽が無かったら生きていけなかったと思う。そういう痛みや悲しみから音楽が生まれて来るのかもしれない」。

 繊細なピアノ演奏を見せる一方、激しいドラム演奏でも知られ、これまで何度も首を痛めてきた。去年5月には頚椎人工椎間板置換の緊急手術を受け、公の場での演奏もしばらく控えることになる。それでも「13歳の息子が大ファンだ」という外国人記者に「首に気をつけるように伝えておいてください」と冗談を飛ばし、次のように語った。

 「やっぱり僕は、"明日はないんだ"という気持ちでいつもドラムをプレイしている。父がああいう形で亡くなってしまったので、どこか自殺願望のようなものもあった。そんな時、母がドラムセットを買ってくれた。そこにエネルギーを注ぎ込み、激しく叩けば身体を痛めることになるが、怒りや悲しみを開放する手段だったし、助けにもなった。そして、その姿勢は今でも変わらない。ライブでは全てのエネルギーをオーディエンスに向けて発する。当然、激しく叩くことになってしまう。やはりヘッドバンギングは良くないと思うし、このままではまた手術を受けなければならないと医師にも言われた。だからリハビリも始めたし、週に5、6日はトレーニングをしている。やはりロックンローラーである以上は、道を突き進みたい」。

■小室引退に「生きているうちに引退はないだろう」

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 そんなロックミュージシャンとしての信念からか、かつて2人でユニット「V2」を結成したこともあり、親交の深い小室哲哉が引退を表明した際には「アーティストが引退するのは死ぬ時だ、生きているうちに引退はないだろう」と電話したことも明かした。そして、涙ながらにこう続けた。

 「人によってはどこかで線引きをする場合もあるだろうし、これ以上続けるのは辛いと辞める人もいると思う。でも、どんな人生だって、仕事だって、辛い。僕も25年前に、"もうだめだ"と思ったら日本に戻ろうと思っていた。日本に帰りたいと思ったこともある。でもまだ頑張っている。これは自分だけのためだけではなく、みんなのためにやっていると思うから。それはバンドであってもジャーナリストであっても同じだと思う。地図を塗り替えたいという気持ちがあるし、アメリカで成功するというのは亡くなったメンバー2人の夢でもあった。僕にはそれを果たす責任があると思っている。父は自ら生きることをやめてしまったが、それは正しくないことだと思う。ひたすら前進し、戦い続ける、それが人生だと思う。だから僕はこれからも前進し続けたい」。

 「では、生きている間に何を成し遂げたいのか」。そんな問いには「世界のエンターテインメントの地図を塗り替えたいと思っている」と力を込めた。

 「もちろん、子どもの頃から西洋音楽のことはリスペクトしてきた。ただ、30年前はアジア勢のロック、ポップスは世界のエンターテインメントの地図に存在していなかったと言ってもいいと思う。僕はそこに日本やアジアの国々があるということを示したい。僕も25年前、"世界一のロックスターになりたい"と思ってロサンゼルスに移ったが、アジア出身のロックバンドやポップミュージシャンがアメリカやヨーロッパでヒットを飛ばすということはとても難しかった。今、そうした東西の差がなくなり、インターネットによって世界中でパフォーマンスできる可能性もでてきた。夢のようなことだし、再びチャンスが到来していると思う。僕も西洋の市場にもっと進出したい」。

■「自分のことを信じていれば、道は拓ける」

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 「10歳で父を亡くしたので、同じような痛みを抱えている子どもたちの気持ちがわかる」と、2010年に非営利団体「YOSHIKI FOUNDATION AMERICA」を設立、西日本豪雨災害や北海道胆振東部地震の被災地支援など、音楽活動と並行して様々なチャリティ活動も行ってきた。

 「ロックンロールをやっていて、社会のためになっているんだろうか?と考えることがあった。自分勝手な考えかもしれないが、人様を助けることが、自分自身の助けにもなると考えた。自分が生きている糧になると思う。先日の『24時間テレビ』では、目の不自由な10歳の男の子と共演した。自分としては彼の助けになればと思っていたが、彼の音楽に対するひたむきな部分に、逆に自分が救われた気がした。人のサポートすることが、自分をサポートすることにもなると感じている。アメリカの芸能界ではチャリティは普通のこと。こういった活動を日本でも広めたいと思っている。どうしても日本人は控えめで、人知れずひっそりと寄付するが、アメリカではちゃんと"自分は寄付した"と言う。ちゃんと被災した方々のサポートになっているのであれば良いことなので、ぜひ日本のエンターテイナーたちにも広めていって、日本文化の一つになるようにしていきたい」。

 そして音楽の道を志す若者たちに、次のようなメッセージを贈った。

 「僕たちが若かった頃は、もちろんインディーズという方法もあったが、アルバムを1枚作って出すだけでも大変なことだった。今は音楽を創ることも、インターネットを通じて発表し、人に届けることも簡単にできるようになった。ただ、音楽は芸術である以上、勝ち負けや点数があるスポーツとは違って、良し悪しを判断するのがとても難しい。だから僕は"意味のあるものを創る"ということが重要だと思っている。そして自分が聴いて素晴らしいと思うものであれば発表し、それをプロモーションすることが必要だ。音楽を創っている人は世界中にいるので大変な競争だが、自分のことを信じていれば、道は拓けると思う」。

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