たちまちミリオンセラーになったトランプ大統領の暴露本『フィアー(FEAR)』。執筆したのは、ウォーターゲート事件を暴いてニクソン大統領を辞任に追い込み、ピュリッツァー賞にも2度輝いた伝説の記者、ボブ・ウッドワード氏だ。同書にはトランプ大統領と政権幹部たちとの生々しいやり取りが綴られており、「トランプ大統領は職業的な嘘つきだ」「どうしようもない間抜け」といった批判も度々登場する。
今月5日にはニューヨーク・タイムズ紙が政権幹部による匿名の寄稿を掲載、これにトランプ大統領が激怒したとも伝えられている。さらに来月2日には、トランプ大統領から不倫の"口止め料"を受け取っていたとされるアメリカの元ポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんが暴露本『全面公開』を出版するという。
15日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した国際ジャーナリストの小西克哉氏は、「ボブ・ウッドワードは常に100人以上の人に取材する。しかも電話での取材ではなく、"私はとにかく家に行く"と答えている。とにかくしつこいようで、最初は取材を断るような人も、3回も4回も訪問されるうちに、"ちょっと待て。関係ある資料があるかもしれない"となって、30分くらい喋るのだという。今回も100人以上の高官にインタビューしたというが、1970年代から調査報道をしてきた実績があるし、誤ったことは書かないという信頼感があるのかもしれない。トランプ大統領は本を読まないという話もあるから、"名前がでてもわからないだろう"ということかもしれないが(笑)」と話す。
また、「この時期に出したのは、秋の中間選挙が近いということが大きいと思う。ウッドワードはあちこちで"トランプ大統領をホワイトハウスに置いておくことがいかに危険か"と訴えている。ただ、ウッドワードの本よりも、ストーミー・ダニエルズの本の方がダメージは大きいかもしれない」と指摘した。
政治学者の中林美恵子・早稲田大学教授は「この本に出てくるエピソードは、どれもこれも一般の人から見たら"こんな大統領がホワイトハウスにいていいのか"と思わせるものだ」と感想を述べた上で、「アメリカには今でもトランプ支持者が大勢いて、本が出る前から"民主党とリベラルなマスメディアが中間選挙を前に仕組んだキャンペーンだ"と主張している。特にウッドワードはリベラル・メディアであるワシントン・ポストの重鎮。"そんな本なんて読まなくても分かる。読まないし、買わない"、"大喜びしているのは民主党陣営だけだ"と。たしかに政権の支持率は少し下がっているが、強固な支持層の支持率は下がっていない。大統領としての資質に疑問を呈する本などがこの時期に集中砲火のように出ることが、逆に"必ず選挙に行こう"という支持層のさらなる結束を生じさせる可能性がある」との見方を示した。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)