
旬の俳優が共演するラブストーリー、骨太のサスペンス、涙あり笑いありの家族ドラマなどなど、様々なジャンルが楽しめる韓国ドラマ。その中にあって、不思議な中毒性を持っているのが、出生の秘密や記憶喪失、交通事故といった出来事が“ありえない”ほど次々と起こる“マッチャン”(行くところまで行った)ドラマだ。使われ始めた頃は批判の言葉だった“マッチャン”だが、今やすっかり定着し、韓国ドラマには欠かせない一つのジャンルとなった。伝統衣装の技術を伝える名家に生まれながら、記憶を失い、食堂の娘として成長したヒロインの波乱万丈の運命を描く『私はチャン・ボリ!』も、そんな“マッチャン”ドラマの進化型とも言えるジェットコースターのようなストーリー展開で、見るものを引きつけて離さない。
伝統的な韓服作りの名家ピスルチェの後継者の座をめぐって、しのぎを削っていた長男の妻オクスと次男の妻イナ。そんなある日、長男ヒボンが突然の交通事故で死亡。妻オクスら、家族たちが悲しみに包まれる中、次男のスボンと妻イナは娘ウンビの姿が見えなくなっていることに気づく。15年後、記憶を失ったままのウンビは、地方都市に住むヘオクという女性に引き取られ、ボリという名で暮らしていた。同じ町には義妹イナとの競争に敗れたオクスも住んでおり、やがて、オクスの甥で検事のジェファも赴任してくる。一方、ヘオクの実娘ミンジョンは野心を抱いてイナに接近していた。

(C) 2014 MBC
『猟奇的な彼女』のオ・ヨンソが、明るく気丈なヒロイン、ボリに扮したこのドラマ。記憶を失った彼女は、実の叔母であるとは知らぬまま、オクスのもとで韓服作りの腕を磨き、やがて、自らの本当の家であるピスルチェでも、その実力を認められるようになる。そんな彼女を見守り、やがて深く愛し合っていく検事ジェファを演じるのは『となりの美男〈イケメン〉』のキム・ジフン。ボリとジェファのコミカルなやりとりは、ドラマの中にさわやかな風を送り込んでいる。

(C) 2014 MBC
ボリが生まれながらの才能と明るい人柄で人々の心をつかんでいく一方で、彼女と同じ家に育ち、自らの才覚で名誉をつかもうとするライバル、ミンジョンの行動はすさまじい。ボリとの関係を隠したままイナ夫婦の援助を受けることに成功し、ついには養女となり、やがて、正体がばれそうになるとイナをも脅迫する。ミンジョン役のイ・ユリは、このドラマ以前に出演した『福寿草』でも“マッチャン”ドラマの主人公を熱演していた俳優。『私はチャン・ボリ!』でも鬼気迫る演技を見せ、稀代の悪女ぶりが大評判となり、ドラマの大ヒットに貢献した。さらに、2014 MBC演技大賞でも、主人公を演じたオ・ヨンソを抑え大賞に輝いた。

(C) 2014 MBC
出演者であるキム・ジフンが「コメディや涙を誘うシーンなど、様々なジャンルの内容がいい具合に混ざっているので、基本的に”飽きる暇がない”ドラマだと思います(笑)。このドラマを見た後に他のドラマを見ると、とても退屈に感じてしまって、困りました」と語る『私はチャン・ボリ!』。韓国の視聴者と同じように「こんな展開、ありえない!」と文句を言いながら、その魅力にどっぷりはまってみてほしい。
『私はチャン・ボリ!』はAbemaTV【韓流・華流チャンネル】にて9月27日(木) 08:00 より放送。
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