クラウドファンディングで整形費用を集めるアイドルや、顔の変化の様子をInstagramに逐一アップする人が登場、湘南美容クリニックが開催する「整形シンデレラオーディション」への応募者が500人越えるなど、"顔をいじる"ことを隠す時代が終わりを告げようとしている。
実際、手術件数は年々増加、10年前と比べ10倍以上に増加した。湘南美容クリニックの飯塚翠医師は「20年くらい前だと、水商売の人や芸能人だけが受けるイメージがあったと思う。それが今は"夏休み利用して二重に"とか"もうめんどくさいからアイプチの代わりに"みたいな"メイク感覚"でプチ整形を受けるようになっている」と話す。
「なんか歯茎が見えがち、っていう感じの口元だったから、あんまり見せないように手を持ってきて笑ったりとか」。
目の小ささと口元に悩んでいたという阿部千夏さん(27)は、約500万円の"総工費"をかけ、コンプレックスだった目と歯、さらに輪郭と鼻を整形した。「いやもう大満足です。やっぱり綺麗でいなきゃいけないなって思うから、もっとメイクの勉強もしたい。周りも"え、いいなー。目ってどれくらいするの?"とか言ってましたね。相談受けるようになりました」。自分に自信が持てるようになった、そうパッチリ二重の笑顔で話していた。
街で話を聞いてみると、「削るとか、鼻を高くするとか、僕自身に美容整形は抵抗ない」「弟が二重整形しました。お母さんはびっくりしてましたけど、本人がそれでいいんやったらみたいな」と、若い男性たちの認識も変わりつつあるようだ。同様の意見はネット上にも。「気持ちは分かるので、リスクの少ないのなら、お金出してあげるかな。こんな顔に産んでしまって申し訳ない」「二重くらいいいじゃん。 その顔で生きていくのは親じゃなく本人」と、肯定的な声もたくさん見られる。
湘南美容クリニックの美容医療コーディネーター・富田聡氏は「親にもらった身体をいじるなんて、という時代はたしかにあったし、今は自分の"きれい"を維持するために訪れる人も多い。また、昔は学校でいじめを受けたということで整形を受ける人が多かったが、最近ではSNSにアップした写真に知らない人が書き込んだコメントに悩んでいる人もいる。友達がたくさんいることを見せつけなければならないため、自撮りして可愛い角度だけで映るだけでなく、360度どこから撮られても可愛く写っていたいという思いがある。スマホ、SNSの発展によって自分の顔を見る機会が増えたことで、卑屈になっていってしまう可能性が高まった」と話す。
それだけではなく、"盛った"写真の自分に現実を近づけていこうというモチベーションの人もいるようだ。「加工アプリの『SNOW』の顔になりたいと言われたことがあった。"宇宙人みたいじゃない?"と言っても、その自分を見て"いいね"してもらえているので、どこが悪いのかわからないという発想になってしまっている子もいる」(富田氏)。
■「1000万円分整形したら1000万円分の自信がついた」
一方、飯塚医師はプチ整形が一般化することの"副作用"を指摘する。「依存ですよね。"もうこれ以上はやめたほうがいいですよ"、"これ以上は綺麗にならず、どんどん不自然な感じになっちゃいますよ"って言うんですけど、それでもご本人は"整形が必要だ"と。中には暴れる方もいます」。
新宿・歌舞伎町キャバクラ「N」のオーナー、桜井野の花さんも、自身の「整形依存」を感じている一人だ。取材の1週間前にも唇をふっくらさせるためにヒアルロン酸注射を受けた。
「"依存だ"ってめちゃめちゃ言われます。確かに一理あるかなって。毎回"これで最後にしよう"って思うんですけど、半年くらい何もしなかったら、"そろそろ行かなきゃな"って思い始める。術後のダウンタイムが終わって、前の自分よりちょっと可愛くなったのを見ると、"もうちょっとなんかあるんじゃないかな"って思うんですよ。最近はとりあえずお金を持っていって"可愛くなりたいんですけど、どこいじればいいですか?何流行ってます?"みたいな」。
この10年で100回以上もの整形を繰り返してきた。整形を始める前の桜井さんの顔と見比べてみると、もはや別人のようだ。これまでにかかった費用の総額は、約2000万だという。
「顔でいじってないのはおでこぐらいかな。鼻もやってますし、目もやってますし、口もやってて。一番高かったのは骨なんですけど、骨削ったり、削いだり、引き抜いたりして、輪郭をいじりましたね。300万で鼻の整形をしたら、維持するのに3倍の値段がかかると言われた。900万円あればこの鼻は維持できるんだと思ってお金を貯めた。鼻の穴は小さくしてもまた大きくなるので、今が3回目。メンテナンスだけで年に200万円くらいかかる」。
顔立ちをからかわれたことがきっかけで、小学生3年生にして整形を意識したという桜井さん。親にばれない一人暮らしを始めてすぐ、手術を受けた。「ゴリラっぽい鼻が嫌だったのと目が小さかったのが嫌だった。でも最初はネガティブなイメージが強かくて、その2か所だけを直す予定だった」。
後ろめたさがなくなったのは、親に認められて以降のことだという。「隠していたがバレちゃった。仕送りをしているし、自立しているし、好きなことをすれば、ということで。大きな手術の時にはお見舞いにも来てくれた。今は"もう止めた方がいいんじゃない"という助言くらい」。
整形をしているうちにモテるようになり、自分に自信がつくようになっていった。「300万円分の整形をしたら、300万円分の自信がついた。1000万円分したら1000万円分の自信がついた。接客はポジティブになり、社交的な性格になり、売り上げも右肩上がりになった。夢を持ち、歌舞伎町に出てきて頑張ろうと思っている子を増やしたい」。
最近では、医師に「より若さを保つためのアンチエイジングに切り替えて行ったほうがいい」と言われるることもある。それで桜井さんは「でもまだやりたい。胸を大きくして目をパッチリさせたい。純粋に男性にモテたいから。ただの男好き(笑)」。そう言いながらも、結婚相手の条件は「整形する前の、お金を持っていない私を好きだと言ってくれた人の中から選びたい」と断言していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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