9月21日より全国公開となった劇場版『若おかみは小学生!』の公開記念舞台挨拶がTOHOシネマズ新宿で行われ、小林星蘭、水樹奈々、松田颯水、鈴木杏樹、ホラン千秋、藤原さくら、令丈ヒロ子、高坂希太郎監督らが登壇した。

「講談社青い鳥文庫」で累計発行部数300万部を誇る人気シリーズ『若おかみは小学生!』(原作:令丈ヒロ子・絵:亜沙美)。毎週日曜朝7時14分より、テレビ東6局ネットにて、本シリーズのTVアニメが好評放送中。また、9月23日(日)は、7時より最終回スペシャルが放送される。
さらに、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』等、数多くのスタジオジブリ映画の作画監督でも知られる高坂希太郎が『茄子 アンダルシアの夏』(03)以来15年ぶりとなる劇場公開作の監督を務めた劇場版『若おかみは小学生!』が、ついに9月21日より全国公開となった。
この度、映画公開を記念した舞台挨拶がTOHOシネマズ新宿で行われ、主人公・おっこ(関織子)役を務めた小林星蘭ほか、水樹奈々、松田颯水、鈴木杏樹、ホラン千秋といった豪華声優キャスト陣、さらに、主題歌「また明日」を手がけた藤原さくら、原作者の令丈ヒロ子、高坂希太郎監督らが登壇した。
6月にフランスにて開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭に出品され、文部科学省推奨作品にも見事選出された本作。早くもSNS上では幅広い世代から「めっちゃ泣いた」「大人も観るべき」など感動の声が続々とあがる中、満席の場内に劇中のおっこさながらの着物衣装で登壇した小林は、「皆さんこんにちは! 劇場版『若おかみは小学生!』へようこそ! 小林星蘭さんです、あっ、おっこです!(笑)」と笑顔で挨拶。
もともと原作の大ファンだったという小林は、キャスティングが決まった当時の想いを「(原作は)学校の図書室で争奪戦になるくらいの人気で、私も大好きです。オーディションの結果をドキドキして待っていて、受かった時は本当に本当に嬉しくて、もう泣いてしまいました!」と振り返り、改めて喜びを噛みしめた。
小林に続き、「あなた、若おかみじゃなくてバカおかみなの!?」と劇中のセリフで挨拶したのは、小林演じるおっこのライバル旅館のあととり娘・真月役を務めた水樹奈々。
おっこの同級生として小学6年生の真月を見事に演じた水樹は、本日の衣装も真月に合わせた“ピンフリ”(=ピンクでふりふりな服装をいつも着ていることから真月が同級生の間で呼ばれているあだ名)のワンピースを身に纏う気合いの入れようだが、オーディションの時は不安を感じていたそうで、「正直最初は、『私が小学生役で大丈夫なのか!?』って感じていました。しかも現場で星蘭ちゃんに会って、ますます『本当に私で大丈夫なのか!? 星蘭ちゃんごめんなさい!』って思いました(笑)」と振り返った。
しかし水樹は、小林の堂々たる座長ぶりに、「星蘭ちゃんはたくましくて、アニメ版から周りの皆をぐいぐい引っ張ってくれていて、安心感がありました。2人のシーンでは、ノリや感情のままにお互いが役に入っていたら、自然と出てきちゃった感じ。ほとんど打ち合わせはしていなかったんです。でも良い空気感で、一発OKがほとんどでした」と振り返り、小林の魅力を力説。
さらに、小林や水樹とともにテレビシリーズからおっこを支える旅館に住みつくユーレイ・ウリ坊役を務めた松田颯水も、「収録時にウリ坊の声を聞いていたのは多分、星蘭さんだけなんです。他のキャストの方々は聞こえていなくて。なので、本当におっことウリ坊だけで会話している気分で楽しかったです。私と星蘭さんもほとんど出たとこ勝負でしたが(笑)、私たちも良い空気感が出せていたら嬉しいな」と、小林との思い出を語った。

そして劇場版のゲスト声優として参加したのは、鈴木杏樹とホラン千秋。今回、声優初挑戦となる2人だが、鈴木はおっこの母・関咲子役を、ホランは原作でも人気の高い占い師の客、グローリー・水領役を熱演。アフレコはそれぞれ1人で収録したとのことで、鈴木はこの日初めて会った小林に対し「おっこちゃんそっくり! 本当に可愛くて『おっこちゃんだ!』って思いました。収録の時は星蘭さんはじめ、水樹さんや松田さんの声がすでに入っていたので、すごく支えになりました」とコメント。
続くホランも、「グローリーはおっこちゃんのお姉さん的な存在で、おっこちゃんから憧れてもらえる、スタイルも抜群の“イイ女”なんです」と役柄について解説した上で、「普段テレビのバラエティなどでは、結婚できない不幸せキャラとして呼ばれることが多いので、つかの間のイイ女感を味わえました。何といっても星蘭ちゃんの声が素晴らしくて、星蘭ちゃんに引っ張ってもらいながらこんなにもイイ女を引き出してくれてありがとうございます!」と自虐をかませながら、笑顔で小林を称賛。感想を求められた小林は、「みんなにたくさん褒められて、どうしたらいいんだろうって(笑)」と照れ笑いを浮かべた。
本作の劇場版の主題歌を書き下ろした藤原さくらは「絵コンテの段階で見させていただいて、涙が出るくらい感動しました。監督ともお話しさせていただいて、“優しさの連鎖”という言葉をおっしゃられて。すごく素敵な言葉だなと。辛い過去がありながらも前向きに頑張るおっこちゃんとみんなを少しでも支えられるような曲になったらいいな、という思いで作りました」と制作に込めた想いを明かした。
キャスト・スタッフが一丸となり、約5年の歳月をかけてついに本作の公開日を迎えた高坂監督は喜びもひとしおのようで、「長い闘いでした」としみじみ一言。原作者の令丈ヒロ子から「感動の嵐でした。最初にお話しいただけた時に、『本当に高坂監督に作っていただけるんですか?』って驚きました。吉田玲子さんの脚本も素晴らしくて。キャストの方々も素晴らしくて。もともと自分が原作を書いたっていうのも忘れて、1人のお客さんとして観る度に泣けてしまうほどでした。監督、ありがとうございます!」と伝えられた高坂監督は、笑顔を浮かべながらも、「描いても描いても終わらないという……、最終的に描いた総数は5万4000枚に至りました。ただ、振り返ればもっとこうできたんじゃないか、という想いもちょっと残っています」と複雑な心境も同時に吐露していた。

イベントの途中では、9月25日生まれの小林星蘭、23日生まれの鈴木杏樹、28日生まれのホラン千秋の誕生日が近いことから、劇中でおっこが客人の為に考案する“露天風呂プリン”がバースデーケーキの代わりに登場。
巨大なプリンに場内からは拍手と驚きの声が漏れる中、小林らは笑顔で試食した。さらに、高坂監督からサプライズで、徹夜で仕上げたという直筆の似顔絵がプレゼントされると、3人は大感激。小林は「おっこちゃんみたいに描いていただいて、本当に嬉しいです! 一生のお宝にします!」と目を輝かせていた。
終始なごやかな空気で進行した舞台挨拶の最後では、小林が代表して挨拶。あらためて、「最初は観たままを受け止めていただいて、ぜひもう1回、できればもう2回くらい観ていただけると嬉しいです。細かいところに新しく気づけたりもっと楽しめたりすると思いますので、ぜひお子さんやご家族と一緒に、皆さんで観てください!」と力強く作品をアピールした。
『若おかみは小学生!』ストーリー
小学6年生のおっこ(関織子)は交通事故で両親を亡くし、おばあちゃんが経営する花の湯温泉の旅館“春の屋”で若おかみ修業をしている。どじでおっちょこちょいのおっこは、ライバル旅館の跡取りで同級生の“ピンふり”こと真月から「あなた若おかみじゃなくて、バカおかみなの!?」とからかわれながらも、旅館に昔から住み着いているユーレイのウリ坊や、美陽、子鬼の鈴鬼たちに励まされながら、持ち前の明るさと頑張りでお客様をもてなしていくのだった。いろんなお客様と出会い触れあっていくにつれ、旅館の仕事の素晴らしさに気づき、少しずつ自信をつけていくおっこ。やがて心も元気になっていくが、突然の別れの時が訪れて――。
(C)令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会
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