総裁選後、自民党本部で「堂々と論戦を展開していただいた石破さん。心から敬意を表し、そしてその健闘を讃えたいと思う」と述べた安倍総理。今後の焦点は来月1日にも行われる党人事と内閣改造だ。「しっかりとした土台の上にできるだけ幅広い人材を登用していきたいと思う。"しっかりとした土台の上に"ということでお汲み取りいただきたい」と述べていることから、菅官房長官や麻生財務大臣、二階幹事長の留任が予想される。
22日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した政治評論家の有馬晴海氏は「元々安倍内閣は"3A+S"と言われていた。安倍さん、麻生さん、甘利明さん。Sが菅(義偉)さん。これでずっとやってきて、この絆が強くてなかなか壊れないというところだと思う甘利さんは2年前のトラブル以降、大臣をやっていないが、今回はおそらく復活して盤石の体制を取ると思う」との見方を示す。
一方、注目されるのが敗れた石破氏や石破派の処遇についてだ。安倍総理は開票後「戦いは終わった。これからみんなで一致協力して、力を合わせて新しい日本を皆さん作っていこうではないか」と話したが、起用については「適材適所だ」と答えるにとどめている。有馬氏も「一騎打ちで色わけができてしまったので、石破さんはなかなか使いにくい。石破さんは断るだろう」と話す。
今回の総裁選では、安倍陣営による石破派への厳しい締め付けも報じられている。安倍陣営では派閥ごとに誓約書に署名させたとされており、ある国会議員は「派閥の会長の判断でやったんだ。個々の議員はどう受け取ったか分からないけど」「まあみんな勝ち馬に乗ろうとしているんだよ」と明かしている。石破氏は先月10日の出馬会見で「石破を支持でもしたら、冷や飯だとか冷遇だとか」と話、圧力を示唆。石破派の閣僚である齋藤健農水大臣も14日、「私はある安倍応援団の1人にこう言われた。"齋藤よ、内閣にいるんだろ。石破さんを応援するんだったら辞表を書いてからやれ"と。そういう圧力とかそういうことで、何とか浮上しようなんていう発想、私は総理の発想だとは思わないが、そういう空気が蔓延している」と暴露している。
こうした動きについて日本テレビの番組で安倍総理は「戦いだから。角福戦争の頃、親父の秘書をしていたから分かっているが、こんなもんじゃない。激しい戦いだった」とコメント。麻生氏は秋葉原の街頭で「冷や飯を食わせるなとか何とか言ってる人たちがいるみたいだが、覚悟が足りないんだ。覚悟が。冷や飯食うぐらいの覚悟を持って戦って当たり前でしょうが」と演説。また、最終的に石破氏に投票した小泉進次郎・党筆頭副幹事長も記者団に「政治の世界、戦さだから何でもある。脅しだって、スカシだって。今、世界見たって、各リーダー見てください。トランプ、プーチン、習近平、金正恩。そんな次元じゃないでしょ」と話している。
有馬氏は「政治家というのは自分が商品だ。言葉が全てだ。当然、覚悟して齋藤さんも言われたと思うし、交代だと思う」との見方を示す。
自民党・石破派の後藤田正純・衆議院議員は「今回の結果で政権運営に影響はないと麻生さんはおっしゃったが、これだけ国民の声の受け皿になった石破さんをもっとうまく使って政権を安定させるということをやるべきだと思う。石破さんを幹事長に抜擢するくらいの腹がないと党員が怒ると思うし、来年は国民が、地方が怒ると思う。民意の忠実なる反映をしないと我々は権力を与えていただけない。冷や飯を食わす、恫喝する権限を国民が与えたわけではない。国民主権の基本から学んでいただきたい」と、安倍陣営を批判。
「私は冷や飯で卵かけご飯をゆっくりと食べたいと思う。この言葉が流行語大賞になるのかどうか分からないが、冷や飯の裏で温かいご馳走を食べているのは誰なんだということが問題だと思っている。国民が怒っている。何かモヤモヤしている。安倍さんはそうではないと思っているが、側近が封建社会と一緒。側近がやりたい放題やっている。俺の意向だ、官邸の意向だと言って。この体質が自民党をダメにする」。
自民党・麻生派の武見敬三・参議院議員は「私は謙虚に、立法府の議員として安倍さんを支持しながらも、批判をする時には批判をしている。安倍さんを支持した我々は常にそう思っている。安倍さんの周辺、側近としていらっしゃる方々もこの点は謙虚に受け止めないと。ちょっとでも力で物事を動かそうとする強引さが見えたら、マスコミが長期政権を批判することは火を見るより明らか。その中に自ら落ちていくようなことは絶対にしてはならない。勝った我々も、党員投票の45%を石破氏が獲得したことの評価と重みは相当謙虚に受け止めている」と話していた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)