今年2月に急逝した大杉漣さんが出演する映画『恋のしずく』(10月13日広島県先行公開、10月20日全国公開)の完成披露舞台挨拶が9月25日、丸の内TOEIにて開催され、川栄李奈、小野塚勇人(劇団EXILE)、中村優一、瀬木直貴監督が登壇。主演の川栄をはじめ、大杉さん扮する蔵元の息子役を演じた小野塚が、現場での思い出を明かした。
本作の舞台は、酒蔵で有名な東広島市・西条。川栄扮する農大生の詩織が、実習で日本酒の酒蔵へ行くことになり、酒造りを通して人生の喜びに目覚め、出会いと別れを経験しながら成長していくヒューマンドラマ。大杉さんは、詩織の実習先にあたる乃神酒造の蔵元・乃神輝義を演じている。
現場で大杉さんと話す機会も多かったという川栄。「撮影場所となった縁側で、2人で日向ぼっこをして、待ってる間に写真を撮っていただたりとか」としみじみ振り返りつつ、「自分のことよりも人のことを気にかけてくれるのが印象的で」とコメント。「周りに一番気を配ってくださったので、それがすごく嬉しかったですね」と感謝を込めて語った。
一方の小野塚は、大杉さん演じる父親と仲違いしている設定のため、大杉さんの意向であえて現場でも距離を置いていたという。会話は少なかったものの、大杉さんの偉大さを感じる場面は多かったようで「俳優としての鏡じゃないですけど、実際一緒のシーンに立っても、背中から出る空気感というか。背中で語っていただいたというような感じですね」と話した。
また、小野塚と中村は共に「仮面ライダー」シリーズへの出演経験があり、それだけに中村は、小野塚が運転するバイクの後ろに乗るシーンが、印象に残っているとのこと。中村が「小野塚くんの後ろに乗せていただけるのは、大変興奮しました」と熱弁すると、小野塚は「どちらかというと僕はバイクに乗るんじゃなくて、バイクに変身するという設定なので、今回はライダーを後ろに乗せられてご満悦です」と語り、会場を笑わせた。
川栄は最後の挨拶で「この映画を皆さんに観ていただく前に本当に色々なことがあって。こうして皆さんに観ていただけるのがどれだけ有難いか」と心境を吐露。続けて「豪雨で私たちが使わせていただいた酒蔵も被災してしまったと聞きました。街の人の協力なしにはできなかった作品です。その方たちの想いや、スタッフさん、監督、私たちキャスト、そして大杉さんの想いが、スクリーンから伝わればいいなと思います」と客席に呼びかけていた。
テキスト・写真:水野梨香