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 山下健二郎という男の多面性には、まったくもって驚かされる。三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEでは華やかなパフォーマンスを、朝の情報番組『ZIP!』の火曜メインパーソナリティーでは爽やかな顔を届け、レギュラーラジオ番組『三代目 J Soul Brothers 山下健二郎のオールナイトニッポン』では気さくな兄ちゃん的一面さえ覗かせる。表現者として時代を生きる山下が、2015年から現在までの間、愛して温め続けているのが『HiGH&LOW』シリーズ最新作『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』で演じるダンである。抗争や喧嘩に明け暮れた日々は過ぎ、穏やかな日常を過ごすダン・テッツ(佐藤寛太)・チハル(佐藤大樹)(=DTC)が主人公の本作は、派手なアクションでおなじみの『HiGH&LOW』的要素は一切なしの、人情味あふれるエンターテインメントに仕上がった。山下とは13年の付き合いだという、シリーズの脚本を手掛けてきた平沼紀久の監督デビューともなった本作にかけた熱烈な思いを、インタビューで聞いた。

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――こんなに人情味あふれる映画になっているとは、うれしいサプライズでした。本企画について、山下さんはいつから携わっていたんですか?

山下:DTC自体、最初はラジオドラマがきっかけのユニットだったんですけど、そこからショートドラマのお話(『HiGH&LOW THE DTC』)をいただいたり、シットコムみたいなやつをやったりして広がっていったんです。紀さん(平沼紀久監督)とも、「最終目標は映画だな!」みたいに言っていて。『DTC』のショートドラマを撮っていたときに、たまたまHIROさんとごはんを食べる機会があって、直接「『HiGH&LOW』の世界はそのままでいいんですけど、もうちょっとバラエティー色の強い、笑いがあって、感動もあって、みたいな映画をやりたいんですよね」と相談したら、「いいじゃん!」と言ってくださって。

――山下さんがHIROさんにかけ合ったと言いますか、直談判をされて?

山下:そうですね。そこからは、もう、すぐ決まりました。もちろん「僕が言ったから」ではなく、紀さんもHIROさんに「DTCで、すごく面白い映画を撮りたいんです」みたいに言ってくれていたそうなんです。そういうのが積み重なって、HIROさんも「面白くなりそうじゃん」ということになったんだと思うんです。熱量が勝った、という感じです(笑)。

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――となると、内容についても、かなり山下さんのこだわりが詰まっているということでしょうか?

山下:僕、「日本版の『ハングオーバー!』みたいな映画を撮りたい」と言っていたんです。ちょっとお馬鹿映画みたいな感じがいいなと思っていて。『HiGH&LOW』はシリーズが長いじゃないですか。ドラマから始まっているので、ずっと観てくださっている方は大丈夫でも、まだの方は頭から観ていないと、グループの構成とかも多いし、理解するまで大変ですよね。だからこそ、『DTC』は「単体で観てもすぐわかる、面白い内容にしたい」と思ったんです。僕からは紀さんに、「絶対わかりやすい映画にしてほしい」、「『ハングオーバー!』とか、いいんじゃないですか?」と、撮る前からずっと言っていました。

――平沼監督が脚本を20稿ほど書き直されたというのは、山下さんのそういった要素を反映するため、ということだったんですか?

山下:いや…、そんなに書き換えたのは知らなかったです!HIROさんとだいぶ話し合って決めていったとは聞いています。僕の希望は、『ハングオーバー!』風な、ということと、初見で見ても、『HiGH&LOW』をまったく知らない人でも楽しめる内容がいい、ということ。そこだけは「絶対」でした。「これが無理だったら、俺はもうやらない!」ぐらいの勢いだったので(笑)。

――「出ないぞ」と(笑)?

山下:はい。…というぐらいの勢いで言っていました。あと、「アクションは一切なし」も言っていたけど、紀さんも同じ意見だったんです。『DTC』でアクションをしても、『HiGH&LOW』には勝てないですし(笑)。客観的に見て、自分の勝負するところは、やっぱりしゃべりだったり、バラエティーだったりとかなんですよね。僕、三枚目の役が好きなので(笑)。特にこの3人ならできるし、強みをちゃんと作って、それを育てたらいいんじゃないか、ということで笑いとエンターテインメントに振り切りました。

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――実際、書き直した後の脚本を最初に見たときの感想は、いかがでしたか?

山下:すごく驚きました。紀さんの笑いの部分に関するセンスは信じていたので、そこは言うことなかったですし。何よりも、台本を読んでちょっと涙したというか、グッときた部分があったんですよね。今までの『HiGH&LOW』シリーズは、なかなか男臭いと言いますか、男の絆感が強かったんですけど、『DTC』ではハートウォーミングで泣ける部分があったので。僕が台詞で言う「喧嘩0、笑い80、感動20」が、まさにこの映画なのかな、と思っています。

――ちなみに、平沼さんが初めて長編の監督を務めることについては、どう受け止めていたんでしょうか?

山下:そもそも「『DTC』をやるんだったら、絶対紀さん撮ってくれ」と、ずっとお願いをしていたんです。「紀さんじゃないと駄目」というのも、僕らのスタンスであったし、紀さんありきの『DTC』だったので。紀さんとはね、付き合いが長いんです。この会社(LDH)に入る前からで、一番最初は…自分がアンサンブルで、劇団EXILEの後ろで踊っていたときぐらいから、お世話になっています。

――10年以上でしょうか?

山下:はい、全然。もっともっと。12~13年は、紀さんと一緒にいます。紀さんもそのとき、(演者として)同じ舞台に出ていたんですけど、僕はアンサンブルでダンサー役で、ひとり8役ぐらいやっていたんです(笑)。当時はお金も全然ないしね…上京して、バイトとレッスンもあって、本当に時間もなくて。でも、そんな中で紀さんは優しくしてくれたんです。ごはんを食べさせてくれたり、「お前は大丈夫だ」って、ずっと言い続けてくれた人だった。そんな昔から自分のことを知ってくれていて、支えてくれている人が初監督を務めて、自分がこうやって主演を張れるのは、言葉にならないうれしさでした。

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――平沼さんが監督に決定されてから、おふたりでいろいろとお話もされましたか?

山下:紀さんと、「こうしよう、ああしよう」と言うよりかは、多くは語らず「じゃあ、いこう」と言って、みんな気合いが入っていた感じでした。3人の中では、紀さんの初監督の作品なので「自分らでバッチリ固めよう!」とは話していました。

――現場で、平沼“監督”としての一面で、新たに見えたところはありましたか?

山下:紀さんはねえ、ほしがりなんで(笑)。台本にはなくても、その場のテンションで面白いことがあったら、「これ言って」「あれ言って」みたいな感じでした。対応できる3人だと信じて言ってくれていたと思うんですけど、台詞を覚えても結構変更があったりして(笑)。僕らも役を作ってきて、いろいろやったり、アドリブの部分で「絶対笑かしてやろう」みたいな感じでやったりしまして。大体いつもテストをやって、リハをやって、ランスルーをやって、そのまま本番で撮るんですけど、本番で紀さんが我慢できなくて、撮影のブースから笑いが聞こえてきたりして、録音部に怒られるっていうのはよくありました(笑)。「ちょっと監督の笑い声入るから、やめてくれ!」みたいな(笑)。

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――それだけ山下さんたちの演技がすごかった、という証でもありますね(笑)。

山下:そうですね(笑)。だから、紀さんの笑い声が聞こえたときは、僕らも「ああ、良かった~」みたいな。ひとつのスイッチだったかもしれないですね、面白かったです。

――今回、山王連合会(※ダンが属する)と言えば、のバイクシーンも結構出てきますよね。そのあたりはいかがでしたか?

山下:バイクは、僕、並々ならぬこだわりがありますよ(笑)?今からだと…もう3年前ですね。ドラマシリーズに入る前、「みんな、バイクに乗るかもしれないから、免許を取っておいてくれ」と言われて、「おっしゃあ!!」と思っていたんです。もともと中免を持ってずっと乗っていたから、この機会に大型も取れると教習所に行くのが楽しくて。免許も無事取り終わって、いざ「ドラマの撮影が始まります!」となったときに、台本を隅々まで読んでも、バイクシーンがひとつもない…(笑)。「何!?何なの?」と戸惑いましたねえ。それからは「免許を取ったんだから、バイクに乗っているシーンを撮らないと。山王はバイクでしょ」みたいなことを、ずーっと久保(茂昭)監督の耳横で言っていたんですよ。「大型取ったからね~、やっぱハーレーかな」とか言って(笑)。

――おかげか、映画『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』でとうとう入った、橋の上での滑走は格好いいシーンでした。

山下:ね!格好いいですよね!!だからこそ、「『DTC』でも絶対に乗らせてほしい」とお願いしていたんです。なんだったら…バイクシーンがなかったら、自腹でGoProをつけて撮ろうかと…。

――…本当ですか?

山下:ぐらいの勢いだったんで(笑)。「それはクオリティーが落ちるから、こっちで撮るわ!」と言われまして、良かったです(笑)。やっぱりバイクがあったほうが、絶対いいですよね?

――ロードムービー感もグッと増すように思います。

山下:そうですよね。バイクで旅をするってやっぱいいなあと思いますよね。山王に合っていると思います。

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――本作では、ダンの性格や人のよさが伝わるエピソードも盛り込まれています。ダン的な見所を言うならば、どこになりますか?

山下:ダンとして、ですよね?う~ん…(しばし考え込む)。…ダンって、やっぱり無性にいい奴なのかな。言ってしまえば、テッツもチハルも後輩じゃないですか。奴らに気を遣わせることもなく、対等な立場で話したり突っ込んだりができる、ムードメーカー的なところをぜひ見てほしいなとは思います。……僕自身がそうなのかもしれないですね、結構。

――ご自身と近い?

山下:うん。だから、テッツとかチハル、ダンといった役じゃないとき、寛太、大樹、山下健二郎の3人で話しているときも、何も変わらないというか、このまんま、なんですよね。3人でいる雰囲気は、映画から切り取ったような感じかもしれないです。僕もやっぱり後輩に気を遣わせたくないし、話しやすい環境でやることが一番いい演技ができると確信を持っているので。現場がピリピリすると、どうしても萎縮してしまって余計NGを出しちゃったり、思ったような演技ができなかったりするんです。『DTC』は「のびのびと気持ちよくやろう」っていうスタイルなので、カメラが回っていないところでも、(駿河)太郎さんや(新井)美羽ちゃんも含めて、なるべく3人でずっと話をしていました。それも良かったのかな、と思います。

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――コミュニケーションをきちんと取ることが、『DTC』の映画のよさにもつながっているんですね。

山下:結構ふざけた話をずーっとしているんですけど、それが映画にすごく役に立った感じがします。基本、会話劇なので、テンポがやっぱり大事なんですよね。話していれば、そんだけ絆も深まってくるし、(カメラが)回っていない時間を共有していたほうが、肩の力もいい感じに抜けたし、いい映画が撮れたな、と思っています。

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 映画『DTC -湯けむり純情篇- from HiGH&LOW』は9月28日(金)より、3週間限定全国公開。

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インタビュー・文:赤山恭子

撮影:野原誠治

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