(▲番組MCのSHELLY)
日本では自殺する若者が後を絶たない。「先進7カ国若者自殺死亡率(※)」を調べると、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7つの先進国の中で、日本は自殺死亡率1位である。厚生労働省『自殺対策白書』(平成29年度版)でも、若者の死因1位は自殺だ。10代の男女が「死にたい」と思うのはなぜなのだろうか。SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース』(AbemaTV/アベマTV※毎週土曜23時から放送中)では、10代で「死にたい」と思った経験を持つ女性たちが胸の内を語った。
(▲岡田紗恵子さん)
2歳から両親の虐待を受け、警察沙汰にもなった過去を持つ紗恵子さん。現在24歳の紗恵子さんは「死を知らない幼稚園のときから“消えたい”と思った」と振り返る。自殺をするために何をすればいいのかを考えるのではなく「今、死んでやる」――そんな突発的な思いに駆られたことが何度もあった。
紗恵子さんは「虐待を受けていた小学生の頃は、全身クレーターになるくらい体中がボコボコだった」と話す。身体が痣や傷だらけだったため、親は紗恵子さんをプールの授業に参加させなかった。
虐待に気づいていた紗恵子さんの祖母は「うちの娘が虐待を隠し続けている」と児童相談所に通報。しかし、児童相談所の相談員は、紗恵子さんの母親が「虐待はしていない」と主張すると、紗恵子さんに「お母さんが『やっていない』って言ってるから、やってないよね? 君、大丈夫だよね?」と詰め寄った。
紗恵子さんの話を聞いた番組MCのSHELLYは「ウソー!?」とあぜん。「信じられない!」と怒りを露わにした。紗恵子さんは「泣くのをこらえて『大丈夫です』って言うしかなかった。今もニュースで(虐待で亡くなる子どもの話を)よく見るってことは、今でもこういうことがある」と話す。SHELLYは「やっぱり行政がやるには無理があるのかな……」と不安を漏らした。
(▲岡田沙織さん)
NPO法人若者メンタルサポート協会理事長の岡田沙織さんは、施設で紗恵子さんと出会い、紗恵子さんの養母になった。紗恵子さんのケースについて、沙織さんは「(児童相談所)あるあるです」と述べる。大人からの通報は信用するが、中には虚言癖の子どももいるため、本人からのSOSがなかなか児童相談所の職員に信用されないのが現実だ。沙織さんによると「私のところにきて『児童相談所に行って良かった』と話す子は1~2%くらい」だという。
中にはしっかり子どもと向き合う職員もいるが、虐待を受けたことで保護されても、中高生の場合、一時保護施設に回されてしまう。その期間は学校にも通わせてもらえず、洋服や下着は支給されたものを着用。もちろんスマートフォンなどの電子機器も没収される。一時保護施設を経験した紗恵子さんによると「髪の毛もバッサリ切られて、パジャマもジャージのような格好」だという。
なぜ虐待を受けたのに、自分の物を没収されるような罰を受けなければならないのだろうか。一時保護施設では、非行をした子どもと虐待された子どもは同じ場所で保護される。よって、虐待を受けた子どもが、非行をした子どもと同じ流れで施設に入れられるため、理由に関係なく同じように扱われてしまう。これにはMCのSHELLYも驚きを隠せず、「課題が多すぎて……衝撃ですね」と頭を抱えた。
(※)先進7カ国若者自殺死亡率:世界保健機関資料、総務省統計局「世界の統計2015」、カナダ統計局「2011 Census of Canada」より厚生労働省自殺対策推進室が作成。
(C)AbemaTV
(AbemaTV『Wの悲喜劇』より)
(ライター/小林リズム)