「先進7カ国若者自殺死亡率(※)」で1位の日本。厚生労働省が出した『自殺対策白書』(平成29年度版)でも、若者の死因1位は自殺となっている。なぜ若者たちは「死にたい」と思うのだろうか。SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース』(AbemaTV/アベマTV※毎週土曜23時から放送中)では、10代で「死にたい」と思った経験がある女性たちに赤裸々に語ってもらった。

 中学2年生の頃から5年間、毎日リストカットをしているという、ゆまさん(18歳)。リストカットのほかにも、オーバードーズ(薬物を乱用、あるいは過量摂取すること)や、首吊りもしたことがあると話す。ゆまさんが産まれてから母親は精神病で入退院を繰り返すようになったため、ゆまさんは父子家庭で育った。そのせいか、ゆまさんの心にはいつも「自分のせいでお母さんがいない」という気持ちがあったという。

死にたい子に「死なないで」は禁句? 24時間LINEで相談、若者のSOS
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(▲番組MCのSHELLY)

 SHELLYが「どんな気持ちで切るの?」と聞くと「私の場合は、自分に罰を与える」と話すゆまさん。「自分が全部悪い」と考えてしまうゆまさんは「お母さんが入退院を繰り返すのは自分のせい。自分は生きてちゃダメなんだ、ごめんなさい」と、自分を責めてしまうという。

 中学2年生のとき、学校でいじめに遭ったことで「死にたい」と思うようになったゆまさん。リストカットを始め、エスカレートしても、誰にも相談できずにいた。「誰かに分かってほしい」。そんな思いからブログを始めた。ブログを通じて知ったのが“沙織ママ”こと、NPO法人若者メンタルサポート協会理事長である岡田沙織さんの存在だ。

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(▲岡田沙織さん)

 沙織さんは「昨日初めて(ゆまさんが)うちに泊まったんです」という。「毎日欠かさずリストカットをしていたが、今日はカミソリを持ってきていない」。そうゆまさんから言われた沙織さんは「(カミソリなんて)持ってこなくていいよ!」と返答。さらに「今日から少しでもいいから書いて」とノートを渡し、その日にあった感謝の気持ちをノートに書き出すことを“宿題”としてゆまさんに与えた。

 ゆまさんは「沙織ママに会うこの日までは生きていようと思う」と明かす。しかし「それが終わったら(沙織ママに会ったら)『本当に死ぬから許してください』と思う。いつでもどこでも、どうやって死ぬかを考えている」と話した。ゆまさんは、死ぬことを“実行”と呼び、“実行”に移すことをいつでも考えているという。

 カウンセラー育成も行う沙織さんによると、死にたい若者のタイプは過去、現在、未来のどれに不安を抱くかで分けられるという。寂しさを抱えるタイプは、過去の悲しい記憶から逃れたくて自傷行為をしてしまう。怒りをためこむタイプは、現在の自分を周りに理解してほしくて自傷行為をする。そして、人生絶望タイプは、未来に不安を覚えて衝動的に死にたいと考えるという。24時間LINEで相談を受け付けている岡田さんは「LINE相談だと、寂しいタイプの子はなるべく早く返事をしてあげたほうがいい」「怒りタイプは今寄り添ってあげる」「人生絶望タイプは過去の話をされたくないし、“君ならできるよ”って言うのが効果的」と説明する。

 沙織さんは「私のところに死にたいってLINE相談がくる子は、100%家庭環境に問題がある」という。虐待の有無に関わらず、親が厳しかったり、相手にしてもらえなかったり、愛情をもらえていないことが原因でSOSを出すという。SOSの種類は非行、リストカット、薬など、子どもによって違う。

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 話を聞いたSHELLYは「死にたいって言われたときの対応はこうって、一概には言えないんですね。マニュアル化ができない分、行政では扱いづらいのでは」と推測。沙織さんによると「死にたい人に対して“死なないで”は禁句」だという。「“じゃあどうしてくれるの?”って。無責任な言葉に聞こえちゃう」と説明し、相談に乗った大人が良かれと思って話した言葉でも、相手が傷つくこともあると指摘した。

 番組では、ほかにも“言われて嫌だった言葉”として「いつも笑っているいい子だね」や「寂しさは自分で埋めるものなんだよ」「病気は簡単に治せるだろ」「親に感謝しなさい」などが挙げられた。

(※)先進7カ国若者自殺死亡率:世界保健機関資料、総務省統計局「世界の統計2015」、カナダ統計局「2011 Census of Canada」より厚生労働省自殺対策推進室が作成。

(C)AbemaTV

(AbemaTV『Wの悲喜劇』より)

(ライター/小林リズム)

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