映画『ここは退屈迎えに来て』公開直前イベントが10月17日、都内にて開催され、橋本愛、成田凌、渡辺大知、廣木隆一監督に加え、サプライズゲストとしてフジファブリックが登場し、主題歌「Water Lily Flower」を披露した。
山内マリコの同名小説を映画化した本作は、高校時代みんなの憧れの的だった、成田凌扮する「椎名くん」を柱に、キャラクターを交差させながら描く群像劇。何者かになりたくて上京するも、夢をあきらめ地元に戻ってきた「私」を橋本愛が、元カレの「椎名くん」をあきらめられない「あたし」を森脇麦が演じている。
2004年から2013年までの時間軸の中で、物語が展開されていく本作。舞台挨拶で橋本は、高校生と27歳の「私」を演じるにあたり、「ちゃんと若返ることができるか、老けられるかが心配だった」と苦悩を明かした。
一方、憧れの的の男子高校生を演じた成田は、「学校の中にある大きな渦の真ん中にいるような人間なんですけど、だからこそ僕が何をするでもなく。椎名くんとして僕がやったことは特になく、みんなにやってもらった感じです」と謙虚にコメント。
しかし、渡辺は「こんなこと言っていますけど…」と切り出し、「撮影終わって打ち上げの時に『俺の10年後のやつ見てほしい』って言われましたよ。自信満々だったんだと思います」と暴露。
咄嗟のことに成田は言葉に詰まってしまった様子で、「言葉が出なかった。なんか言い訳しようかと思ったんだけど、しようがなかった」とうろたえた。すると渡辺は、その時の成田の顔がとてもキラキラしていたことから、「この人本気なんだ」と感じたと言い、「嫌な気持ちにまったくならなかった」と振り返った。
渡辺の褒め言葉を受け、成田は「今、嫌な気持ちになっている人がいるかもしれない」と謙遜しつつ「高校生を演じた次の日に10年後の椎名くんをやったので、どうしようかなと思っていたんですけど、あの姿に自信があったみたいです。当時の僕は」と話し、照れ笑いを浮かべていた。
また、ロックバンド・黒猫チェルシーのボーカルとしても活動する渡辺は、「音楽が本当に素敵だなと思いまして」と本作の魅力をアピール。続けて「フジファブリックすげぇなと思いました」と、主題歌を担当したフジファブリックを絶賛した。
そんな中、舞台挨拶の後半ではフジファブリックの山内総一郎、金澤ダイスケ、加藤慎一がステージに登場。主題歌「Water Lily Flower」をアコースティックバージョンで披露した。
演奏を聞き終えた橋本は「泣かない方が難しいですね。一人でライブ来た感覚になっちゃって。危ない、危ない」と、涙腺が崩壊する一歩手前だった様子。さらに成田が「感無量です。僕から言えることは何もありません」と語ると、渡辺も「じーんとしました」と感激の面持ちを浮かべ、「アコースティックバージョンもいいですね。これもレコーディングしてほしい」とリクエストしていた。
映画『ここは退屈迎えに来て』は10月19日(金)全国ロードショー。
テキスト:水野梨香
写真:野原誠治