
11月10日(土)よりテレビ朝日系にて放送される土曜ナイトドラマ『あなたには渡さない』。夫の裏切りによりどん底に落とされた専業主婦・通子(木村佳乃)と、その元凶とも言えるしたたかな夫の愛人・多衣(水野美紀)が真っ向からぶつかり合い、時に共闘していくという40代男女のドロドロ愛憎を描いたドラマだ。そのなかで、料亭の御曹司で板長を務めながら愛人に溺れていくダメな夫・旬平を演じるのが、俳優の萩原聖人。妻と愛人という一生の敵対関係でありながらも修羅場を乗り越えていくことで次第に強くなっていく通子と多衣。そんな彼女たちに巻き込まれてしまう役どころを演じる萩原は、「男は女に勝てないですね」と笑顔を浮かべながらも既にこりごり(?)といった様子だ。このたびAbemaTVでの放送決定を受け、AbemaTimesでは萩原氏にインタビューを敢行。久しぶりの恋愛ドラマ出演について、そして、先日プロ雀士となり俳優兼雀士という二束の草鞋を履いた今の生活について話を聞いた。
この年になって“女性には勝てない”ということがようやくわかってきた(笑)

ドラマ『あなたには渡さない』場面写真
――今回のオファーを受けて、どのような感想をお持ちですか?
萩原: このドラマは、女性の描き方がすごいです。通子や多衣が放つ台詞がとにかく強烈で、ナチュラルな言い回しにあえてしていないので、そこも見どころのひとつだと思います。
――今回演じられた旬平については?
萩原: 旬平は、正直なんですけどね…(苦笑)。頼りない男ですが、彼もまた本心は別のところにあったりするので、そういう部分も追々見どころになっていくと思います。男はやっぱり肝心な時に、女性に責められるとダメなんですよね、きっと。女性の方が圧倒的に強いですよ。僕もこの年になって、女性には勝てないということがようやくわかってきました(笑)。
――木村佳乃さん、水野美紀さんとは何度も共演されていらっしゃいますね。
萩原: そうなんです。2人ともとても信頼している女優さんです。佳乃ちゃんとは、恋仲になる関係で何度か共演させていただきましたが、結果的に結ばれなかったことが多かったですね。今回は夫婦役なんですが、でも良い夫婦関係ではないので…。水野さんとは、こういう関係性での共演は初めてです。なので、やや気恥ずかしいですね(笑)。そもそも恋愛モノ自体も気恥ずかしくて、僕あんまり恋愛のイメージがないので、だからこそ、「面白そうだな」とも思いました。
毎回台本を読んでびっくり!「笑えるくらい展開があります」

ドラマ『あなたには渡さない』場面写真
――大胆なシーンなども今後ありますか?
萩原: そうですね、ありますよ。大人のドラマですから(笑)。最終的にどういう着地になるのかは、実際に出演している僕らもわかっていない部分があるので、僕自身も楽しみにしています。とにかくこのドラマに関しては毎回台本を読んで「こうなるのか!」っていう展開がもう笑えるくらいあるので…本当読む度にビックリしています(笑)。
――それは楽しみですね(笑)! 今回旬平は、妻と不倫相手に挟まれる優柔不断な男ですが、役作りはどのようにされましたか? また共感する部分はありましたか?
萩原: 技術的なところでいえば、板前の勉強はしました。銀座の和食屋を経営している方に教えていただき、料理長の包丁をお借りして、包丁さばきを学んだりその包丁で葱を刻んだり魚を下ろしたり練習をしました。僕、そもそも料理を全然しないんですよ。今、僕の人生で一番葱を切っていますね(笑)。
恋愛的な部分で言えば、タイプ的には旬平とは違いますが、でも本音を言えば共感する部分はあります。同じ境遇だったら悩みますよね。それこそ“平和に終わらせよう”とか“あまり人を傷つけたくない”など考えていると、無理だと思います。むしろ旬平はそこに関しては割り切っていて、人を騙しきれない正直者というか、ある意味男らしい部分でもあるんです。膝を突き合わせて話せば、すべてが解決するということでもないですし、心を開いて話せば伝わるというものでもないので。そんなに人間は単純じゃないと思います。
周囲の方々に“助けてもらいすぎた”人生

――夫婦でありながらも旬平は通子に家庭や仕事の悩みを一切打ち明けませんでしたが、萩原さん自身は悩みを周囲に話したりされます?
萩原: 僕は結構、異性同姓関係なく相談します。僕自身が弱い人間なので、ひとりで解決できずいろんな人の知恵や力を借りきたので。実際に過去を振り返っても、周囲の方々に助けてもらいすぎた人生だと思います。いろんな人に助けてもらいました。もしそれがなかったらどうしようもない人生だったと思いますね。
――今回、プロ雀士になられましたが、それについても相談を?
萩原: はい。最終的には自分で決めましたが、背中を押してくれることを期待して相談した方もいますし、反対されそうな方には説得材料を揃えて話したりして(笑)。今思えば、自分の決断に自信がなかったので、誰かに押してもらいたくて相談していたと思います。
麻雀で負ける悔しさは、良い芝居ができない悔しさと同じ
――現在、このドラマ撮影と麻雀の試合と、2つのお仕事をこなしてらっしゃいますが、実際にやってみていかがですか?
萩原: 実は昨日も試合(麻雀プロリーグ『Mリーグ2018』)があって、全然ダメでした…(苦笑)。僕は演技に関しては憑依型ではないので、お芝居の仕事が終わってから麻雀の仕事へ向かう切り替えはできるのですが、その逆が難しくて。特に麻雀の結果が出なかったときに、本当に気持ちを引きずりますね…。今日もギリギリまで引きずっていました(笑)。
その悔しさは芝居と同じで、良い芝居ができなかった日は引きずると思います。ただ、芝居の場合は良い演技をするまでやらせてもらえる場合もあるのですが、こと勝負事に関しては勝つまでやらせてはもらえないので、僕自身がしっかり気持ちを使い分けしないといけないと思います。本当、昨日はずっともう…こんな顔(悔しさを滲ませた表情)をして…歯を食いしばって…、「なんであの選択ができなかったのか?」と自問自答しています。でも現場に来て衣装着てメイクすると、自然と気持ちが切り替われるんです。
「麻雀をやった後は台詞がすごく頭に入ってくる」意外な相乗効果
――前日試合をやって翌日撮影というスケジュールですと、台詞を覚える時間がないように思えますが。
萩原: それが相乗効果で麻雀をやった後は台詞がすごい頭に入ってくるんですよ! 麻雀はものすごい集中力を要するのですが、自分で認識していない脳みそを使っているような感覚もあって、麻雀の後に台本を読むとスッと入ってきますね。後輩の新井浩文さんにも勧めたら「アレ、本当にすごいッスね!」って言っていましたから。麻雀は盤面を一瞬で見て目に焼き付けて、人の牌が出るたびに覚えていくので、視覚的に脳とリンクしているのかは分かりませんが、でも本当なんですよ。
きっと麻雀で良い結果が出せたときは、良い効果がお芝居にも作用されると思いますし、そうさせたい。「今日は夜中まで撮影だけど、明日は麻雀の試合だ」みたいなタフなときでも、その大変さを自分の中でガソリンにしていきたい。だってあと20~30年も経ったら、僕なんかこの世にいるかどうかも分からないから(笑)。この年齢で自分のやりたいことができるなんて、めちゃくちゃ幸せなことなんだと思います。今出演しているMリーグに関しても、知ってもらいたいですし盛り上げていきたい気持ちがあります。もちろんドラマも盛り上げていきたいので、何かしらのきっかけでドラマも麻雀も皆さんに知ってもらえたらなと思います。
――ありがとうございました!ドラマも試合も楽しみにしています。

ストーリー
有名料亭『花ずみ』の前に1台のタクシーが止まった。そこから出てきたのは、上島通子(木村佳乃)。彼女は20年前にこの料亭の板長で一人息子の旬平(萩原聖人)のもとに嫁いだが、経営には一切かかわらずに専業主婦として生活。その通子にとってこの場所を訪れたのは、結婚前にあいさつに来て以来、2度目だった。ある決意を固めた通子は、門の中に入っていく――。
その2日前。旬平から「金沢から酒造会社の社長が来るから、今から東京駅に迎えに行ってくれ」と言われた通子は、目印に一本の菊を持って東京駅へ。てっきり男性社長だと思って待っていた通子の前に現れたのは、着物姿の多衣(水野美紀)。多衣は通子を自身が泊まっているホテルのティーラウンジに誘うと、突然、亡くなった義母との思い出を語りだした。「仕事の息抜きに何度か金沢に来てくださって」と自分の知らない義母の姿を楽しそうに話す多衣に、戸惑う通子。そんな通子に多衣が勝ち誇った顔で言う。
「わたくし、ご主人をいただきにまいりました」――。
ドラマ『あなたには渡さない』は11月10日(土)よる11時15分よりテレビ朝日系にて放送。なお、本ドラマはAbemaTVでも地上波放送後、11月12日(月)から毎週月曜よる11時より放送予定。
テキスト:編集部
写真:You Ishi
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