夫婦生活をより良いものにするために、結婚前に“婚前契約”として条件を決めるカップルがいる。昨年、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)でも話題になった“契約結婚”。SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース』(AbemaTV/アベマTV※毎週土曜23時から放送中)では、契約結婚の実態に迫った。
(▲結婚相談所カラーズ代表・中村光沙さん)
契約結婚にはさまざまなタイプがあり、恋愛感情があるかどうかで大きく違う。LGBTの人が異性と結ぶ友情結婚、共同生活をともに送る共生(シェア)婚、籍だけを入れるビジネス婚、そのほか別居婚、週末婚など契約によってさまざまな呼び名がある。
友情結婚や共生結婚に注力した友情結婚相談所「カラーズ」代表の中村光沙さんのもとには、恋愛ではない形の結婚を望んでいる人たちが相談にやって来る。中村さんは「会員の中にはセクシャルマイノリティの人や、女性だとアセクシャル(他者に対して恋愛感情や性的欲求を持たないこと)と呼ばれる人も多い」という。
(▲アーテイストのSILVAさん)
中村さんの話を聞いたアーテイストのSILVAさんは「セックスをしないのになんで結婚するの?」と困惑を隠せない。中村さんは「親を安心させたい、独身では生きづらい、老後は寂しい。そういう気持ちは、性行為をするかしないかは関係なく、自然に持つもの」と説明し、「友情結婚は恋愛でつながっていない。どれだけ話し合える相手かどうかが重要になる」と解説。その上で、話し合うツールとして“紙”の契約を残すことが大切だと話した。
2015年に結婚、妊娠を発表したSILVAさんも、現在の夫と結婚前に契約を交わしている。夫婦ともにバツイチであるSILVAさんは「(最初の結婚で)慰謝料でもめてお金を使って、それをもうやりたくなかった。自分の親のためにではなくて、親を説得するために契約書を交わした」と話す。
SILVAさんは、夫の親の面倒は見ないことや、同居はしないことなどを契約書で交わしているという。これにはSHELLYも「いい意味で(契約書が)距離感を保てる道具になる」と感心。
(▲番組MCのSHELLY)
実際に紙で契約を交わしたことによって意識も変わり、無駄な喧嘩をしなくなったSILVAさん。SILVAさんは「常に契約書を台所に置いておいて『(契約書の)真ん中くらいに書いてあるよ』って伝えると、だいたいは『だよな、明日までにはやっておくよ』と単純な会話で終わる」と話す。子どもに夫婦喧嘩を見せることもなく、契約書によって毎日を快適に過ごせている。
SILVAさんの場合、“結婚契約書”は「公正証書」として製作。「公正証書」とは私人(個人または会社その他の法人)からの嘱託により、公証人がその権限に基づいて制作する文書のこと。たとえ家にある“結婚契約書”が破かれたとしても、役所に提出してあるため無効にはならない。
(▲女優でモデルの濱松恵さん)
同じく離婚歴があり、今年8月に契約結婚をした女優でモデルの濱松恵さんも「してほしくないことをあらかじめ文章にしているので、一切喧嘩をしない」と共感。濱松さんは、いつでも契約書の内容が脳裏によぎるといい、何も言わなくてもお互いの考えていることが分かるようになったという。
「(契約結婚は)嫌なイメージを持たれるけど、すごくいいこと。婚姻届を出す前に書いておくと後々もめない」と多くのメリットを語る濱松さん。SILVAさんも「仕事をしたい女性にはオススメ。自分が仕事をするなら、育児も家事も半分にしてもらわないと現実的ではない」と話した。
(▲SILVAさん)
しかし、恋愛で盛り上がっている関係の中で、契約結婚を提案すると相手は引いてしまわないのだろうか。SILVAさんは「全部説得するのに1年半かかった」と振り返る。最初にSILVAさんが婚前契約について相手に伝えたところ「なにそれ?」と引かれてしまった。
その後もSILVAさんは「ここから1~2年説得して結婚できなかったら仕方がない。結婚はそこから先20~30年一緒にいるわけだから」と、話し合いを続けた。次第に夫は「俺も(契約の)項目を入れたい。あれも入れよう」と提案してくるようになり、婚前契約に前向きになったという。結婚した現在でも契約結婚をしたことに後悔はなく、友人にも婚前契約をするよう勧めている。
実際に婚前契約にはどのような内容があるのだろうか。前述の中村さんが代表を務める友情結婚相談所「カラーズ」では、婚前契約書のベースを作成している。内容には、将来の展望、ライフプラン、寝室は一緒か別々か、同居か別居か、朝食は一緒にとるか、外食・購入・自炊、睡眠サイクルのルールなどがある。
(▲佐々木ののかさん)
婚前契約書の例を見たライターで文筆家の佐々木ののかさんは「契約結婚だけじゃなくて、全員に役所で用意しておいてほしい」と絶賛。朝日新聞telling,編集部の伊藤あかりさんも「ゼクシィに載せればいい!」と共感していた。
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(AbemaTV『Wの悲喜劇』より)
(ライター/小林リズム)