1日放送のAbemaTV『NewsBAR橋下』にゲスト出演した元高知県知事の橋本大二郎氏が、大阪府知事・大阪市長を歴任した橋下徹氏と、自身の護衛に当たった警察官たちとの思い出を熱く語った。
橋本大二郎氏(以下、橋本):「君が代」についての発言などがあったことで、凱旋右翼が知事公邸のシャッターに車をぶつけたことがあった。大して怖くはなかったが、県庁の周りにも街宣車が回るようになって。地方の警察の場合、警護の実地訓練をする場があまりない。もともと僕にSPは付いていなかったが、県外から要人が来られることもあるので、ノウハウを身に付ける意味でも県知事に付けましょうということになった。それからしばらく、プライベートな時間にも2人の警護が付くようになった。
毎朝、女房とウォーキングする時も間を挟まれて。SPのペースに合わせないといけないから辛くて。ついに腰が痛くなった(笑)。
橋下徹氏(以下、橋下):襲われるのに備えて、早歩きでないとだめですからね(笑)。
僕の場合、"殺す"という手紙も届いたし、殺人予告はしょっちゅう。1通目はみんな大騒ぎになったけれど、そういう手紙があまりにも多いから、みんなも"こんくらいだったら大丈夫かなあ"って慣れていった(笑)。
好き好んで知事になった僕自身が狙われるのはいいけど、関係ない子どもが対象になったときはやっぱり辛かった。昔の人はそういう中で政治をやっていたとも思うが、僕はやっぱり現代社会の政治家だし、子どもの命まで犠牲にしてまで…と思った。子どもが殺されたら取り返しがつかないし、政治家を続けようかどうか真剣に考えたこともある。
そして僕個人を守るというよりは知事というポジションを守るのがSPの仕事。リスクを負っている国民のみなさんは他にもたくさんいるし、知事の子どもが殺害予告を受けたからといって、そこに護衛を付けるわけにはいかない。それでも僕の周辺を監視する中で通学路を見ることもやってくれていた。本当に府警はよくやってくれたと思う。
橋本:非常に優れた警察官ばかりだからね。"警察官っていいなあ"って思えるような人が来てくれる。
橋下:本当にかっこいい。ドラマも映画もあるけど、あれ以上にかっこいいから(笑)。うちの妻のママ友たちが、僕がマンションに帰ってくる時にSP見たさに覗いてたもん(笑)。
子どもたちにも本当に優しかったんだけど、後で話を聞いたら、とにかく僕よりも子どもとの関係が第一で、そこがうまくいかないといけない、ということで代々受け継がれていたみたい。交代する時には必ず子どもたちが感謝の手紙を書いた。SPさんたちは毎回毎回、号泣してた(笑)。それを見て僕も泣いちゃうし(笑)。
長女の卒業式に僕が出席したときも付いてきてくれたんだけど、過去を振り返る映像でMr.Chlidrenの『糸』が流れたの。僕と妻が、"また子どもが一人卒業したか~"という気分でいたら、横でSPさんが号泣してるの(笑)。教員たちも、"SPさん泣いてるでー!"って(笑)。
橋本:言っていいのか分からないけど、うちの兄貴(故・橋本龍太郎元総理)の長女がすごく惚れやすい質で(笑)、兄貴が大臣をしていた頃、SPにものすごく入れ込んじゃって大変だったことがある。本当はいけないというのを分かりながら、どうやって話していくかというのをね(笑)。そのくらいかっこいいから。
橋下:秘書がSPさんたちも交えて飲んでいた時に、雑談の中で"本当に命をなげうつんですか?"って聞いたら、みんな真剣に"自分の命は二の次です"と言っていたらしい。俺、命を捨てられるような男かなと思った。
僕が補助金を切ったことでものすごい反発があった地域に選挙運動で行ったら、襲いかかられた。"やられた!"と思った瞬間、SPさんが壁を作ってくれた。相手が凶器を持っているのかどうかもわかんない段階で壁になってくれた。本当に刺される覚悟でやってくれているんだと思った。申し訳ないというか、なんとも言えない気持ちになった。それぞれに家族も居るわけじゃないですか。だけど、そんな府警の給料削ったのが僕だからね。
(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)