今、あるお菓子の空き箱をリメイクするのが、SNSを中心にブームになっている。『あの話、どうなった?』(テレビ朝日系/深夜・キタイチ枠、AbemaTV/バラステ枠放送)が東京の街角で若い女性たちにインタビューすると「見たことある、このスマホカバー。可愛い。安くて自分でできる」「ファイルみたいにして、紙を入れたりする」と若者たちから好評だ。
気になるそのお菓子とは、株式会社明治の「ザ・チョコレート」。累計販売個数は5000万個以上にも及ぶ、大ヒット商品だ。特徴は、お菓子とは思えないお洒落なパッケージ。裏面までお洒落な柄になっている。この「ザ・チョコレート」の箱をカッターで開いてからハサミを使って形を整え、透明なケースにはめればスマートフォンカバーの完成だ。
他にも、アクセサリーにしたり、レターファイルにしたり、タダ同然の材料で可愛いリメイクができるということで、SNSで拡散。明治の開発者はこのブームを狙っていたのだろうか。菓子商品開発部の山下舞子さんに話を聞くと「そうやって使ってくださるのは驚きでした」とコメント。
「(ブームは)全く意図していなかったのか?」という質問に対しては「そうですね、残念ながら」と回答。しかし、このお洒落なパッケージはチョコレートをヒットさせるための大事な戦略だったという。
山下さんは「普通に安く広く売られているチョコレートと同じように見えてしまうと、その価値がまったく伝わらないんじゃないかと思った。一瞬チョコレートだとわからないかもしれないけれど、そのわからなさが一つの興味になって、お客様が買ってみようという気持ちになると考えて、社内でこのデザインを通した」と開発の裏話を教えてくれた。
元を辿れば……1927年発売の「サイコロキャラメル」
食べ終わった後も空き箱で楽しめるお菓子は、過去にも存在していた。1927年発売の「サイコロキャラメル」は、空き箱がサイコロになるという画期的アイデアで子どもたちの心をつかんだ。すごろくゲームで出目の大きさを競うなど、子どもたちのちょっとした遊びに約90年間も貢献してきた。
最近はあまりお店で見かけなくなったサイコロキャラメル。明治に話を聞くと、売り上げの減少で今は販売していないという。しかし、番組が街の人に話を聞くと「北海道で見た」との目撃情報が。
すぐさま現地に飛んでお店を見てみると、販売終了したはずのサイコロキャラメルを発見。作っていたのは道南食品という地元の会社だ。
函館市にある道南食品の関利也社長に話を聞くと「実は明治製菓時代から同社で製造していた。長い歴史のあるサイコロキャラメルを、そのまま引き継いで弊社が作っている」と経緯を説明。
道南食品は、もともと明治のグループ企業で、サイコロキャラメルの販売終了を機に明治からライセンスを取得、北海道のみで販売を開始した。“サイコロキャラメル愛”が強い同社の屋上には、サイコロキャラメルの模様がプリントされている。
しかし、そもそも売上不振が理由で販売中止した商品を復活させてうまくいくのだろうか。関社長は「北海道の観光土産として展開している。北海道は乳製品が多いイメージがあり、キャラメルはお土産に適している」と判断。
実際、北海道のお土産店にはキャラメルの取り扱いが多い。約90年、子どもたちの遊びにも貢献してきたサイコロキャラメルは、北海道の地で受け継がれている。【『あの話、どうなった?』#1 AbemaTV期間限定・無料】