11月22日、絶賛上映中の『ハナレイ・ベイ』&『銃』のコラボレーショントークイベントが新宿ピカデリーにて開催され、俳優の村上虹郎、松永大司監督、武正晴監督が登壇した。

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 国境や時代を超えグローバルな読者を獲得し、世界に名作・話題作を発信し続ける作家・村上春樹。名実ともに日本を、そして世界を代表する作家である彼の珠玉の短編作品『ハナレイ・ベイ』がついに映画化。

 近年多くの映画やドラマに出演し、主演から脇役まで目覚ましい活躍を見せる女優・吉田羊を主演に迎え、『トイレのピエタ』が多くの批評家から絶賛された日本映画界の新鋭・松永大司監督の手によって映像化された本作。公開から約1カ月が経つ今も、感動と共感を呼ぶその作品世界が大きな反響を呼び、絶賛上映中だ。

 今後も、12月1日(土)からは北海道のシネマアイリス、神奈川県のシネマジャック/ベティ、宮崎県の宮崎キネマ館、12月14日(金)からは山形のフォーラム東根などで公開がスタート。さらに本作は中国、台湾、韓国での公開も決定しており、日本だけでなく世界へと広がっている。

 そんな本作をさらに盛り上げるべく、映画『銃』(公開中)とのコラボレーショントークイベントが、11月22日、新宿ピカデリーにて開催された。

 映画『ハナレイ・ベイ』では劇中で日本人サーファー役を演じ、映画『銃』では主演を務めた“今最も注目される俳優”の1人である村上虹郎と、『ハナレイ・ベイ』のメガホンを取った松永監督、そして『銃』の監督を務めた武正晴監督の3名が登壇。松永監督から「なかなかない顔ぶれ。皆さん楽しんでいただければと思います」と挨拶があり、聴きごたえ十分のトークイベントが展開された。

 つい先日『ハナレイ・ベイ』を鑑賞したという武監督は、冒頭から「松永監督、よくやったな!という感じでしたよ」と感想を述べ、「『ハナレイ・ベイ』は『銃』と似ている。あえてすべてを開示することをせず、場所と演出を使って表現するという挑戦的な映画。でも人間の内面にカメラを向けていると感じました。それは僕も『銃』で挑戦していることです」とコメント。

 さらに「吉田羊さん演じるサチが10年後に虹郎演じる青年と出会い、その青年が物語の途中から作品世界をかき回していく。主人公に寄り添っていく役だと思いますが、その役割を『銃』ではリリー・フランキーさんが担っているんです」と2作品の共通点を語った。

 そして「音楽、特にイギー・ポップの『The Passenger』がずるいですよね。すごくいい。実は私はずっと『銃』の撮影中にこの『The Passenger』を聞いていたんです!あまりの共通点の多さにびっくりしました」というエピソードを明かし、観客からは驚きの声が上がった。

 『ハナレイ・ベイ』主演の吉田羊について、松永監督は「『銃』では監督と虹郎が心中する覚悟だったんだなと感じますが、(僕も)吉田さんと心中する覚悟でした」と撮影時を振り返った。武監督も、吉田の演技を「(松永監督は)吉田さんの演技を絞り出しやがったなと。吉田さんを超えて主人公のサチだった。『松永さん、どんなことしたんだ』と思いました」と大絶賛した。

 “高橋”役を村上が演じることになり、脚本を村上に寄せて変更を加えていったという松永監督は「虹郎が高橋を演じてくれて、吉田さんのサチという役を引き出した」と村上の魅力について触れた。現場では高橋役の友人“三宅”役を演じた佐藤魁のコンビネーションが賭けだったと語り、ファーストテイクを何度か粘って撮り直した後は村上と佐藤の関係性を信じたという監督。

 佐藤は実際にプロサーファーということもあり、村上からは「(佐藤さんは)サーフィンシーンの撮影中に「いい波に乗りたい」と言って(予定外の)沖に向かっちゃう」という裏話も語られた。

 『銃』の撮影後に『ハナレイ・ベイ』の撮影現場に入ったという村上。「役柄的に解放感があった」と、2作品の違いを改めて実感した様子で撮影当時を振り返った。

 武監督は、劇中で高橋がサチに告げる、サーフィン中の事故で亡くなった息子・タカシと同じセリフ「さいなら」の演出について「映画を1人で観ながら、思わず『しゃれた映画だなー!』って言っちゃったよ」と話して笑いを誘った。

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 その後、武監督から「せっかくだしお客様から質問をもらおうよ!」と提案があり、イベントでは急きょ、観客からの質問を受けることに。

 さっそく、手を挙げた人から監督2人に「それぞれの作品の中で、“この村上虹郎はすごい!”というシーンはどこですか?」と2つの作品の中での村上の印象的なシーンを尋ねられると、武監督は「虹郎の鼻の穴が動き、鼻の穴まで芝居しているところ」と回答。役者の本能がそうさせているんだ、と改めて村上さんの“体現する演技”を絶賛した。

 それに対し、松永監督は「とにかくこの人(村上さん)は面白い。監督のイメージを越えてきてくれる。もっともっと一緒にやりたいな、と思わせてくれる役者です」と、松永監督らしい表現で村上の魅力を語った。

 村上に「それぞれの作品の中で“自分こんな顔するんだ”とか発見があれば教えてください」という質問が飛ぶと、村上は「『銃』の中では、なんで自分あんな行動したんだろう、と感じるほど、自分のそのときの想いがきちんと反映されていると感じました」と作品の中に入り込んでいる自分をしみじみと振り返った。

 一方、「『ハナレイ・ベイ』では大人な虹郎が見れますよ!(本業が役者ではない)佐藤魁がいたから、このセリフは自分が発するべきなのか、魁が発するべきなのかと、自分がきちんと考えることができた。計算して演技することができた気がします」と、役者として『ハナレイ・ベイ』を通し成長できた一面も明かした。

 最後は、観客からのリクエストに村上が応え、『ハナレイ・ベイ』の中に登場する印象的なフレーズ「さいなら~」を披露。会場中から大きな拍手が沸き起こり、イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。

(C)2018 『ハナレイ・ベイ』製作委員会

(C)吉本興業

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