29日に放送されたAbemaTV『NewsBAR橋下』に出演した稲田朋美衆議院議員が、"オリジナル法案"として、実際に提出に向け作業を進める「LGBT理解増進法」について説明した。
稲田:政調会長の最後の時期にLGBTの特命委員会を作って、自民党から議員立法で出そうとしたが、大反対にあって潰れてしまった。防衛大臣を1年間やって、また党に戻ってきたので、もう一度出そうと今頑張っているところだ。早く出したいが、今の臨時国会は期間が短いので難しい。でも絶対に出したいと思っている。
なぜ法案が潰れたかというと、自民党の支持者や経済界の年配の方、偉い方の間でも理解が進んでいなくて、"そういうのは趣味じゃないか""病気でしょ"とか、"少子化に逆行するぞ"という人が多かった。でも、当事者の人たちは普通の人が苦しまなくていいことで悩んでいる。自分の中の"核"であるアイデンティティ、"何者か"ということで親も含めて人権の問題として苦しんでいる。小学生の頃からいじめを受けたり、悩んで自殺したりする子もいるので、具体的には教育をしっかりしていくことが重要だなと思っている。
橋下:僕も話を聞かせてもらう機会があって、本当に苦しい思いをしているんだなと思った。ただ、僕がちょっと引っかかるのは、夫婦別姓もそうだけど、"これからはそうすることが中心だ"という雰囲気があること。いわば"姓を別にすることが女性の自立なんだ"という風潮がある。じゃあ、姓を一緒にしている僕の妻は自立していないのか?。これは多様性の問題であって、僕が妻のことを好きだと言っても"偉い"と言われないように、LGBTは凄いというのではなく、あくまでも普通にしていくことだ。
稲田:カミングアウトしないといけないとか、特別なことだと言うのではなく、"ああ、そうなんや"、という風になるような理解が進めばいいと思う。
橋下:それから、僕は"保守"という言葉が大嫌い。だいたい人によっても定義が違うし、"私は保守だからLGBTは否定的だ"とか、"リベラルだから賛成です"みたいなのはおかしいと思う。
稲田:LGBTに問題に取り組んでると、"それは保守じゃない"と言ってくる人はいっぱいいる。そうじゃないんだと。人権の問題なんだから、イデオロギーや歴史観とは関係ないんだ、ということを言いたい。
私も以前は親と子どもが違うのはどうかな、という立場から選択的夫婦別姓に反対の立場だった。でも、通称を認めていく、そして法制化するということに途端、通称と戸籍とで、名前を2つの持つ人が出てくることになる。それは社会を混乱させると思ったし、人生100年の時代、60代で結婚する人だっている。私がもし今結婚するとしたら、この名前をそのまま使っていきたいと思う。そう考えたときに、時代とともに選択肢は広げていくものだと思った。
橋下:親子間で名前が違うことについて、いわゆる保守とされる人たちは「家族の一体性を損なう」などと言うが、うちの場合、母親は再婚して姓を変えたけど、僕は実の父親の姓を受け継いだから、両親とは違う姓で育ったけど、何の問題もなかった。
稲田:名前が一緒だったらとか、憲法に書いたから家族が仲良くなるというものではないと思う。私は保守ですけど、そういう形式的なものじゃないよね、ということ。
橋下:あれ?自民党で"俺は保守だ~!"とか言ってるヤツと違うじゃない。(笑)"バカヤローッ!"て言いたくなるよね。稲田さんも"バカヤローッ!"て言ってくださいよ!!(笑)。同性婚はどうですか?
稲田:自民党的にはまだ認めてないし、今の段階で一足飛びに認めるのは少し難しいと思う。私も保守だから、いっぺんに差別禁止、同性婚解禁に行くんじゃなくて。少しずつ、まずは理解を進めるのが第一だと思う。
橋下:憲法24条には「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し~」とあるから、両性は男女のことだとこだわる人もいるけれど、GHQがパパパっと書いた案文だから。本来は戦前にあったような家同士の政略結婚をやめて、二人が合意するという点が重要。自民党もそこに踏み込まないと。理解増進ということだけだと、ファッションのようになってしまうかもしれない。本来、誰とパートナーになるのかは他人に関係ないし、誰にも迷惑をかけない。やっぱり同性の結婚でも、配偶者控除みたいなものも認めてあげないと。そこは頑張ってもらいたい。
稲田:家族制度を壊すとか、少子化対策に逆行するというけれど、もちろん他の人に迷惑をかけるということもない。