
2008年に日本版のTwitterサービスが始まって今年で10年。国内ユーザーは4500万人を突破、様々なアカウントが様々な情報を発信してきた。5日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、誰が何のためにやっているのか分からないのに超人気のTwitterアカウントに迫った。
■僧侶「Twitter大喜利で誰もが輝く場所を」
最初に取材したのは、フォロワー数80万人を抱える「坊主(@bozu_108)」さん。「〇〇選手権」というお題に対し、フォロワーが答える大喜利アカウントだ。時には2000件以上もリプライが寄せられ、「いいね」の数で最優秀賞が選ばれる。例えば「縄文時代にヒットした映画」というお題では、最優秀賞には「君の縄」、金賞に「土器を落としただけなのに」が選ばれた。

プロフィールには「ポケモンgoのやり過ぎで坊主バー破門になりました。坊主だけじゃ食ってけないので新宿ゴールデン街でバーテン始めました」とある坊主さん。早速、新宿ゴールデン街の小さなバーに向かうと、そこにいたのは正体不明のバーテン。破天荒すぎるが、本当に現役の僧侶で、副業でバーテンもやっているという。

元々ネットで面白いことをするのが好きだったといい、「卒塔婆っていう、お墓の後ろに立てるやつをアイスの棒で作って販売したりしてた。“葬むらんバー”とかやって梵字を焼き印で入れたりして」。しかしTwitterアカウントの目的については僧侶として誰もが気軽に参加でき、多くの人に認めてもらえるチャンスがある場を提供したいと説明。「誰もが輝く権利があると思う。その輝く権利を与える場所として選手権という形でやらせていただいている」と明かした。
■被災経験を元に…できるだけ早く地震情報を発信!
次に話を聞いたのは、災害情報のアカウント。地震情報だけでも30以上が運用される中、名古屋市で取材に応じてくれたのは、「地震速報(@earthquake_jp)」という災害系アカウントをたった1人で運営する男性だ。その名の通り、地震速報に特化したアカウントで、震度1以上・マグニチュード3以上の地震についてツイート。1番の特徴はその速報性。地震発生の約1分後には震度と震源の深さをツイート。なんと日本気象協会のアカウントよりも速いといい、フォロワー数は270万人を超えている。

情報源は気象庁や防災科学技術研究所から発生後数秒で出される速報を検知するようプログラミングされており、自動でツイートする仕組みなっている。

男性はアカウントを運用しているのには自身の体験が関係していると話す。「阪神淡路大震災の被災者で、当時の情報源はテレビ・ラジオだけ。それでもテレビは見られる状態じゃなかったし、"今の地震どうだったんだろう"と気になったことがあった。ずっと地震が続く中だと、揺れが分からなくなってくる。そこで"今のが震度3であれば、壊れかけているようなところに近づかないようにしよう"などの判断ができるかなと思った」。被災者として感じた情報の重要性を、Twitterの速さ・情報拡散という特性を活かすことで、少しでも被災者の不安を取り除けるのでは、と話した。
■キングジムはTwitterから新商品も
最後は企業系アカウント。ゆるいツイートで、フォロワーから愛される企業の公式アカウントが増えており、『シャープさんとタニタくん』という漫画まで登場している。
創業91年の文房具メーカー・KING JIM公式ツイッター「キングジム(@kingjim)」の"中の人"を担当する広報の"キングジム姉妹"のお姉さんは「Twitterを始めて当初から掲げているのが『近所のキングジムさん』というテーマ。いい意味でキングジムの"固い"っていうイメージをぶっ壊していきたいという思いがある」と話す。

実際、商品PRなどに混じって「【吉報】出世とは程遠い私ですが、ポケモンGOで社長と大親友になったので冬のボーナスは期待してよろしいでしょうか」という個人的な話もツイート。2600件も「いいね」が付くなど、"やりたい放題"だ。一歩間違えれば炎上もあるSNSで、攻めた投稿を続けるキングジム姉妹。「ガチガチな商品リリースのカットじゃなくて、自分で使っているような写真をアップしたりと、一方向で高圧的な情報を出すのではなく、会話の中に自然に溶け込むような発信を心がけている」。

他にも独自の手法を使っている。まだ画像を添付できなかった頃に編み出した、アスキーアートを使った表現だ。文字だけでは表現できない楽しさや、記念日やトレンドに乗っかることで新規のフォロワーを獲得、そんな中から新商品も生まれたという。「3月14日が円周率の日。もともとボツになった円周率ノートの企画書を投稿したところ、ロフトさんがぜひ商品化したいと。"これ必要?"という声もあったが、すごくヒットした」。
こうして6年前に始まったキングジムのTwitterは、今やフォロワー数は30万人超えるまでに成長している、。
■人気の秘密は専門性・エンタメ性
ソーシャルメディアの可能性を探求するメディア「kakeru」の編集長、三川夏代氏は、こうした人気Twitterアカウントの特徴について「有益なコンテンツ・専門性の高い情報」「参加できる余白コンテンツ・エンタメ性」「コンテンツを発信する個人にファンがつく」の3点を挙げる。

「一般人は企業の人などとなかなか会話する機会がない。でもTwitterだとお互い同じ立場で会話することができる。また、みんなが分かりやすい言葉を使って専門性の高い情報を140字にぎゅっと詰め込む方々も人気になる」。たとえばラブホのスタッフが運用しているアカウント「上野_ラブホスタッフ(@meguro_staff)」は、そこで繰り広げられる恋愛事情を丁寧な言葉でつぶやいたり、恋愛相談に乗ってくれたりすることから人気を呼んでいる。
さらに三川氏は「『天空の城ラピュタ』放映時の"バルス"のように、参加して一緒に盛り上がれるのもTwitterの特性」と指摘。本家のNHK紅白歌合戦では決して実現できない出演者を楽曲と共に掲載する「裏紅白歌合戦2018」を挙げ、「ツッコミどころを作ってあげるのがうまい」と話し、「誰でも人気者になれるのがTwitterの特徴。何を発信するかによって、リアルでは有名じゃなくてもTwitter上では有名になり、そこからアニメ化・漫画家、評論家みたいな形で自分の職業が変わる人がでてくる」とコメントした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)






