白石和彌監督がメガホンをとった映画『麻雀放浪記2020』(2019年4月5日より公開)が、iPhoneによって撮影されたことが明らかになった。iPhoneのみで全編撮影されたのは邦画では初の試みとなる。

(回転寿司の新鮮なマグロと共に設置されているiPhone)
『麻雀放浪記2020』の原案は、阿佐田哲也の250万部を超えるベストセラー小説「麻雀放浪記」。和田誠監督によって映画化された過去のある同作だが、『凶悪』(13)、『孤狼の血』(18)など“いま日本映画で一番攻める作品を撮る”と言われる日本映画界のトップランナー白石和彌監督によって35年ぶりに映画化する。東京オリンピックが中止になった2020年を舞台に、1945年からタイムスリップしてきた主人公・坊や哲(斎藤工)らの麻雀での死闘を描く。
2017年、同じく全編iPhoneで撮影され世界中で高い評価を得た『タンジェリン』(17)を見たプロデューサーが、その画期的な映像表現に感銘を受け、白石監督自身もiPhoneでの映画制作を以前から切望していたことが重なり本作での採用を決意。同年の11月から12月にかけて、常時20台のiPhoneを駆使した撮影を決行した。
通常の映画用機材よりも遥かに小型なiPhoneを使用することで、演者とカメラの距離は物理的にも心理的にも縮まり、また、その機動力を最大限活かして躍動感溢れる映像を収めることに成功。ギャンブルが生み出す【緊迫の心理戦】、そして終戦後の2020年という【近未来のリアリズム】をテーマに掲げる本作との相性はまさに抜群で、より臨場感のあるドラマに仕上がった。麻雀卓の上にiPhoneを複数台設置し、ゲームの展開に合わせてカメラポジションを自在に移動させてキャラクターたちの表情を切り取るという手法で緊迫の心理戦や駆け引きを、余すことなく映し出す。
また、iPhoneでの映画制作に適した「FiLMiC Pro」というアプリをメーカーの協力のもと本作用にチューンナップ。本作の中身同様にその制作スタイルも大変画期的で挑戦的なものとなっている。
主演:斎藤工コメント
昭和をiPhoneで撮るという撮影スタイルに、良い意味の違和感がありました。
僕の憧れである、昭和の戦後の衰退しながらもどこか生命エネルギーを感じるような時代を、その対比である現代のiPhoneの機動力を使って撮影していくという行為がとても面白かったです。その滑稽さみたいなものが「あぁ、『麻雀放浪記』に挑んでるんだな」という感じがしました。
回転寿司のお皿の上にiPhoneが乗っている寿司アングルは、世界初じゃないかなと思います(笑)。
白石和彌監督 コメント
麻雀放浪記の戦後の焼け野原から舞台を2020年に移して世界観を一変させるにために今回は全編iPhoneで撮影しました。変に肩に力も入らず軽快に撮影出来ただけでなく、この狂った世界を表現するのに最高のガジェットだったと思います。結果には非常に満足しています。
撮影:馬場 元コメント
映画を全編iPhoneで撮影したいと聞いた時はとても驚き、正直戸惑いました。
僕自身もiPhoneを使っていて、携帯カメラとしては優秀だとは感じていましたが、まさかそれで劇場公開の映画を撮影することになるとは思ってもいませんでした。
でも「麻雀放浪記2020」の脚本を読んでいくうちに、このぶっ飛んだ内容を映像化するためには斬新なアプローチ、iPhoneでの撮影もありなんじゃないかと考えるようになりました。いつも映画でみているテイストと違う、何か崩れたような感じの映像が逆にこの映画の世界観にマッチするのではないかと。
撮影時のカメラアングルについては、小型カメラならではの特性を生かした大胆なポジションに挑戦しています。回転寿司のレーン上にカメラを設置して移動ショットを撮影したり、お芝居をしている斎藤工さんに収録中のカメラを手渡ししてしまうなんてこともありました。
iPhoneにオプションを装着して業務用カメラ風に変身させてしまうことも出来ましたが、多少の不便があっても必要最小限とどめ、普段iPhoneで撮影するようなシンプルな感じを失わないよう心掛けました。クランクアップ後、ドテ子役のももさんから目の前に大きなカメラが構えていないことで自然にお芝居ができたというお話を伺い、iPhoneで撮影することで役者さんへの心理的な影響もあったんだなと感じました。
ストーリー
主人公・坊や哲がいるのは、2020年の“未来”。なぜ?人口は減少し、労働はAI(人口知能)に取って代わられ、街には失業者と老人があふれている……。そしてそこは“東京オリンピック”が中止となった未来だった……嘘か?真か!?1945年の“戦後”からやってきたという坊や哲が見る、驚愕の世界。その時、思わぬ状況で立ちはだかるゲーム“麻雀”での死闘とは!?



