将棋の竜王戦七番勝負第7局が12月20、21日、山口県下関市「春帆楼」で行われ、羽生善治竜王(48)が167手で挑戦者の広瀬章人八段(31)に敗れた。この結果、同シリーズ3勝4敗となり失冠。27年ぶりに、1つもタイトルを持たない“無冠”となった。広瀬八段は、同タイトル初挑戦で初の獲得となった。
羽生竜王は1989年に竜王位で初タイトル。翌年に失ったものの、その4カ月後に棋王位を獲得してから今日まで、27年に渡り1つ以上のタイトルを保持。1996年には当時7つだったタイトルを全て持つ「七冠独占」も達成し、通算タイトル数は99期。あと1つで前人未踏の100期に到達していただけに、シリーズ開幕前からファンの間では期待と不安が入り混じり、大きな注目を集めていた。
対局後は「(最終局は)出だしは過去にやったことのある形だったんですが、駒がぶつかった後は、ずっと形勢判断が難しい将棋だなと思って指していました」と語ると、タイトル100期を逃し、無冠になったことについて「(シリーズは)一局一局は難しい内容が続いていたと思います。細かい選択で間違えてしまったような気がします。(無冠は)結果を出せなかったのは自分自身の実力が足りなかったことだと思うので、また力をつけて次の機会、チャンスをつかみたいなと思います」とコメントした。20代、30代の棋士が続々とタイトルを取っていく中で、今後の抱負について聞かれると「パッとは思いつかないですけど…。今回のシリーズをしっかりと反省して、これから先につなげていけたらいいなと思っています」と淡々と口にしていた。
羽生竜王は、1994年4月1日、23歳時にタイトル通算3期で九段に昇段しており、段位からすれば「羽生善治九段」だが、竜王位を失った直後の期間に「羽生善治前竜王」と名乗ったことがある。また、7つのタイトルで永世称号の資格を得ていることもあり、今後どのような形で名乗るかにも注目が集まる。
(C)AbemaTV