リケジョとは「理系女子」の略語。理系の女子学生や女性研究者、そのほか理系の職業に務める女性などを意味する。
SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース』(AbemaTV/アベマTV※毎週土曜23時から放送中)では、「リケジョが地球を救う」をテーマに、理系女子たちがその実態を赤裸々に語った。
(▲国立極地研究所助教・田邉優貴子さん)
国立極地研究所助教の田邉優貴子さんは、世界の極地で生きる植物、特に南極の湖沼を対象に生理生態学的研究をしている。過去には“極ガール”としてMBS・TBS系『情熱大陸』にも出演。具体的な研究内容として、田邊さんは「夏には北極、冬には南極へ行き、湖に潜って調査をしている」と話した。
田邊さんによると、過去の研究では4メートルもの氷が張っている湖に4~5日かけてアイスドリルで穴をあけ、水中に入って調査をしたという。調査の結果、分厚い氷の下には、光合成をする「シアノバクテリア」という生態系が広がっていた。田邉さんは自身の著書『北極と南極 生まれたての地球に息づく生命たち』を見せながら「氷の下と数十メートルの氷の中を光が通っている。水中では青い光しか残らないけど、その青い光を捕まえる色素がこの紫色」と説明した。
田邉さんによると「シアノバクテリアは30億年前に初めて酸素を発生する光合成をした生き物。シアノバクテリアによって酸素が増えたことで、酸素呼吸をする生き物が生まれた。さらに、酸素が生まれたことでオゾン層ができて、紫外線がカットされるようになり、生き物が水の中から陸に進化することができるようになった」という。田邉さんが「まるで30億年前の生態系が湖の中にあるんです」と興奮気味に語った。
そんな田邉さんだが、もともと理系が好きだったわけではなかった。理系に進んだきっかけをこう話す。
「自然も生き物も星も好きだった。好きなものを追いかけていたら、結果的に理系の道になった。子どもの頃に触れ合って好きになったのは、星とか石とか虫。そこから始まる自然科学への道もあるのに、どこかで理系=数学となってしまう。数学が弱くても星が綺麗だなって思って(理系に)進んでもいいと思う」
田邉さん自身は高校2年生の文理選択のときに理系を選んだものの、ざっくりと「天文学をやりたい」という気持ちだった。大学は工学部を選び、物理と化学を専攻していたが、それは「就職をしやすいから」という理由だった。
「人生の中で、大学ほど時間があるのはないと思った」と、大学在学中に世界中を旅した田邉さん。バックパッカーとして世界の自然に触れている中で「自然の中に入って研究したい」という思いが強くなり、大学院の途中から科学の分野へ転向した。
田邉さんは昨年、約1年半の期間にわたって南極の昭和基地にいた。南極で越冬し、自然の現場や、得た情報をもとに分析やデータ解析をしていたという。
「自然現象を理解できる瞬間があったとき『わーっ!』って。血がのぼるような感覚になる。研究そのものは地道で、なかなかいい結果は出ない。新しいがあるだけで、やっていて面白いなって思う。(発見を)最初に知るってすごい喜び」
日々、研究に没頭している田邉さんだが、夢を聞かれると「研究をずっと続けること」と回答。
「社会的に役立たない分野だと思う。社会の役に立たないけど、私は『面白いだけで突き動かされるものをもっと大事にしてもいいんじゃないか』って自信を持って言いたい。何でも社会の役に立つと思っちゃいけない。社会に役立たないし、お金も生まないから無駄なものだって諦めることが多い。芸術もスポーツも学問も、何か感動するから、面白いからやるっていうだけで動くものがあってもいいと思う」
「社会に役立つことをしなければ」と思い、自身に向いていない工学部を選択した過去を振り返った田邉さん。進路選択に悩む若者たちに「純粋な気持ち、心が震えることで動いてもいいんだよって伝えていきたい」とエールを送った。
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(AbemaTV『Wの悲喜劇』より)
(ライター/小林リズム)