ゴーン被告の追起訴と同じ11日、フランスの捜査当局がJOCの竹田恒和会長を贈収賄疑惑で訴追する手続きに入ったという一報が入った。
12日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ』に出演した元長野県知事の田中康夫氏は「イギリスのガーディアンやフランスのルモンド、日本ではFACTAという会員制の雑誌がずっとこの問題は取り上げてきたが、日本ではあまり報道されてこなかった。セネガル出身の親子がいて、お父さんが国際陸連の会長をやっていた。その息子が借りているシンガポールの小さなアパートにお金が行っている。元々ロシアでドーピングがあり、それを調査する機関が色々な書類を見ていく中で、日本のオリンピック招致に関して、セネガルのおじさんに行っているという書類が出てきて、そこから動き出した。これには竹田さんの名前だけが出ているが、日本の組織としてオリンピック招致に金を出すという動きがあったと言われている」と話す。
「FIFAもブラッター氏の時代の膿を出すという形になった。今度はIOCも、という大きな流れがあるのかもしれない。そうすると万博の招致だってどうだったんだということになる。日本の場合、民間から民間への良い意味のキックバックは合法だが、フランスの法律では民と官だけでなく、民と民でも違法だ。もう一つ厄介だと思うのは、仮にフランスが組織としての賄賂だったと判断すれば、そこに関わった企業はアメリカの腐敗行為防止法に抵触し、アメリカで活動できなくなってしまうかもしれない。そうならないことを願う」。
弁護士の若狭勝氏は「ゴーンさんの問題がピークに達した頃に竹田会長の話が出たので、いかにもフランス側が意趣返しでゴーンさんをいじめている日本に対して、"俺らだって竹田会長を問題にするぞ"と言っているように見えるが、全然違うと思う。日本とフランスの関係は悪化していないし、むしろフランスはルノーの問題も日本政府といい所に落としたいと思っているはずだ」と指摘。
その上で「仮にフランスの予審判事が起訴するという判断を下すと、日本に対し竹田さんを引き渡してくれと言ってくる可能性が出てくる。日本側では引き渡し判断を東京高等検察庁の検事が行う。僕はその部署にいて、引き渡しに関する仕事をしていたことがあるが、もし竹田さんの身柄を引き渡してくれということになれば、相当な外交問題になる。ゴーンさんの問題どころではない。IOCは公益的な組織だが国の組織ではない。その委員が公務員と言えるかどうかが今後争点になると思うが、フランスではそういう公務員として捉える方向にいっていると思う。古今東西、腐敗はある。これからは過度な接待をしてはいけないという流れになっていくことは確かだ」とコメントした。