17日放送のAbemaTV『NewsBAR橋下』で、橋下徹氏とゲストの三浦瑠麗氏が『週刊SPA!』の特集記事「ヤレる『ギャラ飲み』実況中継」、「ヤレる女子大生ランキング」の問題について議論した。
まず三浦氏は、問題となっている『SPA!』の特集記事について「超下品だし、身も蓋もない。"ギャラ飲み"についても、ある種"お金を渡して次に持ち込もう"みたいなものなので、不道徳系の企画であることは間違いない。対象が男性だった場合でも"就職に有利"とか"将来の年収が高くなる"ような大学ランキングはあるし、女性雑誌でイケメンタレントを格付けしたランキングもある。だから"どういう存在が異性に望ましいか"というランキングと本当になくすことはできないと思う。それでも、ここまで女性を見下した企画が普通なんだとすると、その社会は女性を愛しているんじゃなくて、女性を馬鹿にして"お前ら所詮カネだろう"という社会なんだと思う。こういう中吊りを日々通勤・通学する女の子たちがどう育つか、あるいは男の子たちがどういう価値観で恋愛をするようになるかは考えなくてはいけない」と指摘。
その上で、インターネット上で抗議を呼びかけ、扶桑社に対して直接抗議した女子大学生らについて、次のように言及した。
「過去の『SPA!』にはもっとすごい記事があったし、他の雑誌にも女子アナや芸能人、文化人の"胸の多きさ勝手ランキング"みたいな記事、プライバシーを晒すような記事はあった。それらが突撃されず、なぜ今回だけがここまで炎上し、皆が夢中になっているかというと、やっぱり"女子大生"という抽象的な弱者、無垢な存在が対象だったから怒りやすかった。そして、女子大学生たちが嫌だ、声を挙げてくれたからだ。ただ『報道ステーション』での彼女たちのインタビューと、私の尊敬するある女性ジャーナリストがそれに補足的に意見を述べているのを見て少し問題だと感じたのは、40代男性が主な読者層の雑誌に対して"女子大学生を性的な目で見るな"いう禁止を入れることはできるだろうか、ということ。抗議した女の子たちは元気があって、海外生活も経験しているので日本文化以外も知っているからこそ、おかしいという正当な批判ができたのは確かだし、廃刊しろとまでは言わなかった。ただ、その行き着く先は何なんですか、ということは考えなければいけない」。
さらに「赤裸々に言ってしまうと、ギャラ飲みで収入のありそうな男性を探している女性と、お金を払って可愛い女性と出会いたいという男性のニーズがマッチングしてるのは真実なので、そこから目を逸しても問題は解決しない。うちの大学の名前を"ヤれるランキングに"にかぶせるなんて、ひどい、名誉毀損だ、という言い分もある。しかし、そこには"処女信仰"もあると思う。たくさんの学生がいれば、好きな男の子を渡り歩いた子や、本当に性に奔放な子もいると思う。その子たちにランキングを付けるのは間違っているが、"うちの大学にそんな子はいません"と言ってしませば、その子は"私はこの大学の学生じゃないんだ""ふしだらだと批判を受けたんだな"と感じるかもしれない。それは"結婚するまでエッチはするな"という今までの文化とどこが違うのか、ということには気をつけた方が良い」と訴えた。
そこで橋下氏が「大学名を出しているし、失礼な話、名誉に関わることは間違いない。ただ、僕はやっぱり法律家として、表現の自由はものすごく重要だと思っている。これはひとたび制限してしまうと萎縮しやすいので、"傷つけやすい自由"とも言われている。下品であろうが上品であろうが、とにかく守るのが表現の自由。もちろん特定の人を誹謗中傷したり、本当に思い悩んでいる人を揶揄するのはアウトだけれど、基本的には市場に任せればいいと思う。こういう記事に対して声が上がって、出版社側が謝罪したのも、ある意味市場の淘汰なのかもしれない」と指摘すると、三浦氏は「ヤれるヤれないではなく、その裏にある差別意識への批判は正当だが、それで表現の自由は害せない、という意見には同意する」と話していた。
続けて両氏は、今回の問題をめぐる有識者たちの態度に対しても苦言を呈した。
橋下氏は「テレビのコメンテーターをやっていたとき、女性アナウンサーの方に"あの人から…"と被害を聞いていた。それがいまだに"女性の権利が~!"とか言ってて、"お前だ!俺は知ってんねんぞ"という人は多い。男性の90%くらいはスケベだし、本能的に性欲を抜きに少子化は乗り越えることはできない。それを踏まえて"女性を傷つけるから、このラインで止めておきましょう"などと語るならいいけど、"自分は一切考えたこともありません"みたいな顔で"この表現は非人間的だとか、非道徳的だ"とか、うわーって言う」と批判。
三浦氏も「私の知り合いの中には、"セクハラしたな"とか"若い女の子にめちゃくちゃ横暴な目線で応じてたな"という人もいるが、そういう人たち正義の味方ぶって、めちゃくちゃ言っていた。言えないけど、テレビに出ている人にもめちゃくちゃ多いし、めちゃくちゃすごいセクハラをするから。しかもびっくりしたのは、指原莉乃さんが松本人志さんを刺し返してあっぱれ、という事件について、松本さんの発言はアウトだけれど、芸歴の差もあるし、男性芸人だったらできないけれど、指原さんは女性で機転が利いてM体質の松本さんを刺し返せる、ということをわかった上でエグいセクハラをした、と私が指摘したら、"関係性を元に許されるのはありえない"と、私にもっとやばいことをしたのに、私との関係性を元に許された人が言ってきた」と暴露。「そういう人は自分が加害者になっていることに気づかないのか、わざとなのかはわからないが、いわゆるポリコレ棒を振るうリベラル系の人は、自分が女性憎悪をしていないと思い込んでいるし、ツイッターで1日20回くらいそういうことを言っている人もいる」と指摘。
そして、そんな”ポリコレ”=「ポリティカル・コレクトネス」が孕む課題についても「アメリカでは"MeToo"の流れが始まった途端、みんなが声を挙げた。でも、日本では伊藤詩織さんやはあちゅうさんなのほか、実名・顔出しはほとんどいない。だからこそ、予め線引きをしようというポリティカル・コレクトネスが急速に広まった。しかし線引きも大事だが、"ノー"と言えることように社会を持っていくのが本来のありかた、教育だと思う」と話していた。(AbemaTV/『NewsBAR橋下』より)