障碍をもつ兄妹が犯罪に手を染めたことから人生が動きだす、地方都市の暗部に切り込み家族の本質を問う衝撃作『岬の兄妹』が、現地時間1月25日から2月3日までスウェーデンで開催されるヨーテボリ国際映画祭のコンペティション部門であるイングマール・ベルイマン賞へ正式出品されることなった。上映後の質疑応答等に参加する予定の片山慎三監督よりコメントが到着した。

片山慎三コメント
今年で 42 回目を迎える長い歴史のあるヨーテボリ国際映画祭に選ばれたことを光栄に思います。しかも新人監督のみに与えられるイングマール・ベルイマン賞の コンペともなると鼻息も荒くなる次第です。福祉制度の充実した北欧の国の方々に この作品がいったいどう受け止められるのか...それはとても楽しみなのと同時に、不安な気持ちも混在してしまいます。特殊な環境を描いた稀有な作品です。世界の皆様にも、心の奥にズシンとつき刺さるような、観た後に人の見方が変わるような、そんな反応があれば嬉しいと思っております。ご招待ありがとうございます!

ヨーテボリ国際映画祭は、北欧の中でも規模の大きな映画祭。これまで濱口竜介監督、SABU監督、黒沢清監督、深田晃司監督、石川慶監督などの作品が上映され高い評価を得ている。今回正式出品されたイングマール・ ベルイマン賞は長編第1作目となる作品を対象にした新人賞だ。
韓国のポン・ジュノ監督の元で研鑚を積んだ片山慎三監督は、これまで『TOKYO!』(08)※ポン・ジュノ監督パ ート、『母なる証明』(09)、『マイ・バック・ページ』(11)、『苦役列車』(12)などに助監督として携わり、本作が長編初監督作となる。本作では脚本・編集も自身でこなし、1年間、季節ごとの撮影を繰り返し完成まで2年以上かけた、まさに心血を注いだ妥協なき骨太な傑作となっている。

ストーリー
港町、仕事を干され生活に困った兄は、自閉症の妹が町の男に体を許し金銭を受け取っていたことを知る。罪の意識を持ちつつも互いの生活のため妹へ売春の斡旋をし始める兄だったが、今まで理解のしようもなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れ、戸惑う日々を送る。そんな時、妹の心と体にも変化が起き始めていた...。ふたりぼっちになった障碍を持つ兄妹が、犯罪に手を染めたことから人生が動きだす。地方都市の暗部に切り込み、家族の本質を問う、心震わす衝撃作。
(c)SHINZO KATAYAMA
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