「産める勇気がない…」障害者が抱える性と出産の問題 なぜ出産・子育て支援は広まらない?
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(▲社会福祉士・武子愛さん)

「生まれつき車椅子生活。骨形成不全症という病気で、ふとした瞬間に骨が折れてしまう……」

「おへそから下の感覚がない。尿意や便意も分からない」

「産むこともリスクだけど、その後育てられるのかが一番の不安」

 生まれつきの障害や、ある日を境になった病気で、車椅子生活を送ることになった人たち。健常者と同じように歩けないもどかしさ、普通ならできるはずのことができない無力さ。それは、性問題や出産・子育てにも関わってくる。

 SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース』(AbemaTV/アベマTV※毎週土曜23時から放送中)が放送され、車椅子生活を送る女性たちが集結した。

「産みたいけど勇気がない…」出産や子育てに躊躇

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(▲梅津絵里さん)

 梅津絵里さんは、28歳で膠原病が悪化し、脳と脊髄に障害を受けた。日本でも指定難病の1つである膠原病は、皮膚や筋肉、そのほか関節、血管、骨、内臓に広く存在するコラーゲンに慢性的な炎症が生じて起こる、さまざまな疾患の総称のこと。梅津さんは、6年間、寝たきりの入院生活を送った後、懸命に治療とリハビリを続け、現在は車椅子生活で日常を送れるまでに回復。下半身の感覚について、梅津さんは「鈍いけどある。左右差があって、気づかない間に低温やけどをしていることもあった」と話す。

 梅津さんには、車椅子生活を送る前から付き合い、結婚をした夫がいる。しかし、当たり前だが、6年に渡る入院生活の間で夫との子作りは不可能だ。

「夫がベッドサイドに来てくれて手をつなぐだけで満足だった――」

 そう当時を振り返る梅津さん。根気よくリハビリを続け、病状が快方に向かうと、心に余裕が生まれた。偶然、梅津さんのリハビリを担当してくれたのは若い女性の作業療法士。梅津さんの悩みを聞いた作業療法士は、リハビリとして「筋トレ」の中で体位の練習を組み込んでくれた。退院後、体調を心配してくれていたこともあり、夫から半年ほど夜のお誘いはなかったが、徐々に夫との営みを取り戻していったという。

 梅津さんは、退院後の35歳のときから「子どもがほしい」と思い続けてきたが、「病気で身体が痛むときには人格が変わるほどにつらい。育てられないかもって思う。産みたいけどそこまで勇気がない」と告白。子どもを持つことに躊躇している。

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(▲中嶋涼子さん)

 中嶋涼子さんは、9歳のときに引いた風邪がきっかけで、横断性髄膜炎になり、下半身不随となった。車椅子生活を送る中嶋さんは、おへそから下の感覚がないため、尿意や便意を感じない。

 中嶋さんは、映画の勉強をするために18歳からアメリカに留学。26歳までアメリカで一人暮らしをしていた。中嶋涼子さんの初めての恋人はアメリカ人だった。「(下半身の)感覚がないから全部イマジネーション」と話す中嶋さん。行為について「なんとなく押されている感覚。身体が触れ合うからなのか、なんとなく気持ちいいという感覚はある」という。また、「妊娠はできるのか?」という質問に、中嶋さんは「踏ん張れない。(もし産むとしたら)帝王切開になると思う」と話す。

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(▲内藤沙月さん)

 骨形成不全症で生まれつき車椅子生活を送っている車椅子モデル・タレントの内藤沙月さんは「脚を広げたとき、ポキっと骨を折ってしまわないか心配」と話す。骨形成不全症は、骨がもろく、弱いことから骨折しやすくなり、骨の変形をきたす先天性の病気だ。内藤さんは幼少期から何度も骨折を繰り返しており、転んだ拍子に足を骨折してしまうこともあった。

 子作りや出産の際に足を広げると、骨折する危険性もある内藤さん。骨形成不全症の病気もあり、生まれたときに医師は内藤さんの親に「この子は子どもが産めない」と言った。しかし、成長した内藤さんが自分で調べてみたところ、同じ病気を持っている人でも、子どもを産んだ人がいるという。

障害者が抱える性と出産の問題 社会福祉士・武子愛さん「出産後のサポートが人によって違う」

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 障害者たちが抱える性や出産への苦悩。社会福祉士の武子愛さんは「女性障害者の人が性の話をすることは、なかなかない」と話す。知的障害者が支援者に恋をしたり、施設の利用者同士で恋人になる話はあっても、身体障害者の女性が性に悩んでいたとしても、声を上げづらいのが現状だという。

「私たち支援者が話せる雰囲気をつくっていない。聞く耐性のない人に、性の話はしにくいですよね。男性の障害者の場合は射精介助などが、表に出始めてきていますが、女性の場合は難しいです。女性の介助ができるかどうか、窓口を広げているところは、私も聞いたことがありません」

 また、実際に女性の身体障害者たちの妊娠、出産や子育て支援はどのようになっているのだろうか。

「出産そのものは病院がサポートできる。でも、その後の生活のサポートがあるかどうかによって変わってくる。重度の障害を抱える人の場合は、訪問介助を受けながらの子育ては可能ですが、中軽度の障害者の場合はそのケアがない人もいます。杖を使っている人は、雨が降っている日は傘と杖で両手がふさがるので、子どもを保育園に送るのが難しくなります」

 小さい子どもと手をつなげないと、ふとした拍子に道路に飛び出してしまう危険性もある。武子さんの話を聞いた前述の梅津さんは「産むこともリスクだけど、その後育てられるのかが一番の不安」と胸の内を吐露する。

(※障害の度合いは身体障害者福祉法により定められています)

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(▲ウートピ編集長・鈴木円香さん)

 働くアラサー女性のためのニュースサイト『ウートピ』編集長の鈴木円香さんも「女性の障害者が性についての話ができない限り、出産や子育ての話はもっと先になる。性の問題は『障害に関わらずみんなもっている』ということを共有してから始まるのでは」と意見。

 物議を醸す障害者と性の問題。福祉と医療だけでなく、障害者が生きやすく、子供を作りやすい未来のために、啓蒙としての活動が今必要なのかもしれない。

(C)AbemaTV

(AbemaTV『Wの悲喜劇』より)

(ライター/小林リズム)

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