無名女優と朝鮮王朝時代からタイプスリップしてきた男　時間も空間も越えた切ないラブストーリー『イニョン王妃の男』

　時代劇ドラマの撮影現場で挙動不審の男ブンドと出会った無名女優のヒジン。彼が約300年前の世界からやってきたと知った彼女は、戸惑いながらも彼にひかれていく。歴史上の出来事と現代のドラマ作りの現場を行き来しながら、時を超えて育まれる恋の行方を描き出す、甘く切ないラブストーリー。

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　17世紀末、朝鮮王朝第19代王・粛宗の時代。王の命を受け、宮廷内の一大勢力である南人派の動きを監視していた弘文館の校理キム・ブンドは、西人派出身の仁顕（イニョン）王妃の命を狙う右議政ミン・アムらの計画を阻止するが、自身が命の危険に直面する。一方、女優として役に恵まれてこなかったチェ・ヒジンは、元恋人で韓流スターのハン・ドンミンの主演するドラマ『新張禧嬪（チャン・ヒビン）』に仁顕（イニョン）王妃役で出演することが決定。喜びいっぱいで出かけた撮影現場で初めて会ったキム・ブンドと、縁を深めていく。

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　『チャン・オクチョン』や『トンイ』といった人気時代劇でおなじみの、粛宗と仁顕王妃、そして、側室から王妃の座についた張禧嬪の因縁。『イニョン王妃の男』では、約300年前に繰り広げられていたこの勢力争いの渦中にいたという設定の架空の人物キム・ブンドが時を越えて現代に現れ、仁顕王妃を“演じる”女優と恋に落ちる。王妃を守ろうとして命を落としそうになった彼は、ある女性から渡された不思議なお守りの力で、過去から現代へ。自分の生きていた時代とは、すっかり変わってしまったソウルの街に驚く姿は、ドラマ『屋根部屋のプリンス』の登場人物たちを思い出させる。その後、ヒジンという“コーチ”と親しくなったブンドは、新しい環境にもすぐに適応（現代的な衣服の着こなしも完璧）。歴史書を読むことで⾃分がやってきた時代の出来事を知り、過去へ戻るたびに、少しずつ歴史を変えていく。主人公たちが現実世界とマンガの世界を行き来する『W—君と僕の世界—』を手掛けたことでも知られる脚本家ソン・ジェジョンによる意外性のあるストーリーは、最後まで緊張感が途切れない。

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　明るく、堂々とした態度が魅力のヒジンを演じるのは『星から来たあなた』や『トッケビ～君がくれた愛しい日々～』のユ・インナ。「過去からやってきた」というブンドの言葉を最初は疑うものの、徐々に、彼の魅力に気づき、深く愛するようになっていく。彼女以外の人々の記憶からブンドが消えてしまうドラマ中盤では、彼への切ない思いを繊細に表現している。マネージャーで親友のスギョンや、傲慢ながら憎めないドンミンとのやりとりでは、コメディエンヌとしての魅力も発揮する。

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　そんなヒジンに好意を持ち“マンガのように”キザな態度で彼女の心を奪うブンド役は『ウォンテッド～彼らの願い』のチ・ヒョヌ。頭脳明晰で武芸にも長けたブンドが、「君の言うことは何でも信じる」と言って優しい眼差しでヒジンを見つめ、彼女に甘える姿がかわいい。撮影後、実際にも恋人同士になった（後に別れてしまったが）チ・ヒョヌとユ・インナの、愛情いっぱいのやりとりから目が離せない。

　『イニョン王妃の男』は3月2日（土）よる9時よりAbemaTV【韓流・華流チャンネル】にて放送。

テキスト：佐藤結