幼い頃に経験したある出来事をきっかけに、複数の“人格”と共に生きることを余儀なくされてきた主人公と、彼と深い縁を持つ精神科医との恋を描く『キルミー・ヒールミー』。様々なタイプの御曹司が登場する韓国ドラマの中でも、とびきりユニークな設定のキャラクターを見事に演じ切ったチソンが、MBC演技大賞に輝いた秀作だ。

© 2015 MBC
多重人格という秘密を抱えたまま後継者争いに加わることを恐れ、アメリカで留学生活を送っていたスンジン財閥の御曹司チャ・ドヒョン(チソン)。しかし、攻撃的な性格を持つ人格セギが覚醒し、韓国に帰国してくる。親戚のギジュンが社長を務めるエンターテインメント会社の副社長就任が決まり、歓迎パーティーに出かけたドヒョンだが、またしても人格がセギに切り替わり、そこで出会った精神科の研修医オ・リジン(ファン・ジョンウム)に突然、告白。その後も会うたびに別人のようなドヒョンの態度に戸惑うリジンだったが、恩師から彼の病について説明を受け、少しずつ理解するようになる。一方、リジンの双子の兄で人気小説家のオ・リオン(パク・ソジュン)は、スンジン財閥に隠されたある秘密について取材を続けていた。

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13年の『秘密』に続いての共演となるチソンとファン・ジョンウムが、お互いに支え合いながら過去のトラウマを克服していく主人公たちに扮したこのドラマ。見どころはなんといっても、チソンによる“七つの人格”の演じ分けだ。ジェントルで誰にでも好かれる“主人格”ドヒョンのほか、攻撃的な言動を繰り返しながらもリジンには好意を示すセギ、酒好きで方言を話す中年男フェリー・パク、自殺願望を持つ高校生ヨソプ、わがままで自由奔放な女子高生ヨナなど、年齢も性格も性別も違うキャラクターになりきっている。特に、リジンの兄リオンに惹かれ、天真爛漫にアタックを繰り返すヨナの姿は必見。『花郎〈ファラン〉』のチェ・ウォニョン演じる秘書アン・グクとの信頼に満ちた関係も微笑ましい。

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そんなドヒョンの秘密の主治医となるリジン役は『彼女はキレイだった』など、数々のロマンティック・コメディでヒロインを演じてきたファン・ジョンウム。ドヒョンの中にあるそれぞれの人格を理解し、心を通わせていく明るくタフなリジンを好演している。ドラマの前半で彼を“助ける”立場にあった彼女は、後半に進むにつれて自らが封印してきた記憶に向き合うようになっていく。『太陽を抱く月』のチン・スワンが手がけた緻密な脚本のカギを握る複雑な人物を魅力的に見せている。

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リジンと親友のように仲のよい双子の兄リオンに扮しているのは、『花郎〈ファラン〉』のパク・ソジュン。正体を隠し“覆面ベストセラー作家”オメガとして活躍する彼は、リジンとは別のやり方で真実に近づいていく。『キルミー・ヒールミー』の後、『彼女はキレイだった』でも共演したファン・ジョンウムとの息の合ったセリフのやりとりが楽しい。

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『キルミー・ヒールミー』はAbemaTV【韓流・華流チャンネル】にて3月4日(月) よる9時より放送




