3月15日に公開する映画『君は月夜に光り輝く』に、俳優の甲斐翔真が出演する。女優の永野芽郁と俳優の北村匠海がW主演を務める同作。監督・脚本を務めるのは『君の膵臓をたべたい』（17）の大ヒットが記憶に新しい月川翔氏だ。話題必須の本作で、甲斐は北村扮する岡田卓也の親友・香山彰を好演している。2016年、『仮面ライダーエグゼイド』でデビューし、端正なルックスと存在感で注目を集め、次々と話題作に出演する甲斐。デビューからたった３年で、今年３月には４作品の出演作品の公開が決定している活躍ぶりだ。大ブレイクが期待される若手注目株の一人、甲斐翔真の素顔に迫った！
「仮面ライダー」はお芝居のハウツーを教えてくれた
――本日はよろしくお願いします！ 甲斐さんはスカウトがきっかけで芸能界に入ったんですよね。
甲斐：はい。原宿で買い物していたら、ものすごく怪しげな男性から声をかけられました。
――怪しげな男性ですか（笑）。
甲斐：絶対に悪徳商法だ！と疑っていたのですが、一応、名刺はもらっておいたんです。家に帰って母親に見せたら、「アミューズ」という会社名に「福山雅治だわ！」と大興奮しちゃって。すぐに会社に電話をかけて「うちの息子をスカウトしたんですか」って（笑）。後日、家族で事務所を訪れたんです。ちゃんとした会社なのを見て、家族一同、この会社ならば信用できるって思いました（笑）。
――やっと信じられましたか（笑）。スカウトされた方が相当怪しかったんですね。
甲斐：髭を生やしていて、いつもセットアップのお洒落なスーツを着ているんですけど、オシャレすぎて怪しい（笑）。でも、実際は超敏腕です！
――おお～、それは凄まじい目利きですね！甲斐さん自身は当時、芸能界に興味はあったんですか？
甲斐：ぜんぜんです。高校時代はサッカー一筋で、芸能界なんてちっとも考えたことはありませんでした。ただ、将来のビジョンをしっかり描いていたわけでもなかったので、せっかくいただいたチャンスだから、やってみようかなと。
――当初は、一度試してみようかなくらいの気持ちだったんでしょうか？
甲斐：そうですね。芸能界でずっとやっていくぞという意思が固まったのは、最近のことです。『仮面ライダーエグゼイド』が終わって、いくつか作品を重ねていくうちにだんだんと一生の職業にしたいと思うようになっていきました。
――「仮面ライダー」でデビューされて注目を集めましたが、甲斐さんにとって「仮面ライダー」とはどんな存在ですか？
甲斐：ライダーのおかげで現場を知ることができました。１年間ずっと撮影で、人前に立つ舞台やイベントなど、いろんなことを経験させていただきました。芝居のハウツーを教わりました
芸能人は職人のような地道な仕事「頑張った分だけ結果が見える。だからこそ燃える」
――芸能界に入って、意外だったことはありますか？
甲斐：想像していた芸能界とはまるっきり違いました。すごいキラキラしているんだろうなって思っていたんですけど、地味なところも多いです。例えば、頑張った者だけが上に上がれる、やればやっただけ結果を得られるという職人のような部分がある気がしています。でもそれでよかったと思っています。自分の頑張りが物を言う世界なので、その分燃えます。
――頑張りが結果につながったような実感はありますか？
甲斐：去年のバースデーイベントが印象的です。僕、お客さんが9人しか来ないと思っていたんですよ。
――9人？！
甲斐：（笑）。でも、ふたを開けたら予想の100倍の人が集まってくれました。
――900人ですか。すごいです！
甲斐：うれしいと同時にプレッシャーもあったし、僕のためにこんなに集まってくれて、なんか、いいんですか？悪いなあ、みたいな不思議な感覚になりました。
――今後はもっとたくさんの人が集まってくれそうです！
甲斐：今年は３月に出演作品が４作品一気に公開されるのでそれが繋がると良いのですが。
――大活躍ですね～。『君は月夜に光り輝く』もそのうちの１つですね。
甲斐：この作品は、芝居に対しての面白さを見出したきっかけのひとつになりました。それまで演じてきた役は漫画が原作で、現実にはあんまりいないような濃いキャラクターが多かったんです。ぼくが演じた香山は、等身大に近い役で、初めて経験する静かで繊細なお芝居にやりがいを感じました。
――役柄と甲斐さんの共通点があったんですか？
甲斐：原作を読んだ時点で、自分と似ているなと思う部分がありました。本当のことをうまく伝えられないところとか、恥ずかしがり屋のところとか。ちょっと世の中に対して斜に構えているところとか。
――そういうクールな部分があるんですか？
甲斐：悪い意味でもいい意味でも、先入観を持ってしまうというか。ちょっと話すと、その人の裏側が見えて想像しちゃうんですよね。この人、すごく丁寧だけど実は酒癖が悪いんだろうな～とか（笑）。
――それを見破られるのはまずいです（苦笑）。
甲斐：大丈夫です。今は見破らないようにしているので（笑）。
北村匠海とは年齢、誕生月、血液型、兄弟構成が一緒！「共通部分が多かったからすぐに仲良くなった」
――ご自身に近い役柄を演じてみていかがでしたか？
甲斐：これまでは足し算の演技が多かったんですけど、今回は陰の演技というか、引き算をすることがよくあって、新鮮でした。
――今をときめく旬の俳優さんたちがずらりと出演されているのも気になりますが、共演者との印象的なエピソードを教えてください。
甲斐：匠海とはふたりのシーンばっかりでした。波長が合ってすぐにいい空気感を作ることができました。
――以前から仲良しなんですか？
甲斐：この作品が初めましてです。実は同級生で、ふたりとも１１月生まれ、B型、さそり座。兄弟構成も一緒なんです。共通点が多いこともあって、すっと親友役に入れました。
――同世代で活躍されている北村さんから役者として刺激を受ける部分はありましたか？
甲斐：刺激ばっかり受けていました。同世代で第一線で仕事している人なので。側にいて、やっぱり一流に触れるのはいい機会だなって思いました。一流に触れなかったら一流になれないじゃないですか。今回の経験を経て、作品に対する取り組み方だったり、台本の読み方とか意識することが増えました。
――今までとはどう変わったんでしょうか。
甲斐：相手役や見てくれる人たちのことを考えるようになりました。例えば、相手役と台本通りに芝居をしているのに、話がかみ合わないときって、キャッチボールができてないときなんです。僕が台詞を言ったからこそ、次の台詞が生まれてないといけない。そういうことを意識するようになりました。作品を見るお客さんに関しては、どこでどんな気持ちになるのかを想像しながら演技しました。ここで感動して、次はぐっと抑える、最後に一気に気持ちを高ぶらせる、とか。作品の構成的な部分、監督的目線も学ぶことができました。
――めちゃくちゃ分析されてますね。完成作品をご覧になって、ご自身の演技はいかがでしたか？
甲斐：反省点はもちろんたくさんありました。もっと自然にできたんじゃないか。静かな場面だけど、もっと熱い思いを出せたんじゃないか、とか。演技って、瞬き一つ、頬の筋肉の動き一つで変わるので、映画ならではの繊細さを感じながら、「もっと」と思うことはたくさんありました。
――勉強熱心ですね。
甲斐：学校の勉強は好きじゃなかったんですけど、好きなことに対しては熱くなっちゃうみたいです。
――天職ですね！今後、演じてみたい役柄はありますか？
甲斐：恋愛が実る役ですかね。幸せな役に出会いたいです。
――ラブストーリーがいいですか？
甲斐：それもいいですが、どちらかというと作品のジャンルや具体的な役柄はあまり考えてないです。たくさんの役柄を通して、見る人に魅力を届けたり、グッとくる瞬間を感じてもらえたらうれしいです。
――もし、共演してみたい先輩がいたら教えてください。事務所の大先輩で、甲斐さんのお母さんが大好きな福山さんは？
甲斐：それはおこがましいです！！でも夢ですね……親孝行のためにもいつかはと思っています。誰だろうな。う～ん。やっぱり、いろんな人と演技してみたいです！活躍している俳優さんはみなさん、本当に素晴らしいです。一人一人の魅力を感じることが今の僕の勉強になっています。たくさんの魅力を吸収して、自分にとって一番いいものを作り出したいです！
――ステキすぎます！今後のご活躍を楽しみにしています！
テキスト：氏家裕子
写真：mayuko yamaguchi
