幕張メッセで開催された「就活開幕LIVE」。1日だけで約1万6300人が来場、リクルートスーツに身を包んだ学生たちが約620社の採用担当者たちから企業説明を受けていた。
6月には企業による面接が本格化するが、その前に学生たちがクリアしなければならないのがES(エントリーシート)だ。自己PRや志望動機だけでなく、企業ごとに異なる課題に対して回答しなければならず、学生たちからは「めちゃめちゃ面倒くさい」「すごく大変だった」といった不満の声も。
そのため、今どきの就活ではESが"売れる"のだという。ツイッター上では「内定者ES見て、同じ文章の書き方(構造とか)で自分のエピソードを当てはめる丸パクリ戦法が意外とES力向上に役立つ」「コピペはしていないけど、簡潔な書き方や構成とかはすごく参考にしてました!」という感想も。来年春に早稲田大学を卒業する予定のの喜多哲平さんは既に大手投資会社の内定をもらっている。「ネットを見れば(過去のESを)探せる。メッチャ見た。コピペするわけではないが、参考にする。こういう構造・レベルで書けば通過するんだなと参考にした」と明かした。
そんなES突破の強い味方として、1日から始まった「#ES公開中」というサービスがある。過去、学生たちが実際に提出し、採用選考を通過した3万6000件以上のESを無料公開している。現在、キャンペーン第1弾としてアドトラックが街を巡回。渋谷駅の壁面には巨大広告を掲示し、人気企業ランク上位20社のうち、5社分のESをフリーペーパーのように配布している。学生たちからは「とてもありがたい。参考にして書いている」と好評だ。
仕掛けているのは、就活口コミサイト「ONE CAREER」を提供する株式会社ワンキャリアだ。同社経営企画室の寺口浩大氏は、目指すのは就活から嘘をなくすことだと説明する。「企業は採用ホームページで綺麗なことを言うので、入ってみたら全然違う、みたいなこともある。逆に、8割の就活生が嘘をついたことがあると答えている。自分をさらけ出して不合格の"お祈りメール"をくらうのが嫌だから、フォーマット通りで内定をとった方がいいと嘘が生まれている。就活生は受かるために時間と気力を使いすぎている。自分がどんな経験をしているのかや、キャリアを前向きに考える時間に使ってほしい。就活と受験は違うといえばそうだが、大学入試には過去問があるし、赤本がある。ESについて今までなかった方がおかしいと思う」。
今どきの就活は団体戦でもある。前出の喜多さんは「WEBテストをみんなでやるのもそうだし、面接後にすぐLINEとかで"こういうことを聞かれたよ"と共有するとか。そういうのが普通だ」と話す。ゼミの就活連絡用SNSでWEBテストの呼びかけをすると、それに応える人が続々と現れるという。
広告プランナーのシモダテツヤ氏は「今の時代、インターネットの検索力がないと知識が入れられない。つまり、この書き方がいいから丸パクリというよりも、その会社に向いている言葉や、"調べているな"と判断してもらえるような情報にたどり着く能力の方が見られる気がする。また、人事の側が能力を見られる時代になっているのかもしれない。こういうことを多くの大人が知ったら、人事側の戦略も結構変わってくる気がする」と話す。これに対し、寺口氏も「嘘がバレるようになる。いいことを言っていても実は社内がグチャグチャみたいなのがあって、今までは入ってから辞めざるを得なかったが、事前にリスクチェックできるようになった。経営が言っていることと、人事が採用現場で言っていることに乖離があったらどんどん人が来なくなる」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)















