世界各国の強豪が集まる「K-1」の舞台で、プロデビュー後から37戦36勝。相手を常に圧倒し続け、この6年間では一度も負けなしなのがスーパー・フェザー級王者の武尊選手。10日の『K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~K'FESTA.2~』まで2週間を切った先月27日、AbemaTV『AbemaMorning』の取材に応えてくれた。
「小学校低学年くらいの時にテレビで『K-1』を見て、アンディ・フグ選手がかっこよくて。本当にヒーローモノを見ている感覚で、小さい人が大きい人を倒しているのがかっこいいなっていうところから、この人と同じことをやろうと」
伝説のK-1ファイター、アンディ・フグさんへの憧れから自身も同じ道を歩み出した武尊選手。しかし、17歳の時に格闘家人生を大きく左右する出来事があった。
「これ(格闘技)1本でやろうって思った時に、キックボクシングやK-1の本場がムエタイっていうタイの国技なんで、本場で練習しようとタイに行った。ムエタイでの修行中に試合をしたけど、その時に初めて負けを知って。向こうの人はただ強くなりたいとか趣味でやっているんじゃなくて、生活のためにやっている。貧しい家庭の人が家族を養うために試合に出るというモチベーションで、趣味でやっている人とはレベルが変わってくる。僕も(格闘技)1本でやっていくと決めていた時だったんで、試合負けたら食っていけないくらいの気持ちでやろうと思った」
人生で初めて味わった敗北。しかしそれが今の強さに繋がっている。
その後2011年にプロデビューを果たすと、これまでに幾多のタイトルを獲得。去年には史上初の3階級制覇を成し遂げた。今やK-1界の絶対王者に上り詰めた武尊選手だが、過去には戦う姿から想像出来ない道を目指していた。
「とりあえずお金を稼がないといけない、就職しないといけないということで『何しようかな』と思ったときに、子どもがすごく好きだったんで保育士になりたいなとそのまま学校に行った感じ。(今も)大好きで、自分の子どもが早く欲しくて。食べますね多分。取られたくないから(笑)」
また、過去にバンドをやっていたことから音楽が趣味だという武尊選手。そのモチベーションは格闘技とも共通するという。
「モテたくて始めてるんですよ、大体そういうのって(笑)。男のモチベーションって全部そう。仕事頑張っているところを見せたり、お金稼ぐのはモテたいから。そこが男の最高のモチベーションだと思う」
意外な素顔も見せてくれた武尊選手だが、10日の試合は過去最強の刺客と言われる相手との対戦。ヨーキッサダー・ユッタチョンブリー選手は、500年の歴史を持つムエタイの現役王者だ。平成最後のビッグマッチへの意気込みは。
「10年前の僕の中では、雲の雲の雲の上の上の上の存在くらいだったけど、僕はK-1を背負っている立場だと思っているんで、今は超えないといけない相手。平成を締めくくるにふさわしい相手だと思うし、それを超えて平成をしっかり締めくくって次に進みたい」
今回取材を行った田中アナは、武尊選手の「練習は仕事。試合は趣味」という言葉が印象的だったと紹介。「試合に向けてトレーニングしたり調整したりしている時は“仕事”の時間で、リングに上がるとそこからは好きなことをやっている“趣味”だと。この言葉を聞いてK-1が心から好きなことが伝わってきたし、先頭に立ってK-1を引っ張っていく強い思いを感じた」と話した。
(AbemaTV/『AbemaMorning』より)