自民党の二階幹事長が９日、自らの派閥に入会した細野豪志氏の地元・静岡５区に入った。
細野氏は一昨年の総選挙で自民党岸田派の吉川赳氏を破って当選しているが、二階派の田畑毅前衆議院議員が議員辞職したのに伴い、比例東海ブロックで吉川氏が繰り上げ当選することになったことで、二階派と岸田派の代理戦争の様相を呈してきた静岡５区。
８日、岸田文雄政調会長も静岡５区入りし「静岡５区の支部長は吉川さんであり、ぜひ吉川さんに支部長として頑張ってもらいたいと思う」と改めて支持を打ち出している。
"国替え"を求める声が高まっていることに付いて細野氏は「ここでやると。それ以外の選択肢は全く考えられない。ここ以外でやるという話になるんだとすれば、私は政治家を辞める」と決意表明。二階派幹部は「選挙で勝てばいい。我々がいるのは勝負の世界なんだから」と話したという。
９日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ！』に出演した舛添要一・前東京都知事は「要するに二階氏は選挙は勝たないといけないと思っているので、無名よりも悪名高い人の方がいいという感じだ。当選して自分のところに連れてくれば自民党の駒になるという発想。だから細野豪志さんにしても、山梨県知事の長崎幸太郎君にしても、勝てる奴を持ってくる二階派は"はぐれ者集団"で、岸田派は"お公家集団"。戦ったらはぐれ者が勝つと思う」と話す。
「二階さんは田中角栄さんの弟子でもあるし、あの頃の中選挙区制や三角大福中の５大派閥の感覚ならいい。しかし今の小選挙区では１人しか選出されないから、派閥間の代理戦争みたいになってしまう。自民党の中でこういうことがやれるのは、野党があまりにも弱いからだ。今度の統一地方選挙では、福岡県など４つの知事選で自民党同士の争いになりそうだ。こういうことを平気でやっていていいんだろうかという気はする。民主主義は数だし、１票でも多い方が勝つ。しかしそれが先行し過ぎると"政策はどこに行ったの？"ということになるし、何のために複数の政党が戦っているのかということになる。ちょっとやり過ぎだなという感じがするし、野党が参議院選挙で大同団結するようなことになると、自民党は負けるのではないか」（舛添氏）。
■東京では小池都知事を後押し…都民ファーストの会の立場は？
「東京都知事選にご出馬をいただくということになれば、全面的に協力をするのは当たり前だ。実績を見てみれば分かる」「他に選択肢はあるのか？今の都知事に勝てる候補者を出すのか？自民党が候補者を立てて、党を挙げて大騒ぎしても勝てるのか？」
二階幹事長は、来年の都知事選で小池百合子氏の再選を支持する意向も示している。
安倍総理は「この時期に支持を表明するのは早いな」と反応したというが、二階氏は会見で「早くやって、早く言ってどこが悪いのか？選挙はもっともっと早く早くいかなきゃダメじゃないか」と持論を展開。この二階幹事長の強力な後押しに、小池都知事は「大変力強い支えをいただいて感謝している」とコメントしている。
一方、都議選で惨敗した経緯もある自民党の東京都連の高島直樹幹事長は「二階幹事長が"これだけの実績"とおっしゃっていたが、私の知る限り、小池知事の実績ってなんだろう」と疑問を呈している。小池都知事は去年11月、二階幹事長の仲介で都連幹部に陳謝しているが、まだまだ両者の溝は深いようだ。
この問題について、都民ファーストの会の伊藤悠都議は「日常的に世論調査をやっていると思うし、おそらくその結果も勘案されてご発言をしているのだろう。ただ残念ながら、都議会自民党の皆さんは選挙の時の遺恨、私に言わせれば怨念がものすごく強い。質疑をしていても多くの部分で批判に終始されている。もう少し建設的な議論ができ、かつ怨念、遺恨から離れられると世の中の全体的な空気も捉えて頂けると思う」と主張。すると、当の自民党の川松真一朗都議は「私は小池知事に厳しく言ってきたが、議会で人間性を否定したことは一度もなく、政策的に勝負している。来週、予算特別委員会があって、僕も質問に立つ予定だ。いかに怨念ではなくて、東京の未来を語っているかを聞いて頂きたい」と反論した。
また、舛添氏が「都民ファーストは自民党政治が悪いから改革しようということでできたはずだ。その自民党と小池さんが手を握ったら一番困るのは伊藤さんの都民ファーストではないか」と指摘すると、伊藤氏は「二階幹事長の発言があった次の日に私どもの代表がコメントを出している。あくまで私たちが戦っているのは都議会自民党だし、引き続き、古い議会と戦っていく。新しい都政を作っていくというところに終始したい」と訴えていた。（AbemaTV／『みのもんたのよるバズ！』より）
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