Twitterの投稿に対するクソみたいなリプライ(返信)、通称"クソリプ"。見当外れなものや攻撃的なもの、上から目線の指摘など、著名なアカウントに対する返信は、様々なクソリプにあふれている。
0歳で芸能活動をスタート、現在は声優・女優として活動している「はるかぜちゃん」こと春名風花さん(18)は、9歳でTwitterを使い始め、社会問題について発言。過激な性描写のあるマンガなどの販売を規制する条例について、9歳にして「もしぼくたち子供から、いっさいの、きたないものやこわいものをかくしてしまうと、ぼくたちは本当に人をきずつけないとわからなかったり、きずつけてしまってもその大きさがわからなかったり、する大人になるかもしんないと思う」と投稿するなど、時に大人をやり込めるような発言が注目を集めてきた。
一方、その発言内容や年齢とあいまって、利用開始当初から意見への反論にとどまらず、「「子役辞めろ!小6ならもっとやることあるやろ!」「知った風な口聞いてんじゃねえぞ、クソガキ」といった誹謗中傷やらクソリプの嵐に曝されることも少なくなかった。それでもめげずに全力で反論を続けた結果、誹謗中傷はエスカレートしていき、『ドラム缶にセメント詰めて殺したい』といった殺害予告をされることもあったという。
反発はTwitter上だけにとどまらなかった。「変な人が自宅に来ようとした時があって、段ボール一杯に入った使用済みおばさんのパンツと、血染めの手紙が届いた。1人が投げた石は小さくても、クラスメイト30人ぐらいが一斉に1人に石を投げたら、もうそれはすごい痛みになる。画面の向こうに"人"がいることを意識してなさ過ぎる」「ネット上だから軽く思うかもしれないけれど、痛みのレベルで言うと、毎日家に帰ったら郵便ポストが一杯で中を開けたら全部悪口みたいな」。
司会進行の小川彩佳アナウンサーも「私も"反日"だとか"アカヒ"だとか言われることもある」。山田菜々も「気にしても仕方がないけれど、喋り方がうざいとか、ブスとかよく言われる。あるテレビ番組で"初めてのデートの時には男性におごってほしい"と発言したらそれがネットニュースに取り上げられて、"こういう女は絶対に財布も出さない"とか、"小汚い居酒屋には絶対行かない"とか書かれた。めちゃめちゃムカついたけど、5分置いて"でも、私はこの人と絶対デートに行かへんし、そもそもあなたのこと選ばない"と思ったら、Twitterに書かなくて済んだ」と回想した。
■SNSの悪い部分が出てきている?
拓殖大学非常勤講師の塚越健司氏は「クソリプにも色々な種類があって、犬山紙子さんがおっしゃっているような、悪意はないんだけど、こうしたほうがいいよというようなアドバイスを送ってくる『クソバイス』というものもある」と話す。実際、Twitter上には一方的な決めつけや、直接関係ない人による"正論"リプライも数多く見受けられる。
30代男性の田中さん(仮名)は、志望先の大学が芸能活動を認めていないことについて相談に乗ってくれる人を呼びかける春名さんのツイートに対し「大学に直接聞けば済むだけの話なのに、わざわざツイッターで聞くのは何だろう。世論を煽って都合の良いほうにもっていこうとしているように見えてしまう」との疑問をぶつけた。
「ダメージを与えるという意図はまったくなかった。不特定多数に情報を届けたいという思いでTwitterをやっているのであれば、幅の広い意見がくるのは当然だと思う。それを理解していない方が多いし、そういう芸能人の発言に違和感を覚えることが多かった時期だった。学校に聞けばいいだけの話なのに、芸能人がそれを世論にぶつけてしまうと、権力をもった攻撃になってしまう。それは違うんじゃないのかなと思った」と話す。
「マルティン・ニーメラー牧師ではないが、自分には関係ないからと静観していると、何かあった時に誰もおかしいと言ってくれない世界になるかもしれない。それは嫌だ。だからできるだけフラットな目線で指摘している。投稿前にはできるだけ文章を見直すようにしているが、それでも"こんな絡まれ方をするのか"と驚くこともある。僕も含めて、バックボーンに関係なく自分の考えを主張したい人たちがTwitterをやっていると思うので、考えが伝わらないと悔しくなるんだと思う。ただTwitterが怖いのは、何億もの人がコミュニティに参加しているので、攻撃力も上がってしまう」。
塚越氏は「旧来のメディアに対抗する形でインターネットがもてはやされ、SNSもたくさん出てきたが、今、それらの悪い部分も出てきている。SNS上に投稿する人は無意識のうちにマウントしたりマウントされたりという部分をすごく気にしてしまうし、見ている人もどちらがマウントを取っているかという目線で見ていると思う。また、世の中の流れを忖度し、そちらに沿った発言もしやすくなる。そして、"正義"という言葉がキーワードだ。正義は人それぞれのはずなのに、自分が正しいことを言っている気持ちに誰もがなりやすい。とくに"右翼""左翼"など、政治問題でそれが起こりやすい」と指摘。「便利すぎて何も考えなくなってしまっているので、本当は投稿やリツイートの動作を面倒くさくした方が良いのかもしれない。アメリカには『ReThink』というアプリがあり、良くない単語が含まれる場合"この投稿は誰かを傷つけるかもしれません、もう1度考え直してみない?"とメッセージが表示される。これだけでも随分変わるという調査もある」と話していた。
なお、こうした塚越氏の解説に対し、番組放送中には「拓殖!お前に正義を語る資格はない!」といったリプライが寄せられていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


















