25日放送のAbemaTV『AbemaPrime』で番組レギュラーを卒業したウーマンラッシュアワーの村本大輔。「無知」を自称する村本に対し、いつも笑顔で接してきたのが、3年前から共演してきたジャーナリストの堀潤氏だ。その関係はスタジオにとどまることなく、ともに熊本の被災地を取材するなど、現場の声に耳を傾けてきた。しかし同時に村本は「向き合うことの難しさ」も感じていたという。
村本:なんか急に休みになったんだけど、みたいな感じで被災地とか沖縄に行く。向こうの人に話を聞いたりして、頭の中で考える。堀さんに聞いたら「1泊に聞いたらら「1泊2日だったら沖縄に4時間いて、そのまま韓国行けるよ」って言うから、「ええっ!?」と思って。それでハンガーストライキの元山君と喋り、そのまま韓国に行ってレーダー照射について喋り、みたいな。
堀:休みができたからって、それを本当にやるからすごいよね。現場百回。
村本:映画監督や漫画家がこれをやったら取材になるが、お笑い芸人がやったら"活動家"と言われる国。これも自分のネタ、パフォーマンスのための取材なのに。会って喋ってみて、心に響かないと仮説はできない。その仮説とデータで"これが違う、あれが違う"というだけの話で。それがやっぱネタになったりするわけでしょう?
堀:むちゃくちゃいいと思う。本当に共感する。「オピニオン」は、よく言えば意見だけど、悪く言えば思い込み。しかも自分の中の経験とか、限られた人脈でしか分からない事実の一端を「こうだ!世界の真実だ!」と思い込んで激論を交わして論破した・されたと。そういうのはすごく不毛。村本さんが自分で「イエスだ」と思った時こそノーを知りたい、ノーを語ってくれる現場はどこなんだって探しに行く。それがこちらにとっても刺激になっているのは間違いない。
村本:被災地に行くと、もちろん「こんな面倒くさいものに関わってくれてありがとうございます」とポジティブな言葉ももらえる。でも、よく芸能人の人が一度来て来なくなるということで、「(支援にくるのが」一回じゃないでしょうね?」「売名ですか?」「冷やかしですか?」「本気なんでしょうね?」「どんだけ付き合えるんですか?」とも言われる。それくらいメディアが祭りのように急に来ては帰っていくから。その中で、"付き合い方"なんて言ったら偉そうだけど、堀さんはどういうふうにして、色々な「助けてくれ!」と人たちの手を掴んでいるのか。
堀:僕は調べるし、発信もするので、「一緒にこれを解決しましょう」「これができるまでは一緒に何かやりましょう」と、共通のミッションを必ず提示する。そういうのがないと、ずっとつながっているのってはっきり言うとしんどい。自分だって目を背けたくなるし、疲れるし、見たくないこともある。でも、そこに一つ目的があるといいなと思っている。昔教えてもらった言葉が二つある。一つはNHK社会部時代の先輩の言葉で「堀、一回取材した人には業だと思って一生付き合え。俺たちマスコミはその人たちを消費してしまうんだから、取材があるから行くというのは絶対ダメ。どんな時でもいいから、フラッと行って"どうしたんですか堀さん?""いや、お茶を飲みに来たんですよ"、そういう関係でもいいから」というもの。もう一つは、辻仁成さんの「覚え続けるのはしんどい。思い出せることさえできればいいのでは?」というもの。パッと久しぶりに会った時に「◯◯さん、4年ぶりですね。あの時のこと覚えてますよ、当たり前じゃないですか」って言えるような、それくらいの関係でいいんじゃないのか。じゃないと背負ってしまうから。
村本:堀さんは、どういう気持ちでコメンテーターをやっている?今のテレビのコメンテーターを見ていると、スタッフがまな板に乗せたやつ(テーマ)に対して、僕はこういう料理(意見)ができると言うだけで、その行方(現実)には興味がないと思う。
堀:コメンテーターをちゃんとやるようになったのは『AbemaPrime』が最初だと思う。そこで一緒になった村本さんが教えてくれたことだけど、コメンテーターは意見を述べるものだと最初は思っていたのが、質問を考える役割だなと思うようになった。適当に「こう思う」「こうあるべき」と意見を言うのではなく、「何でこれだったんですか?」「なぜこれじゃなきゃいけないの?」と、問いを作る側としている、ということがすごく大切なんじゃないかと思うようになった。
村本:コメンテーター、知識人はスーパーマンみたいなフリしてるけど、いざ蓋を開けてみたら、専門知識はムキムキだけど他はパッド入ってるみたいな。でもムキムキのフリをしないと仕事が成立しないから。
堀:自分の中にムキムキがある時は「こうです!」って言うけど、そうじゃないときは、これまでの経験とか知識を使って、みんなで探求しようよ!という場を作ることがメディアの役割。
村本:本も読むようになったんですよ。
堀:周りに言われてもあんなに嫌がってたのに?(笑)。最近読んでるのは?
村本:ノーム・チョムスキーの『誰が世界を支配しているのか?』
堀:アンダーラインも引いてあるじゃないですか。
村本:めちゃくちゃ面白くて。基地問題のこととか。今まではニュースに興味なんかなくて、ぼーっと生きていたけど、『AbemaPrime』に出るようになって、あるとき堀さんは朝まで付き合ってくれて、そのあと1時間だけ寝て、自分の番組に行った。僕が言ったことに対しても「いいね!」「面白いね!」って言ってくれた。「知ることが楽しい!」と思わせてくれた人。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)















