3月末をもってテレビ朝日を退社する小川彩佳アナウンサーが29日、AbemaTV『AbemaPrime』の最後の出演を迎えた。
番組冒頭、「今週は一日一日が長くて、金曜日が来ないんじゃないかと思った」とコメント。番組が放送されている「けやき坂スタジオ」には最後の姿をひと目見ようと大勢のファンが詰めかけ、横断幕を掲げて別れを惜しみ、視聴者からも「視聴者が目に見える場所で送り出す番組はアベプラくらいしかないよね」というコメントが寄せられていた。
この日の特集はズバリ"女子アナ"。フリーアナウンサーとして"先輩"となる元フジテレビの宮瀬茉祐子さん、元日本テレビの脊山麻理子さん、元NHKテレビの古瀬絵理さんと一緒に、女性アナウンサーという仕事のやりがいや悩みについて語り合い、フリーとしての心構えやエールを受け取った後、視聴者に向けて次のように挨拶した。
こんな挨拶の時間を取っていただきまして、ありがとうございます。
私がテレビ朝日に入社したのは2007年ですので、今から12年前のことです。それから入社してすぐに担当し、2年半担当しました田原総一朗さんの『サンデープロジェクト』、そして7年半担当することになりました『報道ステーション』などの番組に恵まれまして、そして、この『AbemaPrime』にやって参り、半年が経とうとしています。
本当に半年という短い時間ではあったんですけれども、こんなに毎日毎日が長く、濃厚で、刺激的な半年間というのは。これまでの人生で、私の中でなかったんじゃないかと思えるくらいの時間でした。
毎曜日、違ったメンバーと、毎日、違ったテーマで、ITの最先端を紐解く日があれば、ハンセン病の歴史を紐解くという日もあって。政治・経済の硬派なテーマを深掘りする日があれば、障害者の性などの難しい問題に向き合う日もあって。昨日も、"メディアと命"というテーマでお送りしましたけれども、メディアが報道する際に、誰かを無意識のうちに、ふいに傷つけてしまうかもしれないという"加害性"を伝え手はもっと意識しないといけないんじゃないか、という問題提起。それが今も頭の中を巡っています。
そんなふうに"自分の頭で考える"ということを、こんなに毎日続けてきたことってなかったんじゃないかなって思うんです。"自分の頭で考える"って、すごくシンプルで、小学校で教えられることだと思うんですけれども、それがもしかしたら今一番大事で、もしかしたら今一番蔑ろにされがちなことなのかなと、この番組を通して考えさせられました。
縦横無尽に情報が飛び交う、何かと忙しないこの時代、立ち止まって振り返ったりする暇もないままに流されていくことだってある、そうした中で、はたと立ち止まって、周りを見渡して、答えの無い問題を突き詰めて考えてみたり、多様な意見があることを知って自らを顧みたり、二極化して考えがちなことの中間点を考えてみたり。そうしたことがたっぷり時間を使ってできる、本当に貴重な場所にさせていただいたなというふうに、感謝の気持ちでいっぱいです。
そういう空間を作って下さったのは、ここにいらっしゃる出演者の皆さんで。本当に皆さんが自分の足で立って。自分の言葉を使って、個性的で唯一無二の存在で。そうした出演者の皆さんと触れ合うことができたのも、何か私が退社という決断をする一つの理由になったと言いますか、一つ背中を押してくれた、そんな出会いだったと思います。この出会いは私の財産になると思います。本当にありがとうございます。
こんなに長々と喋ってていいのか、と思うんですけど…。
そして私をこうして暖かく迎えて下さったスタッフの皆さん、そして関係者もそうですけど、誰よりもこうして番組を見てくださっている視聴者の皆さま、ガラスの向こうで観覧して下さっている観覧者の皆さま。その皆さんの存在に支えられて、今日の日までやってこられたなと思います。
コメント欄に届くリアルタイムのコメントにはたじろいだり、それを読んでから、そのあと記憶がなくなるくらい落ち込んだ日もあったんですけど、暖かく、時に厳しい言葉は、自分を律したりですとか、振り返ったりですとか、そういう機会を与えて下さった、回り回ってとても暖かく私を支えて下さる言葉ひとつひとつだったんだなと痛感しています。番組をご覧頂いて、こんな私を暖かく見守って下さった皆さま、本当に本当に、ありがとうございました。
テレビ朝日アナウンサーとしてお伝えするのは今日で最後になります。ただ本当に本当に幸せな、この12年だったなと、振り返って思っています。少しずつでも厳しいお叱りの言葉をかけて下さった皆さま、優しく包み込んで下さった皆さまに恩返しをしていけるように、これから一歩一歩、自分の正解を探していけたらというふうに思っています。
今日は…今日も、ですね。ご覧下さりありがとうございました。そして、この12年、テレビ朝日アナウンサーとして粘り強く見守ってくださり、本当にありがとうございました。







