現在公開中の映画『麻雀放浪記2020』の白石和彌監督が10日、東京・谷中霊園にある阿佐田哲也氏の墓前を訪問。阿佐田氏の夫人である色川孝子氏とともに、本作の公開を報告した。阿佐田氏は本作の原案小説「麻雀放浪記」の作者で、この日は30回忌だった。
あいにくの雨の中行われた今回の報告会。2人は映画完成直後にも阿佐田氏に報告しに訪れていたのだといい、白石監督は「そのときもこんなに強くはありませんでしたが雨が降ってましたね」としみじみ。色川氏が「もう!私はいつも晴天よ!」と、白石監督の雨男っぷりを茶化すなど、仲の良い姿が見られた。
主演の斎藤工は、「麻雀放浪記」を映画化したいと10年前より色川氏に話を持ちかけ、本作の構想を温めてきたという。色川氏はこの10年間を振り返り「長かったです。その間、いろんなことがありまして、泣いたりわめいたり、怒鳴ったり。『できないものはできないのよ!』って電話もがちゃんと切ったりしました。でも彼(斎藤)の麻雀放浪記への熱意が伝わった」とコメント。「(初対面で)大変好青年だと思いました。単なるイケメンじゃなくて、中身のある男ですし、熱意も伝わってなんとかしようかと思いました」と斎藤の真摯な姿勢あっての映画化だったと明かし、斎藤の演技についても「工くんをドサ健にしようかっていう話もあったけど、主役でよかった。うまかった」と絶賛していた。
さらに、色川氏は阿佐田氏が存命であれば、白石監督と仲良くなっていると予想。「監督に会ったら、好きなると思う。いないことが残念。仲良しになれる。お酒飲みに行ったり、食べに行ったり、フレンドリーな付き合いができたかな」と、2人の親交を深める姿を想像した。
また色川氏は、「今、日本一じゃないですか。是枝さんとタイプ違うけどね(笑)」と白石監督の映画人としての才能も大絶賛。「私、『孤狼の血』観たときは死ぬかと思った。びっくりしちゃって(笑)。あんな映画初めて観たわよ。もし、あの人(阿佐田氏)が存命で観ていたらすごい評価していたと思います。あの映画見て絶対に賞を取ると思ってました!」と、特に『孤狼の血』(18)の大ファンであることを明かし、「また『孤狼の血』続編やるんでしょ?役所広司はもう出ませんね?」と質問。白石監督は苦笑しつつも「出ないとは明言しないです(笑)。(役所広司は)生き返りはしないです」と答えてた。
白石監督は最後に「工くんがやりたいって言って、僕のところにお話が来て、こうして孝子さんにも出会えて、今日という日を迎えられて感無量です」と喜びをかみしめていた。